伊東良徳の超乱読読書日記

雑食・雑読宣言:専門書からHな小説まで、手当たり次第。目標は年間300冊。2022年に続き2023年も目標達成!

画材で印象を変える キャラクターイラストの描き方

2024-05-03 21:04:14 | 趣味の本・暇つぶし本
 2つの画材の組み合わせ6種(水彩色鉛筆・水性マーカー、アルコールマーカー・色鉛筆、ボールペン・万年筆インク、鉛筆・不透明水彩、透明水彩・筆ペン、アクリルガッシュ・パステル)を用いた美少女イラストの作例6つの作成(主として着色)過程を詳細に解説し、画材の特性等について論じた本。
 それぞれのパーツごとに効果を与える技法を解説してくれているのですが、かなり手先が器用で丁寧な仕事ができ、工程の順序をきちんと計画する能力とアイディア・センスがないとマネできないなぁということを実感します。単純にプロの仕事に感心する本で、これを読んだから自分も描いてみようとは思えない本だと思います。
 画材の説明で、水彩系のプロの解説でふつうに出てくるマスキング液の話がまったく出てこないのでハイライト(一番明るいところ:たいていの水彩画の技法解説ではマスキング液を塗ってその上から別の色を塗り、乾いたあとに剥がすことで白のまま残すように書かれています)どうするのかと思っていたら、別の色を塗った上に白絵の具を載せるって。プロの技法はやはり一様ではないのだと再認識しました。


古島紺 グラフィック社 2024年3月25日発行
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はじめて行く公営ギャンブル 地方競馬、競輪、競艇、オートレース入門

2024-04-10 23:15:56 | 趣味の本・暇つぶし本
 公営ギャンブルファンの著者が自らの経験と蘊蓄を語り、公営ギャンブルの楽しみかたを論じた本。
 冒頭から「公営ギャンブルは、まず絶対に儲からないギャンブルです」「私は30年ほど公営ギャンブルを続けてきましたが、その日の収支が黒字になったことはほとんどありません」(9ページ)、「私は30代の頃から約30年間、公営ギャンブルをやってきましたが、いつか自分にも向いてくると考え続けた『ツキの流れ』はついにやってきませんでした」(17ページ)と語る姿はむしろ清々しい。著者は、負けてもともと、知的ゲームを楽しむための遊び代と考えて公営ギャンブル場に向かう(285ページ)という姿勢で楽しもうと語っています。 
 著者は、「負けても傷つかない、苦しみの少ない遊び方を模索した結果、外れることを前提で少額を賭けるという手法にたどり着きました」、1つのレースに200円から300円程度しか投票しない、すると全レースに負けても2000円から3000円くらいしか赤字にならずさして悔しくならない、「今日は3000円ぐらい勝ちたいな~」というみみっちい目標を立て、それに向かって賭ければいいといいます(207~208ページ)。それはある意味至言であり、安全な楽しみかたです。度々阿佐田哲也の小説とか引用してギャンブルを語っている姿勢と馴染むかには疑問がありますが。
 第2章の地方競馬(JRAは公営ギャンブルじゃないんだそうです)、競輪、競艇、オートレースの全会場の紹介が圧巻です。各地に、そして多くはずいぶんと不便なところにあるのですね。著者自身もまだすべては制覇していないということですが(行けてないのは山口県の徳山競艇場、下関競艇場、山陽オートくらいのようですが)。


