先日、市が主催する職場復帰支援推進セミナーに行ってきました。うつ病に罹患した労働者の職場復帰についての取り組み事例の発表と、精神科医によるメンタルヘルスのお話でした。
業界を問わず若年者によるうつ病の軽症化・慢性化が予想よりも多く、復職できないケースが急増しているようです。治療費などの直接費用だけではなく、休職と業務の能率低下による生産性の損失といった間接費用も大きく、企業とくに中小零細企業にとって痛手となっています。企業にとってというよりも社会全体にとって大きな損失だと思います。
うつ病はもはやとてもポピュラーな病気だと思いますが、それでもまだ「精神的に弱い人」が罹患する病気、あるいは「相当の過重労働」で発病すると思われていないでしょうか。
現代社会は変化が激しくストレスが多い、…とか言うと、「いつの時代だって変化はある。ストレスだって同じことだ」と反論される方が、たぶん年配の方に多いと思うのです。それはそれで確かに正論なのだけども、一方で認識があまりにも甘く不十分だと思うのです。自分の経験でしか考えられないのは誰もが同じです。だからこそ、異なる世代、異なる性、異なる文化などから学ばなければいけないのではないでしょうか。
「現代社会の構造と環境・ストレスの変化」はとても興味深い内容でした。自由主義経済に基づく限りない生産性向上、経済優先政治による市場原理や超顧客優先主義に基づく非寛容な社会、といった話は、「弱者切り捨て」批判として「福祉」関連の物語とでも思われていないでしょうか。弱者だからこれらの時代の変化についてこられない、そう思っていませんか。自分が時代の変化についていけるのは優秀で強いからだと思っていませんか。
私は今現在心身共にまずまず良好です。幸い家族も同じです。でもいつどんな病気になるかわからない、どんな病気にでもかかる恐れがあると感じています。外へ出れば7人の敵と言いますが、全くそのとおりで、油断ができません。私たちは風の前の塵に等しくとても弱い存在だと思います。自分たちが暮らすこの世界を侮っていては簡単に命が奪われてしまいます。生命を脅かすものに対しては敢然と立ち向かわなければなりません。
アルコールやたばこのコマーシャルに対して、ギャンブルに対して、ドラッグに対して、きっぱり「規制」の方向でいくべきです。「規制」はなくせばいいというものではありません。規制すれば済む話か、などという人は悪しき楽観主義といえます。「依存症」というものを甘く見過ぎていると思います。自分自身でどうにかできるもの、その人次第だ、などと思っていないでしょうか。
危険ドラッグなどのように、規制そのものが難しいものがあります。それでも、苦しんでいる人がいる以上、なんらかの規制のうえで解決に取り組むべきです。
セミナーの内容は、病気の従業員を抱えて困っている会社にとって、今すぐどうすればいいか、といったものを示すものではありませんでしたが、決して他人事ではない、いつ自分の身に降りかかってもおかしくない、といったことが認識できるものでした。
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