雨竜沼湿原入口から車を走らすこと3時間余り、富良野岳の南麓に位置する原始ヶ原に着いたのは12時を回ったころだった。空は雨模様、もうすぐにでも降り出しそうだ。
登山道入り口の鳥居
コースは本来周回できるのだが、滝めぐりコースは橋が流されて通れないようなのでピストンしなければならない。二人組の登山者が9時過ぎに入山届を出していた。戻ってくるまで会うことがなかったのはどういうことだろう。
歩き始めるとすぐにちょっとした急登が始まった。ナナカマドの花が見える。
整然とはしてないが、道は一応しっかりとしていて迷わず行けそうだ。
ミヤマオダマキが今にも咲きそうだ
真っ赤なツツジ、ムラサキヤシオだろうか
少し登っただけでたくさんの花たちが出迎えてくれた。
左上からニョイスミレ、ゴゼンタチバナ、キバナノコマノツメ、ノウゴウイチゴ
ミヤマスミレ
オオカメノキ
ハクサンチドリはここではまだ蕾
ズダヤクシュ
ツクバネウツギをさらに黄色くしたようなウコンウツギ、北海道の山ではよく見かける花のようだ。
フッキソウ
これは嬉しいヒメイチゲの花だ。内地とは2か月ぐらいの季節差がある。
1時間以上来たところで天使の泉の看板があった
左側の岩の割れ目から湧き出した水はそのまま再び地下へと流れていく。地上に現れた時間が短いからか、地下のミネラル分をよく含んでいてとても美味しかった。
ミヤマカタバミ
これまた嬉しい、ツバメオモトの花だ。
ミヤマエンレイソウ
広原の滝。水量はかなり多い
この先流れの強い川を石伝いに渡渉
急坂を登りきった先には荒漠たる湿原が広がっていた
傾いた登山道の標識
どうやら原始ヶ原にたどり着いたようだ
ミズバショウがあちらこちらで咲いている
やっとショウジョウバカマも顔を出し始めた。
ワタスゲの花
これはヒメシャクナゲ
左右に同じような湿原がずっと続いていて果てしがない
どこが道なのかわからなくなってくる。時折見られる赤テープがなければ、たちまち道を見失ってしまいそうだ。
そのまま盆栽にできそうな背の低い、風雪に耐えた針葉樹があちこちに見られる。
松浦武四郎(江戸末期から明治にかけての探検家、北海道の命名者といわれる)通過の地の碑。
150年前とほとんど変わらぬ風景が確かにここにはある。
ガスが濃くなり、少しずつ雨脚も強くなってきた。時刻も2時を過ぎた。どうやら潮時のようだ。
この雨の調子では湿原一帯はやがて湖に変わってしまうように思えた。この先の五反沼までが目的地だったが、ここで引き返すことにしよう。