「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

【奈良豆比古神社】(ならずひこじんじゃ)

2012年02月20日 23時19分08秒 | 古都逍遥「奈良篇」
 万葉歌人としても有名な志貴皇子(田原天皇・春日宮天皇)を祀る神社で宝亀2年(771)に創建。
 奈良市街地から約4キロ来た北端、京都府との県境に近くに「奈良坂の氏神さん」として地域の人たちに信仰されている。大きな石灯籠と狛犬が印象的で、石の鳥居をくぐり、右手に鏡池を見ながら石畳を進むと拝殿へと続く。

 正面の一段高い柵内に春日造りの三神殿がある。祭神は中央に、「産土の神・平城津彦神」(奈良豆比古神)、右側に「志貴皇子」(田原天皇・春日宮天皇)、左側に「春日王」(志貴皇子の子)。当社は20年毎に御造替(ごぞうたい)が行われ、戦時中も欠かすことなかったとう。

 境内には、巨大な「児の手柏」(万葉の樹)の切り株がある。昭和27年(1952)枯れたが、樹齢千三百年もあったとう古木。更に本殿裏の境内地に楠木が立っており、奈良県の天然記念物に指定されている。根元幹周り約12・8メートル、樹高約30メートルもある巨樹で、千二百年前「田原天皇の子、田原太子(春日王)が療養のため、大木茂る平城山の一社に隠居さる」との伝説が残ってむいる。

 能楽の古い形を残し、国の無形民俗文化財に指定(平成12年)されている翁舞(おきなまい)は、毎年10月8日に演じられる。志貴皇子(しきのみこ)の子、春日王(かすがおう)の病気平癒を祈願して舞ったのが始まりとされている。境内の舞台には、かがり火がたかれ、幽玄な雰囲気の中、舞が行われる。翁舞は、能や狂言が発達する以前の形式を残すもので、日本の芸能史のうえで極めて重要なもとされている。

 同神社に伝わる二十面の内、能面「ベシミ」は室町初期(応永20年・1413)の銘をもつ最古のものである。その他、指定外ではあるが、室町から江戸時代にかけての能狂言面十九面などや能衣装が保存されている。

 所在地:奈良県奈良市奈良阪町
 交通:JR・近鉄奈良駅から奈良坂・青山住宅行バスで奈良坂下車、徒歩5分
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「菅原天満宮」(すがわらてんまんぐう)

2012年02月07日 23時42分33秒 | 古都逍遥「奈良篇」
 創建の由緒は不詳であるが、平城宮跡の東側、菅原の地に鎮座する延喜式内社で、祭神として天穂日命(あめのほひのみこと)、野見宿弥(のみのすくね)、菅原道真(すがわらみちざね)の3神を祀る。当社の略記によれば、天穂日命は野見宿弥の始祖のとされ、菅原道真は野見宿弥の17世の子孫とのことであり、この菅原の地は土師氏(野見宿弥が垂仁天皇より賜った姓)の本拠地で、「菅原」という地名は平城京が造成される以前より存在し、元明天皇が和銅元年(708)9月藤原京からこの地に行幸し、平城宮予定地を視察している。

 当社は菅家発祥及び生誕の地といわれ、菅原道真ゆかりの神社として、終焉の地「太宰府天満宮」と京都「北野天満宮」の3宮を最も重要な神社として位置づけているが、全国にある天満宮と比較してもその規模は小さい。

 当地は菅原道真の生誕の地であるとの伝承があり、「道真の母が菅原氏の本拠であるこの地に戻って道真を出産した」と伝えられている。神社の東東100mの所にある池(現在は「誕生池」と呼ばれる)の水を産湯に使ったとも伝わる。「大和志」も「今称天神」と記し、現在でも「菅原の天神さん」と呼ばれている。社伝によると、文亀年間(1501-04)には兵火、元禄年間(1688-1704)火災にあう。一条院宮真敬法親王の命で寛保年間(1741-44)に再建されたというが、現社殿は菅公千年祭を祈念して修復したものである。平成14年(2002)、それまでの菅原神社から菅原天満宮に改称した。

 社宝に室町時代の絹本着色渡宋天神像があり、賛は京都東福寺・南禅寺に歴住した愚極礼才(ぐごくれいさい)の筆という。

 毎年2月25日に「おんだ祭」(お田植え祭)が催される。翁が田の雑草を引き抜き、牛を使って田を耕し、耕した田をならし、田に種まきをし、田に肥しを撒き、田を見まわして終わるもので、翁の滑稽な仕草と、牛(毎年中学生が演技)と翁の掛け合いと、若い牛の引っ張りについて行けない翁の動作など、滑稽な演技が面白い。
 また、毎年春分の日に筆供養が行われ、多くの筆が納められ賑わう。

 所在地:奈良市菅原町518.
 交通:近鉄奈良線西大寺下車、徒歩すぐ。
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