「古都逍遥 京都・奈良編」「花の詩」「日常のこと」や花や風景写真

 京都・奈良を中心に古刹・名刹や「花の詩」等の紹介。花や風景写真、オリジナルの詩、カラオケ歌唱など掲載しています。

花の詩「石楠花」

2014年08月14日 10時13分16秒 | 古都逍遥「奈良篇」
 花言葉は「威厳」「警戒」「危険」「荘厳」

若いころは夏になると登山も楽しんだ。男体山や白根山を経て奥日光(鬼怒川上流)へと通じるルートが特に好きだった。そして鬼怒川の上流の鄙びた温泉宿(登山者が多い)に宿泊し翌朝川治へと向かい鬼怒川を経て東武鉄道で帰路についたものだった。
 そんな夏になると思い出すのがこんな歌だ。

「夏の思い出」
江間章子作詞、中田喜直作曲

夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬(おぜ) 遠い空
霧のなかに うかびくる
やさしい影 野の小径(こみち)
水芭蕉(みずばしょう)の花が 咲いている
夢見て咲いている水のほとり
石楠花(しゃくなげ)色に たそがれる
はるかな尾瀬 遠い空

夏がくれば 思い出す
はるかな尾瀬 野の旅よ
花のなかに そよそよと
ゆれゆれる 浮き島よ
水芭蕉の花が 匂っている
夢みて匂っている水のほとり
まなこつぶれば なつかしい
はるかな尾瀬 遠い空

 新婚時代、勤務先の任務で東北の秋田で5年暮らした。その頃、親しくなった得意先の社長から「白山石楠花」の盆栽を頂戴したことがあり、以来、石楠花という花が好きになり、写真を趣味にするようになってから季節になると撮影したものだ。

 石楠花は、ツツジ科ツツジ属で、いずれも派手で大きな花に特徴がある。花の色は白あるいは赤系統が多いが、黄色の場合もある。
 葉はロードトキシンという痙攣毒を含む有毒植物で、摂取すると吐き気や下痢、呼吸困難を引き起こすことがある。葉に利尿・強壮の
効果があるとして茶の代わりに飲む習慣を持つ人が多く存在するが、これはシャクナゲに「石南花」という字が当てられているため、これを漢方薬の「石南(オオカナメモチ)」と勘違いしたためであり、シャクナゲにこのような薬効は存在しないとある。
 その昔、神に捧げる木、忌み木とされ、庭木や植栽にする類の花木ではなかったようで、西欧で品種改良が行われ、明治の末に「西洋シャクナゲ」が渡来し一般的になっていった。
 漢字の「石南花」は中国産の別種だが、誤ってこれを用いて「しゃくなんげ」となり次第に「しゃくなげ」になったという説や、背丈がやや低い姿から、「尺なし(しゃくなし)」から転じ「しゃくなげ」になったとの説もある。

 京都の奥山、雲ケ畑にひっそりと佇む古刹・志明院(しみょういん)がある。
 ここに天女の衣を覆い尽くしたように光輝く花、石楠花が自生している。
 市の天然記念物に指定されている境内の石楠花林は4月下旬から5月上旬が見頃。
 司馬遼太郎が好んだ山寺で、アニメ「もののけ姫」のタイトルもこの森から生まれたといわれている。

 「賀茂川をひたすら上流へとさかのぼってゆく。バスの車窓からはリズミカルに並ぶ杉の美林や、しだいにその川幅をせばめところどころに瀬をつくっている賀茂川の清流が見え、大自然の景色を楽しむことができる。そんな景色にもやがて飽きてきたころ、左右の山がひらけ民家が点在するようになる。そこが雲ヶ畑、中には茅葺きの家もありのどかな趣をもつが、かつて平安京造営の際、この地の材木を使ったといわれ、また皇室とのゆかりも深かったところである。志明院は雲ヶ畑にそびえる岩屋山の山腹にあり、終点の岩屋橋でバスを降りそこからさらに奥へと歩く。たどりついた志明院の境内はさすがに山の中だけあってひっそりとし、鳥のさえずりやせせらぎの音のみ聞こえていた。」(古都逍遥より)

【石楠花を詠んだ歌】
「石楠の谷ありいまだ雪をしき」青邨
「石楠花や谷をゆるがす朝の鐘」秋櫻子
「石楠花に三千院の筧水」蛇笏
「石楠花の紅ほのかなる微雨の中」蛇笏
「石楠花に馬酔木の蜂のつく日かな」石鼎
「石楠花に手を触れしめず霧通ふ」亞浪
「石楠の花にしまらく照れる日は向うの谷に入りにけるかな」赤彦
「ひかり染むやまふかくして咲きにけり石楠の花いはかがみのはな」茂吉
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