斉東野人の斉東野語 「コトノハとりっく」

野蛮人(=斉東野人)による珍論奇説(=斉東野語)。コトノハ(言葉)に潜(ひそ)むトリックを覗(のぞ)いてみました。

断想片々(44) 【中身のないニュース】

2022年11月10日 | 言葉
 ニュースには中身のないものや薄いもの、不確かなものも多い。例えば9日付け読売新聞朝刊国際面(13S版)に載った3段の囲み記事だ。見出しは「『露、米選挙に干渉してきた』」「『プーチンの料理人』実業家プリゴジン氏」。米国内は中間選挙のさなかであり、トランプ氏の次回大統領選出馬が取り沙汰されていたから、格好のニュースネタだったのだろう。

 このプリゴジン氏、最近はSNSで敵方ウクライナ・ゼレンスキー大統領の力量を褒(ほ)め上げるなど話題の人である。前回米大統領選でもロシアがトランプ候補側に付いて選挙干渉したとの話が出たから、ふたたび「米選挙にロシアが干渉した」だけでは二番煎じ。その点「プーチンの料理人のプリゴジン氏も」は、新しい要素だ。

 問題は中身
 しかし、要はそれだけのこと。読者が知りたいのは選挙干渉の具体的な中身の方だ。一般に知られていない事実を知る「プーチン側近」なればこそと、読者は(もちろん筆者も)期待して読み始める。ところが、いくら読み進んでも「米選挙に干渉してきた」の域から出ない。結果、読者の感想は「なあーんだ・・」で終わる。フェイクにあらずとはいえ、中身のない、少なくとも薄いニュースである。