一年後、隣の屋敷の花の庭に、子爵はいた。
新しい噴水を御披露目する、小さなパーティーに招待されたのだ。
同じ年の当主とは反りが会わないが、その七つ下の妹はいわゆるお転婆で、小さい頃はたまに遊んであげてもいた。
その妹が出戻ってきたと聞いて、気になっていたのだ。
昔より少し肉が付いた背中に、子爵は声を掛けた。
「調子はいかがですか?」
さりげなさを装っても、気遣いが滲む。
「ああ、噂がお耳に入ったのですね?」
婦人は振り向いて明るく笑った。
「もうずっと不仲だったのです。子供が出来ないなんて、ただの口実。せいせい致しました」
「失礼した。噂というのは、たてる方の品位が現れるものでした」
「私は構いませんが、そちらこそ大変でしょう。お嬢様はもう、十五、六でしたわね?」
「ああ」
子爵が苦笑した。
「私が娘を妻にするという、馬鹿らしい話かね。娘は一笑に付していたが、親としては娘の名誉を考えてしまう。私が再婚でもすれば、少しはましかもしれないが」
婦人が悪戯っぽく横目で見た。
「あら、本気で再婚なされば良いのに」
「理由がこれでは相手に悪いだろう。その上、子供も望まぬし」
婦人が真顔になった。
「全てがお嬢様の為なのですね・・・。実は私、少々肩身の狭い思いをしておりますの」
子爵はまじまじと婦人を見つめ、両手でがしっと、その手を取った。
…………………………………………………………………………
再婚するに当たって、子爵は先妻の部屋を片付けようとしましたが、婦人は『かえって気を遣ってしまう』と、そのままにするようお願いしました。
そして婦人が結婚後、子爵に贈った最初のプレゼントは、つぎはぎのベッドカバーでした。
『先妻が、端布で子爵のベッドカバーを作っていた』と、小耳に挟んだのです。
後で、先妻はパッチワークが趣味だったと知り、頭を抱えるのですが、子爵はそんな婦人を愛しく思いました。
こうして婦人は、初恋を実らせたのです。
子爵のベッドカバーをイメージして
材料
大きめの端布(カーテン用)数枚
糸
道具
ミシン一式
裁縫道具一式
1 端布の大きさとベッドの大きさを測り、合うように組み合わせを考える。
2 片方の縫い代を1、7cmもう片方の縫い代を1cmにし、ミシンで継ぎ合わせて、狭い方の縫い代を広い方の縫い代で包んでミシンで押さえ、始末する。
新しい噴水を御披露目する、小さなパーティーに招待されたのだ。
同じ年の当主とは反りが会わないが、その七つ下の妹はいわゆるお転婆で、小さい頃はたまに遊んであげてもいた。
その妹が出戻ってきたと聞いて、気になっていたのだ。
昔より少し肉が付いた背中に、子爵は声を掛けた。
「調子はいかがですか?」
さりげなさを装っても、気遣いが滲む。
「ああ、噂がお耳に入ったのですね?」
婦人は振り向いて明るく笑った。
「もうずっと不仲だったのです。子供が出来ないなんて、ただの口実。せいせい致しました」
「失礼した。噂というのは、たてる方の品位が現れるものでした」
「私は構いませんが、そちらこそ大変でしょう。お嬢様はもう、十五、六でしたわね?」
「ああ」
子爵が苦笑した。
「私が娘を妻にするという、馬鹿らしい話かね。娘は一笑に付していたが、親としては娘の名誉を考えてしまう。私が再婚でもすれば、少しはましかもしれないが」
婦人が悪戯っぽく横目で見た。
「あら、本気で再婚なされば良いのに」
「理由がこれでは相手に悪いだろう。その上、子供も望まぬし」
婦人が真顔になった。
「全てがお嬢様の為なのですね・・・。実は私、少々肩身の狭い思いをしておりますの」
子爵はまじまじと婦人を見つめ、両手でがしっと、その手を取った。
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再婚するに当たって、子爵は先妻の部屋を片付けようとしましたが、婦人は『かえって気を遣ってしまう』と、そのままにするようお願いしました。
そして婦人が結婚後、子爵に贈った最初のプレゼントは、つぎはぎのベッドカバーでした。
『先妻が、端布で子爵のベッドカバーを作っていた』と、小耳に挟んだのです。
後で、先妻はパッチワークが趣味だったと知り、頭を抱えるのですが、子爵はそんな婦人を愛しく思いました。
こうして婦人は、初恋を実らせたのです。
子爵のベッドカバーをイメージして
材料
大きめの端布(カーテン用)数枚
糸
道具
ミシン一式
裁縫道具一式
1 端布の大きさとベッドの大きさを測り、合うように組み合わせを考える。
2 片方の縫い代を1、7cmもう片方の縫い代を1cmにし、ミシンで継ぎ合わせて、狭い方の縫い代を広い方の縫い代で包んでミシンで押さえ、始末する。
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