伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

肉ビジネス

2024-05-23 22:58:27 | 実用書・ビジネス書
 1年のうち300日以上和牛を食べる生活を続けているという著者が、牛肉のブランド、流通、冷凍・熟成、調理・焼き方等について解説した本。
 著者の紹介が「ふつうの会社員」というのが好感します。詳しくなるとコンサルタントとか何やらカタカナのもっともらしい肩書きを名乗る人が多い中で、どこか潔さを感じます。しかも、魚屋の長男って…
 さまざまな蘊蓄の中で、おいしい牛肉を食べるという観点からは、かつてはA5の牛は本当においしかったが今では黒毛和牛の半分以上はA5でA5であればおいしいとは限らなくなっている(38~41ページ)、牛肉の旬は11月から2月くらいで12月がピーク(60~62ページ)、焼肉は火の入れ方で大きく味が変わる(169~178ページ)とかが、読みどころというか、勉強になりました。


小池克臣 クロスメディア・パブリッシング 2024年3月1日発行
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口臭を気にする女、気にしない男

2024-05-22 21:38:41 | 実用書・ビジネス書
 口臭専門外来をしている歯科医の著者が口臭について解説した本。
 著者のクリニックの口臭外来に来る患者のうち実際に口臭がある「真正口臭」は1割くらいで、実際には口臭がないかほとんどないのに口臭があると思い込んでいる人が9割を占めているとか(48~49ページ)。他方で「口臭は多かれ少なかれ、誰にでもある。1日の体調の変化でも、出たり出なかったりする」(215ページ)というのは、理屈に合ってるのか…
 口臭の原因として実にさまざまなことが挙げられています。姿勢が悪い(50~59ページ)、朝ご飯を食べない(70ページ)、「腸漏れ(リーキーガット)」(98~111ページ)、ストレス(118~121ページ)、カフェイン(122~125ページ)、ファストフード(125~130ページ)、食いしばり(134~136ページ)、歯並び(136~138ページ)、睡眠不足(144~146ページ)など。さらに「腸漏れ」の防止のために避けるべき食品はグルテン(パンも麺も)、カゼイン(乳製品)、シュガー、保存料(リン酸塩)(100~110ページ)って…いろいろ、思わぬことが書かれていて興味深く、また勉強にはなりますが、実行は無理、気にしてられないよねという感じです。


櫻井直樹 英智社 2024年3月20日発行
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労働法はフリーランスを守れるか これからの雇用社会

2024-05-14 23:29:21 | 実用書・ビジネス書
 ウーバーイーツの配達員など雇用契約の形によらずに働き会社側からは業務委託だとか自営業者だと言われている人々について、労働者であれば当然に受けられる最低賃金とか解雇規制、失業手当、労災保険などの保護それ自体やそれに類する保護をどのように及ぼしていけるかについて、労働法の歴史やヨーロッパでの動きなどを紹介して論じた本。
 著者の主張は、「フリーランス新法について指摘したとおり、個人事業主に対する保護を実現するためには、労働者に認められる場合よりも劣る保護を新たに追加するという方策が、常に取られてきたと言わざるを得ない。そして、いったん自営業者に対する特別規制ができれば、その対象となった自営業者の労働者性は否定される傾向になりがちである」(245ページ)というところに端的に表れています。労働者性の判断では、労働者性が積極的に認められるかという姿勢ではなく、事実上の拘束を重視し、事実上の拘束を受けているものは事業者性が弱く、事業者であり得ないものは労働者だということかと思われます(237~238ページ)。
 ヨーロッパの法制や判決の紹介は勉強になりましたが、同時に各国の具体的な法制度や使われている概念・用語を私が理解できていないので、今ひとつ消化しきれませんでした。残念。


橋本陽子 ちくま新書 2024年3月10日発行
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自治体のための所有者不明土地対策マニュアル

2024-05-11 22:33:18 | 実用書・ビジネス書
 所有者が不明(所有者が誰か自体がわからない)だったり所有者や共有者の一部の所在が不明(どこにいるのかわからない、連絡が取れない)の土地について、自治体がその土地を取得したり利用したいとか、道路管理等の都合で敷地内の木の枝を剪ったり倒壊しそうな家屋を解体したい、固定資産税を徴収できず困っているなどの事態にどう対応できるかを解説した本。
 所有者不明土地等については、近時さまざまな法改正がなされています。その制度について理解するという観点では、後半3分の1程度を占める第2章を先に読んだ方がわかりやすいかと思います。一般人と比べて行政はそういった場合にとりうる手段や調査でどこまで優遇されているかもわかります。
 道路管理や近隣住民の迷惑(むしろ突き上げ、でしょうか)対策、徴税などの事務で所有者不明土地問題で行政がいろいろ苦労しているということも理解できますが、他方、行政が優遇されている、例えば土地の時効取得について行政財産は実態としては利用されていないが故に第三者が長期にわたり(時効期間が経過するほどに)占有しているにもかかわらず「黙示の公用廃止」が認められない限り(めったに認められない)時効取得されないというのに、行政が占有している土地については積極的に時効取得の主張を勧めていることなど、お役所の専横というか、手前勝手さを感じます。