藤木TDC ちくま新書 2024年2月10日発行


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東京建築さんぽマップ 最新改訂版

2023-10-23 23:34:23 | 趣味の本・暇つぶし本
 東京の近代建築物を散歩がてらに見て回ろうという形で紹介した本。
 著者自身、特権を駆使して中に入ったりしているのではなく、門扉の外から少ししか見えないと書いているものもあり、読者が実際に見に行ける範囲で紹介している点、「本書は散歩の本である」(はじめに:4ページ)という趣旨が貫かれていると思います。ただこの本は2011年の初版のあと2015年(最新版)と2022年(最新改訂版)に改訂されているというのですが、現存しない建物や現在は見ることができない建物もそのままになっている(現存せずとか現在は非公開とかの記載はありますけど)のは残念です。
 採り上げられている建物は戦前の建築が多いですが、かなり最近のものもあり、また写真で見る限りごくふつうの日本家屋やビルもあって、かなり著者の好みが反映されているのだと思います。
 紹介の際の論評も、絶賛から酷評まで、また設計者に対する著者の意見/好き嫌いを含めバラエティに富んでいます。例えば、霞ヶ関の法曹会館の外装改修が「偽りの化粧」(スクラッチタイルに似せた白のタイル、石に似せたアルミパネル)が腹立たしいとして、「法曹とは裁判官、検察官、弁護士などのこと。正義を貫こうという姿勢に疑問を持っちゃう」(66ページ)というコメントは、少しビックリするけれども忖度なく言いたいことをいう姿勢は清々しいかも。
 青山/神宮前の建設当時話題を呼んだ狭小住宅「塔の家」について、「あしたのジョー」に熱くなった若き建築学生はこぞって「少年マガジン」片手に見に行った建物ものであると紹介している(150ページ)のですが、その塔の家がどうしてあしたのジョーと関係するのか、この本を読んでも、さらに言えば少し調べても、全然わかりませんでした。何か内輪ネタがあるのか、もう少し説明して欲しいと思いました。


松田力 エクスナレッジ 2022年12月13日発行(初版は2011年4月)

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世界金玉考

2023-09-24 16:58:30 | 趣味の本・暇つぶし本
 キンタマについての雑学を綴った本。
 冒頭に「全人類の半数が所持しているにもかかわらず、これほど等閑にふされてブラブラしている臓器はないのではないか。悲しいほどの日陰者である」そんなことでいいはずがないということが執筆の動機とされています(7ページ)。いや、臓器のほとんどは、全人類の半数ではなく全人類が所持してるんですけど。体表に見えるキンタマよりも、体内で見えない臓器はもっともっと意識に上らないと思うんですけど…
 専門家ではない元雑誌編集者の著者は、外国語では、「睾丸」のような医学用語ではなく俗語的な「キンタマ」に当たる言葉は何かについて、文献調査ではなく、知り合いやレストランの人に聞いてそれを書いています。学術性ではなくバイタリティを感じ、ある意味で圧倒されますが、これだけのネタのためにそんなに引っ張るなよというテレビのバラエティ番組を見たときのような感想も持ちました。
 文学系のエピソードが多いのですが、終盤に去勢に関する記述が集中し、そこはマニアックなほどに書かれていて、ちょっとお腹いっぱい感がありました。


西川清史 左右社 2022年11月30日発行

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大人の教養 博識雑学2000

2023-05-27 19:04:15 | 趣味の本・暇つぶし本
 雑学のネタ2000個(たぶん。数えていません)をライフ編、ことば編、文化・習慣編、生き物編、地球・宇宙編、地理編、人体編、スポーツ編、歴史編、ワールド編、食べ物編、モノ・企業編、芸術・娯楽編の13テーマに分けて書き並べた本。
 宝くじで1等が当たる確率は(2021年の年末ジャンボで)2000万分の1、隕石で死ぬ確率160万分の1より小さい(9~10ページ)のだとか。そう言われてみると哀しいですね。その例えを聞くと、昔、まだスリーマイル島(TMI)原発事故が起こる前に、アメリカの原発100基で炉心溶融事故が起こる確率はヤンキースタジアムに隕石が落ちる確率と同程度などと宣伝されていた(ラスムッセン報告)ことを思い出し、そういう物言い、計算がどの程度信用性があるのかには疑問を感じますけれども。
 人間もチンパンジーもゾウも、体重が3キロ以上ある哺乳類なら排尿にかかる時間は同じ約21秒だって(279ページ)。本当か?年をとって排尿にやたら時間がかかる自分を省みて(改めて測ってみたら、60秒前後かかってる)、そうするともう哺乳類の枠に入らないのかと考え込んでしまいます。
 匿名のどういう人たちなのかわからない著者グループの執筆で、地震の説明に際して「マグニチュードが1増えるとエネルギーは1.6倍」(345~346ページ)なんて書いている(マグニチュードが1増えると地震のエネルギーは32倍というのは、もう常識だと思うんですが)のをみると、自分が知らない話をどこまで信じていいのか、不安になるのですが…


