大型船はずらりと並べられ、暖かい陽を浴びて休んでいた。
海は凪いで、湾の外にも波は見えない。
てらてらと、ゆらゆらと、光を弾くばかりだ。
翌日の昼前、倉庫が並ぶ港の一角では、数人の船乗りが、思い思いの体勢で、待ち時間を過ごしていた。
町からの道を、赤毛の女が、三人の男を従えて、せかせかと歩い来る。
時間丁度だ。
船乗り達が、立ち上がって並ぶ。
「ペレン・サイズ船長ですか?」
赤毛の女が、真ん中に立っている船乗りに問いかけた。
「はい。そうです。早速、積み荷を運んだ倉庫にご案内致します。ところで、割り符は?」
「ああ、こちらです」
女が懐から紙片を取り出した。ペレンが自分の紙片と組み合わせる。
「確かに。こちらです」
ペレンに続いて女達が、続いて他の船乗り達が歩き出す。
女以外は、皆、潮によく焼けている。
「こちらです」
ペレンが錠前を開け、重い扉を開けた。
「どうぞ」
女達が中に入った。後ろで扉が閉められる。
同時に船員達が襲いかかった。
四人を縛り上げるのに、一分とかからなかった。
首を上げて、取り囲む船員達を見回しながら、女が叫ぶ。
「何をするっ!私はっ!」
「名乗るなっ!」
ぴしゃりとペレンが言った。
「その名を名乗られるのは不愉快だ。それでも髪を真似たつもりか?傷んだ茶髪かと思ったぜ。放っておけば爆発し放題の癖っ毛を、毎日といたのは、この俺だ!」
ペレンより少し若いサンが、覗き込む。
「俺はルーに憧れて船乗りになったんだ。それをこんなツラで、図々しい!」
一番年かさの男が続けた。
「そうだ!俺なんか、おしめを替え 」
「おしめっ!」
奥の暗がりから、叫びが聞こえた。
口を開けたままのセランの横で、面倒臭そうに赤毛の女、本物のルージュサン、が言った。
「初めての取引相手とはいっても、私が育った船から独立した人達です。事情を説明して協力してもらいました」
ルージュサンが虜囚達に近づきながら言った。
「中途半端な情報をあなた達に与えて、今回のことを頼んだのは誰ですが?」
前日セランの首に、刃を当てた男の前で屈み込む。
「素直に話せば、訴え出たりしません」
男が黙って睨み返す。
「手荒な真似をしても、お互い良いことはありません。無駄は省かせて下さい」
ルージュサンは彼の仲間達を順に見た。
「何方か話して下さいませんか?」
誰も何も言わない。
おむつを替えたトグルが口を挟んだ。
「一人話せばいいんだろ?後は積み込んで、沖で捨てればいいんじゃないか?」
サンが言った。
「俺も参加していいですか?勝った奴が夕飯を奢るってことで」
一番若いグラが、懐からナイフを取り出した。
セランが目を丸くして飛び出した。
「待って下さい!彼らは、私とルージュサンを出会わせてくれた恩人です。その上、素敵な一夜もくれた。なのに、殺すなんて!」
皆が一斉に彼を見て、ほぼ全員が脱力した。
サンだけが眉間に皺を寄せて、瞼を閉じた。
最初に気を取り直したのはルージュサンだった。
「私に任せると言いましたよね?」
押し潰すようにセランに言って、船乗り達に向き直る。
「夕飯は私が奢ります。手段は選びませんから聞き出して下さい。話せる口を一つ、持ち帰れればかまいません」
囚われた四人を見下ろして、船乗り達が物騒な笑みを浮かべた。
…………………………………………………………………………
一歳頃から船乗り達に育てられたルージュサンは、五歳の時、陸での休暇中、一日がかりで全員の花冠を編んで贈りました。
全員大喜びで、それがばらばらになるまで被っていました。
その後、ルージュサンは女の子だからと、情操教育の為、船の備品と乗組員達の衣服には、花柄を使うようになりました。
以来なぜか、航海中時化に会うことが無くなり、『幸運な花の船』と呼ばれることに。
トグルお気に入りのガラス製花柄ボタンを、イメージして。
材料
畜光プラバン
レジン液ハード
道具
油性マジック
ハサミ
オーブントースター
レジン用シリコン型 ボタン型
ピンセット
1 プラバンにマジックで花を描く。両面がお勧めです。
2 1をハサミで切り出す。
3 2をトースターで焼き、冷ます。
4 シリコン型に少量レジン液を流し込み、3をピンセットで並べる。
5 更にレジン液を流し込む。
6 5を紫外線に当て、固まったら、外す。
海は凪いで、湾の外にも波は見えない。