永盛雅子、井無田将、幸田宏編著 中央経済社 2024年3月1日発行
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マンション管理法律相談201問 弁護士が答えるマンション管理会社・管理組合からの質問

2024-05-07 22:06:51 | 実用書・ビジネス書
 マンション管理を専門的に扱っている弁護士が、マンション管理会社、管理組合からよく受ける相談について、区分所有法、標準管理規約、裁判例や過去の経験等に照らした回答を示した本。
 「はしがき」で、「マンション管理問題に5名以上もの弁護士で組織的に対応している事務所はおそらく日本初ではないかと自負しています」「弊所には少なくとも月間100件以上、累計で数千件の相談件数が集積されています。その中で繰り返し問われる問題や、学ぶところの多い問題を厳選し、201問にまとめています」と書かれています。本を書くのになかなかここまでの自信は示せないものですが、さすがに実務的な相談事例が少なからずあり、弁護士にとっては読みでがあります。サブタイトルにもあるように、またマンション問題を専門的に取り扱う(それで食っていく)ためには顧客は当然に管理会社が第1、次いで管理組合で、個人である区分所有者(マンションの各戸のオーナー)は相手方というか敵という視点が強く、相談を受ける場合は区分所有者側ばかりの私には、そこまで言う?と思う場面も少なからずありましたが。まぁマンションでの紛争では、裁判所も管理組合側に理解を示す傾向が強いので、裁判になったときの説明として間違ってはいないと思いますが。
 区分所有者と管理組合の関係が続く第8章までは、基本、管理組合側の視線で書かれているのが、管理会社が当事者として出てくる第9章になると俄然管理会社側の姿勢が顕著になります(むしろ管理会社に刃向かう管理組合はけしからんという論調)。第9章は「管理会社の問題」という表題ですが、管理会社に問題があるという視点ではなく、管理会社にとっての問題、管理会社が遭遇する問題というべきでしょう。


香川希理編著 日本加除出版 2024年2月21日発行

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愛され続ける会社から学ぶ応援ブランディング

2024-05-04 07:17:54 | 実用書・ビジネス書
 中小企業や小規模な会社が応援されるブランドを作るための考え方、手法を説明した本。
 著者はブランドづくりの第1歩は、外部には見せない経営戦略としてのミッション(使命:なぜそのビジネスをしているのか)、ビジョン(目標:ミッション実現のために何を目指すのか)、バリュー(価値観:どのようにすればミッションの実現やビジョンに到達するのか)の決定だとしています。そして第2段階では環境や自社の強み・弱み、競合、ターゲットとすべき顧客層などを分析した上でで、顧客からの期待と自社ができることと自社がやりたいことを明確にし、お客さまに約束すること(ブランド・プロミス)を決定し、その上でマーケティング戦略、顧客との接点の設定などを考えていくとされています。
 企業向けの戦略を個人自営業者が応用するのは難しいですが、私の場合、それを考えると、
ミッション:庶民/弱者が正当な権利を実現し紛争を満足に解決すること
ビジョン:自分が対応可能な範囲で庶民/弱者の事件を安定して受任する態勢
バリュー:誠実な仕事とフェアな訴訟対応
ブランド・プロミス:庶民の側で仕事をする(弱い者いじめの事件は受任しない、原則として企業の事業のための事件は受任しない)
といったところでしょうか。
サイトで「私のセールスポイント(伊東を選ぶ5つのメリット)」を公開しています (^^;)


渡部直樹 同文舘出版 2024年2月22日発行
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魅せる!ふるさと納税 返礼品でPRせよ

2024-05-01 22:17:08 | 実用書・ビジネス書
 自社の商品をふるさと納税の返礼品に登録することで商品の認知度を労せずに高め利益を上げようと勧める経営者向けのビジネス書。
 著者自身が鉄筋コンクリート製の防災シェルターを開発したが高額商品であり認知度も低くまったく売れなかったが、自治体職員からふるさと納税の返礼品にしてみたらどうかを声をかけられて1億円の納税の返礼品として登録したら、マスコミが飛びついて話題にし、実際に成約したという成功体験を基にした本です。要は、商品を売りたい/PRしたい事業者と、税金を集める材料探しに苦心する自治体、世間の目を引く話題に飢えているマスコミの利害が一致して、売れなかった商品が売れた、これをビジネスにしない手はないというものです。
 何ごとも初期には他人が思いつかないところで成功することがあっても、競合がいない一人勝ちのブルーオーシャンは長く続かず、すぐに激しい競争が行われるレッドオーシャンになってしまうものですから、この本を読んで思い立った経営者がうまく行くかは、お手並み拝見というところでしょうけれども。


