高齢者は、ますます厳しく
出産育児と、75歳以上の後期高齢者とに、如何なる関係ありや? 厚労省は2024年4月から増額予定の出産育児一時金について、増額分の7%を後期高齢者の負担とする制度改正に乗り出すという(11日付け読売新聞朝刊、13S版)。同じ厚労省の予算内とはいえ、ズボン前部の綻(ほころ)びを、さらに擦(す)り減った尻の布を切り取って縢(かが)る(=補強のために縫う)ものだ、とは言えまいか。
飛び跳ねるように上昇した消費者物価と、下がる一方の年金支給額。<年金支給額は物価変動に合わせて上下させる>の原則もどこへやら、実際は、物価変動は年金支給額を下げる口実に使われても、上げる理由には使われない。
賦課方式と積立方式
お年寄りたちは今、極めて従順になった(ようにも見える)。背景の一つに、年金制度をめぐる若者世代への引け目と遠慮があるのかもしれない。どういうことか--。
現在の年金財源は、世代間で支えあう「賦課(ふか)方式」であるとされている。若い現役世代の負担により、受給者は年金をもらっている--と。しかし、これはゴマカシ、言葉のトリックである。
筆者たち団塊世代が社会に出たころ、異なる考え方で年金制度が運営されていた。年金財源は国の管理下で年金加入者が積み立てる、という「積立方式」の考え方である。ところが積み立てていたはずの巨額の年金財源は、「賦課方式」というコトバの登場とともに消えた。はっきり言えば、国と当時の政治家たちが、積み立てられていた年金財源を”無駄遣い”してしまった(9「賦課方式」、10「続・賦課方式」参照)。バブルに浮かれていた時代のことだ。
シルバー民主主義は、いずこへ?
話は戻る。高齢者の発言が尊重された頃に使われた「シルバー・パワー」や「シルバー民主主義」などのコトバが影をひそめ、ややもすると当世は「老人福祉」という語さえ消えかけたかに見える。今年10月から75歳以上の医療費窓口負担も2割に増えた。後期高齢者は今やヤラレ放題である。
出産育児と、75歳以上の後期高齢者とに、如何なる関係ありや? 厚労省は2024年4月から増額予定の出産育児一時金について、増額分の7%を後期高齢者の負担とする制度改正に乗り出すという(11日付け読売新聞朝刊、13S版)。同じ厚労省の予算内とはいえ、ズボン前部の綻(ほころ)びを、さらに擦(す)り減った尻の布を切り取って縢(かが)る(=補強のために縫う)ものだ、とは言えまいか。
飛び跳ねるように上昇した消費者物価と、下がる一方の年金支給額。<年金支給額は物価変動に合わせて上下させる>の原則もどこへやら、実際は、物価変動は年金支給額を下げる口実に使われても、上げる理由には使われない。
賦課方式と積立方式
お年寄りたちは今、極めて従順になった(ようにも見える)。背景の一つに、年金制度をめぐる若者世代への引け目と遠慮があるのかもしれない。どういうことか--。
現在の年金財源は、世代間で支えあう「賦課(ふか)方式」であるとされている。若い現役世代の負担により、受給者は年金をもらっている--と。しかし、これはゴマカシ、言葉のトリックである。
筆者たち団塊世代が社会に出たころ、異なる考え方で年金制度が運営されていた。年金財源は国の管理下で年金加入者が積み立てる、という「積立方式」の考え方である。ところが積み立てていたはずの巨額の年金財源は、「賦課方式」というコトバの登場とともに消えた。はっきり言えば、国と当時の政治家たちが、積み立てられていた年金財源を”無駄遣い”してしまった(9「賦課方式」、10「続・賦課方式」参照)。バブルに浮かれていた時代のことだ。
シルバー民主主義は、いずこへ?
話は戻る。高齢者の発言が尊重された頃に使われた「シルバー・パワー」や「シルバー民主主義」などのコトバが影をひそめ、ややもすると当世は「老人福祉」という語さえ消えかけたかに見える。今年10月から75歳以上の医療費窓口負担も2割に増えた。後期高齢者は今やヤラレ放題である。