てらてらと、ゆらゆらと、光を弾くばかりだ。
翌日の昼前、倉庫が並ぶ港の一角では、数人の船乗りが、思い思いの体勢で、待ち時間を過ごしていた。
町からの道を、赤毛の女が、三人の男を従えて、せかせかと歩い来る。
時間丁度だ。
船乗り達が、立ち上がって並ぶ。
「ペレン・サイズ船長ですか?」
赤毛の女が、真ん中に立っている船乗りに問いかけた。
「はい。そうです。早速、積み荷を運んだ倉庫にご案内致します。ところで、割り符は?」
「ああ、こちらです」
女が懐から紙片を取り出した。ペレンが自分の紙片と組み合わせる。
「確かに。こちらです」
ペレンに続いて女達が、続いて他の船乗り達が歩き出す。
女以外は、皆、潮によく焼けている。
「こちらです」
ペレンが錠前を開け、重い扉を開けた。
「どうぞ」
女達が中に入った。後ろで扉が閉められる。
同時に船員達が襲いかかった。
四人を縛り上げるのに、一分とかからなかった。
首を上げて、取り囲む船員達を見回しながら、女が叫ぶ。
「何をするっ!私はっ!」
「名乗るなっ!」
ぴしゃりとペレンが言った。
「その名を名乗られるのは不愉快だ。それでも髪を真似たつもりか?傷んだ茶髪かと思ったぜ。放っておけば爆発し放題の癖っ毛を、毎日といたのは、この俺だ!」
ペレンより少し若いサンが、覗き込む。
「俺はルーに憧れて船乗りになったんだ。それをこんなツラで、図々しい!」
一番年かさの男が続けた。
「そうだ!俺なんか、おしめを替え 」
「おしめっ!」
奥の暗がりから、叫びが聞こえた。
口を開けたままのセランの横で、面倒臭そうに赤毛の女、本物のルージュサン、が言った。
「初めての取引相手とはいっても、私が育った船から独立した人達です。事情を説明して協力してもらいました」
ルージュサンが虜囚達に近づきながら言った。
「中途半端な情報をあなた達に与えて、今回のことを頼んだのは誰ですが?」
前日セランの首に、刃を当てた男の前で屈み込む。
「素直に話せば、訴え出たりしません」
男が黙って睨み返す。
「手荒な真似をしても、お互い良いことはありません。無駄は省かせて下さい」
ルージュサンは彼の仲間達を順に見た。
「何方か話して下さいませんか?」
誰も何も言わない。
おむつを替えたトグルが口を挟んだ。
「一人話せばいいんだろ?後は積み込んで、沖で捨てればいいんじゃないか?」
サンが言った。
「俺も参加していいですか?勝った奴が夕飯を奢るってことで」
一番若いグラが、懐からナイフを取り出した。
セランが目を丸くして飛び出した。
「待って下さい!彼らは、私とルージュサンを出会わせてくれた恩人です。その上、素敵な一夜もくれた。なのに、殺すなんて!」
皆が一斉に彼を見て、ほぼ全員が脱力した。
サンだけが眉間に皺を寄せて、瞼を閉じた。
最初に気を取り直したのはルージュサンだった。
「私に任せると言いましたよね?」
押し潰すようにセランに言って、船乗り達に向き直る。
「夕飯は私が奢ります。手段は選びませんから聞き出して下さい。話せる口を一つ、持ち帰れればかまいません」
囚われた四人を見下ろして、船乗り達が物騒な笑みを浮かべた。
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一歳頃から船乗り達に育てられたルージュサンは、五歳の時、陸での休暇中、一日がかりで全員の花冠を編んで贈りました。
全員大喜びで、それがばらばらになるまで被っていました。
その後、ルージュサンは女の子だからと、情操教育の為、船の備品と乗組員達の衣服には、花柄を使うようになりました。
以来なぜか、航海中時化に会うことが無くなり、『幸運な花の船』と呼ばれることに。
トグルお気に入りのガラス製花柄ボタンを、イメージして。
材料
畜光プラバン
レジン液ハード
道具
油性マジック
ハサミ
オーブントースター
レジン用シリコン型 ボタン型
ピンセット
1 プラバンにマジックで花を描く。両面がお勧めです。
2 1をハサミで切り出す。
3 2をトースターで焼き、冷ます。
4 シリコン型に少量レジン液を流し込み、3をピンセットで並べる。
5 更にレジン液を流し込む。
6 5を紫外線に当て、固まったら、外す。
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