川口篤史 みらいパブリッシング 2024年2月27日発行
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こんなときどうする? 部活動の地域移行に伴う法律相談

2024-04-24 21:44:26 | 実用書・ビジネス書
 教員の負担軽減を目的として進められている部活動の地域移行に伴い、それを担う団体の創設等の準備や事故発生時の被害者への補償、被害者に対する法的責任がどうなるかなどを解説した本。
 書かれていることは基本的にごく常識的なというか、少なくとも法律業界ではある種当然のことで、学校が主体でそこに指導員やボランティアが関与するという形であれば事故時に被害者には災害共済給付(独立行政法人スポーツ振興センター)がなされ、公立学校(国立も含む)の場合教師(従業員)個人は被害者に対する損害賠償責任を負わない(私立学校の場合は、民間企業なので教師個人も責任を負う)けれども、学校が委託するなどして民間団体が主体となって部活動を行う場合は事故があっても災害共済給付はなく、指導員やボランティア個人も被害者に対する損害賠償責任を負い、巨額の損害もあり得るので賠償責任保険に加入して対応するしかないということになります。
 企業が事業として引き受けるのであれば、そういったリスクも十分見込んでやることになります(その分会費等の費用も当然に高くなるでしょう)が、PTAとかボランティアが引き受けるとなると割に合わないとんでもない責任を負うことになります。
 教師の負担軽減の美名の下で、責任や出費を免れたい学校が、PTAや地域の気のいいおじさん・おばさんに安易なアウトソーシングをするというか、押しつけるという構図のように、私には見えてしまいます。それはほとんど借金の保証人を頼まれて断れずに引き受けてしまう親族や知人のようで、お人好しが馬鹿を見るという典型のように思えるのですが。


山本翔 日本法令 2024年1月1日発行
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小規模宅地等の特例 基本と事例でわかる税務

2024-04-16 21:28:46 | 実用書・ビジネス書
 死亡した人が住んでいた持ち家の敷地を同居の家族が相続した場合330㎡まで、死亡した人が営んでいた事業に用いていた土地をその事業を承継した相続人が相続した場合400㎡までは、相続税課税の際の土地評価額(路線価で算定)を80%減額できるなどの、「小規模宅地等の特例」について解説した本。
 典型的なケースはわかりやすいのですが、少しイレギュラーな事情が出てくるとわかりにくくなり、ちょっとした違いで適用されなくなることへの注意が多数記載されています。ちょっとの違いで課税が大きく変わることについて、融通の利かなさ加減に驚きます。そういう不合理さを言われて制度改正が重ねられてきたことは説明されているのですが、制度改正がない限り不合理であれ規定は規定だという書きぶりです。
 その姿勢は、税務(財務省・税務署)一般の体質に加え、この本で度々使われている80%も減額する「大盤振る舞い」「恩恵」という見方が背景にあってのものだと感じます。しかし、もしこの特例がなかったら、土地の価格高騰の中で相続税の基本控除を減額する(課税ベースを拡大する)ことは不可能だったでしょうし、それでも強行したら税金が払えずに持ち家を手放す中間層が続出して持ち家政策が破綻していたはずで、この制度は現在の相続税制の前提であり根幹をなすものと評価できます。「恩恵」だから税務当局の好きにできるということではなくて、より合理的で融通の利く運用をしてもらいたいものです。


武田秀和 税務経理協会 2023年12月1日発行
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ず~っとつながる紹介営業

2024-04-12 23:53:36 | 実用書・ビジネス書
 異業種の営業担当者とチームを組み、お互いに知人を見込み客として紹介し合うことで営業成績を上げる手法について解説した本。
 紹介を受けるためには、自分が①ForYouの精神を持っていること(誰かのために動ける人)、②仕事の質が高い「仕事人(プロ)」であること、③紹介者の印象に残っていることの3つの前提が必要であり、チームを組む相手もその条件を満たしていて自分と考えが一致していて好きになれる人でないといけないとしています。それで紹介営業を続ければ、信頼できて見込みのある客が紹介され、しかも自分で売り込む必要がなくチームのメンバー(紹介客の知人)が売り込み(推薦・賞賛)をしてくれるから成約率は高くなる、チームのメンバーとはギブアンドテイクなのでお互いに次々紹介が続くし、成約した客からも紹介を受ければさらに営業成績が上がるというしくみです。
 ただ著者も言うように「実は、この仕組みがずっと機能していくための根幹には、『紹介していただいたお客さまの期待に、完全に応え続ける』という前提が存在しています」(102ページ)ということですが、これはきついでしょうね。紹介してもらう見込み客の人柄を十分に厳選してもらわないと。
 その他、印象操作の手法等も含め営業というか顧客との関係づくりのノウハウが読みやすく書かれていて参考になります。


上實貴一 すばる舎 2024年1月22日発行
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