雑学総研 株式会社KADOKAWA 2022年7月15日発行

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5文字で四字熟語

2022-09-25 23:28:25 | 趣味の本・暇つぶし本
 四字熟語を5文字で言い換え、その意味の説明と使い方等の若干の解説を付けた本。
 5文字で言い換えるというアイディアが決め手の本です。「言語道断」が「話にならん」(28ページ)とか、「馬耳東風」が「聞いてない」(106ページ)とか、まぁなるほどと思います。「罵詈雑言」を「ばーかばか」(107ページ)とか、苦しんで無理をしてると感じられるものも散見されますけど。読みながら、自分ならどう言い換えるかを考えるうちに、「絶体絶命」(46ページ)を「百恵ちゃん」と連想してしまう私は…(^^;)
 「波瀾万丈」の「瀾」は大きな波で、万丈は約30kmなんだそうな(56ページ)。「万丈が波の高さなら飛んでる飛行機が水をかぶる。」(56ページ)って、いや、飛行機が飛ぶ高度ってせいぜい10数kmですけど。
 「酒池肉林」(140~141ページ)の肉は食べる肉なんですね。色欲にふけるとか、淫らなという意味合いから、裸ないし半裸の女性のことと思っていました。
 何にせよ、猫のイラストがかわゆい。


すとうけんたろう 講談社 2022年5月30日発行
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この1冊で「考える力」が面白いほど鍛えられる!思考実験BEST50

2022-09-04 23:59:57 | 趣味の本・暇つぶし本
 さまざまな思考実験を紹介し、思考実験を通じて、観察力、発想力、論理的思考力を無理なく、自然にトレーニングできる方法を紹介する(6~7ページ)という本。
 思考実験として歴史的に有名なもの(アインシュタインの相対性理論に関するものとか、シュレディンガーの猫とか)とともに、思考実験というよりもクイズ本でよく見るような頭の体操的な問題も並べられ、「BEST50」という選択の基準はまったく不明ですし、紹介した思考実験での論理的考察についての踏み込んだ説明は乏しく、羅列的な紹介にとどまっているように思えます。「思考実験」を売りにするのであれば紹介する思考実験をもっと絞って1つ1つを丁寧に解説した方がいいし、思考実験と位置づけるには無理があるクイズの類いは捨てるべきでしょう。
 思考実験や練習問題で、読者に向けて質問がされているとき、設問の前提や質問の趣旨があいまいにされているために解答にたどり着けないという印象を持つことが度々ありました。論理的に考えさせることよりも、読者が用意されている解答をできないことを重視しているのかなと思いました。
 そういうことを真面目に受け止めずにパラパラと雑学的に読むことが期待されているのでしょうね。


笠間リョウ 総合法令出版 2022年7月22日発行
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毎日楽しい! 色の日めくり配色帖365

2022-08-18 21:59:58 | 趣味の本・暇つぶし本
 1日1ページで1つの色を関連するイメージ写真、エッセイふうの説明文、その色の色見本とそれと2色をセットにした3色のコーディネート例を紹介した本。
 写真とコーディネート例が目に楽しく眺められますが、同時に、色名の元となったものの写真の色と色見本のズレ、その色名から自分がイメージする色と色見本のズレに首をひねることになる場面が多くありました。
 色が、ピンク、レッド、オレンジ、ブラウン、イエロー、グリーン、ブルー、バイオレット&パープル、ニュートラルにグルーピングされているのですが、その分類も?と思えるところが少なくありません。たとえばDay086 Peach がオレンジに入っているとか…
 まったく同じ色(見本)が別名で2回紹介されているところがあるのは、意図的なものでしょうか、ミスなんでしょうか。Day226 Sky Blue と Day266 空色(ともにCyan 40, Magenta 0, Yellow 5, Key plate 0)、Day248 Forget-me-not とDay282 勿忘草色(ともにC48, M10, Y0, K0)、Day348 Silver Grayと Day356 銀鼠(ともにC0, M0, Y0, K43)は、あえて国際的な慣用色名と日本の伝統色名が併存するということで掲載したのかもしれません。それでもDay364 消炭色では英語の「チャコールグレイ」に相当する色と紹介しながら異なる色見本(Day349 Charcoal Gray はC5, M15, Y0, K83、Day364 消炭色はC0, M0, Y0, K85)を掲載しています。そして、Day024 Baby PinkとDay032 一斤染(ともにC0, M20, Y10, K0)、Day329 Oyster WhiteとDay330 Ivory(ともにC0, M1, Y12, K5)はそういう関係にはないはずですが、まったく同じ色見本が掲載されています。(こういうの気にして見つけちゃうの、職業病ですね。ただし、仕事じゃないので一覧表までは作りませんでしたから完璧ではないでしょうけど:どなたか、さらに他に見つけられるか、チャレンジします?)
 他方で、人間の目がけっこう微細な色の違いを見分けられることも気付かせてくれます。Day327 Milky White(C0, M0, Y3, K0)とDay328 Pearl White(C0, M0, Y5, K0)、Day341 胡粉色(藤田嗣治が女性の肌に使っていた色と説明されています:C0, M0, Y2, K0)が、並べてみると確かに違って見えるのは、けっこう感動ものでした。


