話題の本『反日種族主義』(李栄薫・編著、文芸春秋刊)に、韓国で起きた「鉄杭騒動」についての記述がある。当時の日本でも一部報じられたようだが、大半の日本人は知らないと思われるので、紹介してみる。
「植民地期に日帝は朝鮮の地から人材が出るのを防ぐため、全国の名山にわざと鉄杭を打ち風水侵略をした--」
風水思想の盛んな韓国では、戦後このような話が口承されてきた。非科学的な言い伝えも民間にはよくあるが、韓国では金泳三政権が1995年に「光復50周年記念力点推進事業」として国家規模で取り上げ、大々的な鉄杭撤去運動を展開した。運動期間の6か月間に除去された鉄杭は439本に上り、うち18本が「日帝の手で打ち込まれた」と認定された。認定された1本である慶尚北道亀尾市の金鳥山の鉄杭について、鑑定にあたった韓国の風水専門家は「金鳥山で鉄杭が打たれた場所は風水学上の明堂(優れた場所)。龍が天に向かって立ち上がる場所に仏が横たわっており、その額の部分に鉄杭が打たれていた」と証言した。新聞記者に「この鉄杭は日帝が打ったという科学的で客観的な証拠は?」と問われると「証拠はないが、金鳥山は風水的観点からして非常に重要なので、日帝の所業であることは間違いないと推定した」と答えた。
江原道揚口郡で除去された3本の鉄杭は大型で、最も長いものは2・58メートル、直径2・5センチ。3本とも表面にサビはなく、一見して最近作られたものと思われたが、ソウル国立民俗博物館は次の説明文とともに展示した。
「民族抹殺政策の一環として、我々民族の精気と脈を抹殺しようと、全国の名山に鉄杭を打ったり、鉄を溶かして注いだり、炭や瓶を埋めた。風水地理的に有名な名山に鉄杭を打ち込み、地気を押さえ人材輩出と精気を押さえ付けようとした」
日本国内では測量上の必要から山頂に石やコンクリートの三角点を打ち込む。平場では道路に鉄杭も打つ。日本が朝鮮統治時代に大掛かりな測量を実施したこと、その際に山頂に鉄杭が打ち込まれたことなどは、調べれば韓国内でも分かったはずだ。もし当時の「光復50周年記念力点推進事業」関係者が日本に問い合わせていれば、日本には「何者かを抹殺するために」山頂へ鉄杭を打ち込む風水信仰がないこと、崇敬を集める富士山の頂上にも三角点が打たれていることなどは、すぐに分かる。
他国の民俗・風習は尊重すべき伝統文化である。とはいえ、隣国ではどのようなプロセスでモノゴトが認識されてしまうかを、日本国民として知っておく必要はある。
「植民地期に日帝は朝鮮の地から人材が出るのを防ぐため、全国の名山にわざと鉄杭を打ち風水侵略をした--」
風水思想の盛んな韓国では、戦後このような話が口承されてきた。非科学的な言い伝えも民間にはよくあるが、韓国では金泳三政権が1995年に「光復50周年記念力点推進事業」として国家規模で取り上げ、大々的な鉄杭撤去運動を展開した。運動期間の6か月間に除去された鉄杭は439本に上り、うち18本が「日帝の手で打ち込まれた」と認定された。認定された1本である慶尚北道亀尾市の金鳥山の鉄杭について、鑑定にあたった韓国の風水専門家は「金鳥山で鉄杭が打たれた場所は風水学上の明堂(優れた場所)。龍が天に向かって立ち上がる場所に仏が横たわっており、その額の部分に鉄杭が打たれていた」と証言した。新聞記者に「この鉄杭は日帝が打ったという科学的で客観的な証拠は?」と問われると「証拠はないが、金鳥山は風水的観点からして非常に重要なので、日帝の所業であることは間違いないと推定した」と答えた。
江原道揚口郡で除去された3本の鉄杭は大型で、最も長いものは2・58メートル、直径2・5センチ。3本とも表面にサビはなく、一見して最近作られたものと思われたが、ソウル国立民俗博物館は次の説明文とともに展示した。
「民族抹殺政策の一環として、我々民族の精気と脈を抹殺しようと、全国の名山に鉄杭を打ったり、鉄を溶かして注いだり、炭や瓶を埋めた。風水地理的に有名な名山に鉄杭を打ち込み、地気を押さえ人材輩出と精気を押さえ付けようとした」
日本国内では測量上の必要から山頂に石やコンクリートの三角点を打ち込む。平場では道路に鉄杭も打つ。日本が朝鮮統治時代に大掛かりな測量を実施したこと、その際に山頂に鉄杭が打ち込まれたことなどは、調べれば韓国内でも分かったはずだ。もし当時の「光復50周年記念力点推進事業」関係者が日本に問い合わせていれば、日本には「何者かを抹殺するために」山頂へ鉄杭を打ち込む風水信仰がないこと、崇敬を集める富士山の頂上にも三角点が打たれていることなどは、すぐに分かる。
他国の民俗・風習は尊重すべき伝統文化である。とはいえ、隣国ではどのようなプロセスでモノゴトが認識されてしまうかを、日本国民として知っておく必要はある。