桜井輝子 SBクリエイティブ 2022年5月2日発行
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進化のたまもの! どうぶつのタマタマ学

2022-08-09 21:33:43 | 趣味の本・暇つぶし本
 動物の生殖器・睾丸について説明した本。
 哺乳類の大部分(9割くらい)の睾丸が陰嚢に収められて体外でぶら下がっている理由について、体内の高温下では精子の生産能力が落ちるためというのが一般的な説明ですが、単孔類(カモノハシ等)、有袋類(カンガルー、コアラ等)の他、ゾウなど、哺乳類でも睾丸が体内にある種も少なからずあることなどから、著者は疑問を呈しています(60~63ページ)。もっと論争を深めて欲しいなと思います。
 ウズラは(ニワトリも)商品となる卵は有精卵である必要がないので、飼育する人間の都合により卵を産めないオスはヒヨコの段階で殺されてメスだけが育てられるのですが、ウズラの雌雄の判定は難しくてプロの初生雛鑑別師でもときどき判断ミスをする結果、オスが間違えてメスとして育てられケージの中でメスと交尾しまくる(おぉ、ハーレム!)ため、20個に1個くらいの割合で有精卵が混じっているのだそうです(67~69ページ)。
 ウニは、ウニ専門の業者でなければメスの卵巣とオスの精巣がほとんど見分けがつかず、ウニ専門の業者でなければ市場関係者でもウニにオスメスがあることさえ知らないことも多く、食用にされているのは卵巣と精巣が半々の確率なんだそうです(96~98ページ)。
 睾丸そのものの話よりもそういうあたりで知的好奇心をそそられました。


丸山貴史 緑書房 2022年5月20日発行
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将棋のひみつ 見かた・楽しみかたがわかる本

2022-07-24 15:43:52 | 趣味の本・暇つぶし本
 将棋界の歴史、有名棋士の紹介、棋戦の紹介、名勝負などの解説をした本。
 名人戦をめぐる朝日新聞と毎日新聞の確執(27ページ)、読売新聞主催の最高賞金棋戦竜王戦の発足(31ページ)など、ごく控えめにではありますが、将棋界のもめ事にも触れられ、映画化もあって(記録には残らないが)記憶に残る棋士瀬川晶司(泣き虫しょったんの奇跡)(34ページ)、村山聖(聖の青春)(62ページ)も紹介されていて、それなりに読みでがありました。大阪生まれとしては、阪田三吉の話とかもっと詳しく書いて欲しい感じがしますが、そこは仕方ないですかね。
 名勝負の紹介で、升田幸三vs大山康晴の第6期名人戦挑戦者決定戦第3局「高野山の決戦」の棋譜(109ページ ↓ )なんですが、後手(大山)8七飛成りの王手の局面(138手目)で、後手王(3一)に先手の金(4二)で王手がかかっているというありえない記載になっています。調べてみると、4二の金は後手の駒で、棋譜で向きが誤って逆に書かれているようです。

 大山康晴vs中原誠の第31期名人戦第7局の棋譜(112ページ:97手目先手4三竜まで ↓ )も、数えてみたら歩が盤面と持ち駒を合わせて17枚しかありません。これも調べてみたら先手(大山)の8七にあるはずの歩が記載漏れしているようです。

 ちょっとお粗末なんじゃないですか。


羽生善治監修 メイツ出版 2022年4月15日発行
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