特別養子縁組というのは、普通養子縁組と違い、養子の対象となるのは6歳未満の子どもで、一旦家裁を通して縁組が成立すると、解消はできず、実親との関係はなくなってしまう。試験養育期間が設けられており、その間は里親と里子の関係となる。
さて、この試験養育期間であるが、生まれたばかりの赤ちゃんと特別養子縁組をする場合、里親となる人は、雇用保険の育児休業を取得することができるのか?
月刊社労士4月号に掲載されていた事例です。
平成25年12月24日、労働保険審査会において、試験養育期間中の里親への休業給付を支給しないとした、福島公共職業安定所長の原処分を取り消す裁決がなされました。
法律上の親子ではないことを理由に、育児休業給付金が支給されないことを不服とした女性が、雇用保険審査官に審査請求をしましたが、審査官はこれを棄却したので、さらにこの決定を不服として、労働保険審査会に再審査請求をしました。
特別養子縁組のための試験養育期間中の里親に育児休業給付金が支給されないという処分は妥当なのか、ということが争点です。
育児休業中の人は、健康保険・厚生年金保険の保険料が免除されています。(労使とも)
このケースでも認められています。
育児・介護休業法における配偶者には、事実婚の人も含まれています。
特別養子縁組では、試験養育期間はなくてはならないものですが、普通養子縁組ではとくに必要ありません。育児休業給付金の対象となるのが、法律上の親子に限られているならば、試験養育期間の必要ない普通養子縁組をした人は給付を受けることができ、特別養子縁組の人は給付を受けることができないということです。特別養子縁組は、親子関係を安定させるために試験期間を設けています。子供の真の利益・幸福のために作られた制度です。普通養子縁組は相続税逃れに悪用されたり、養子にした子供を働かせてお金を搾取したり、悪用された歴史がありますから。
試験養育期間中の里親が育児休業給付金が受給できないのであれば、真に子どもの利益となる制度を選んだ人が、社会保障の制限を受けることになってしまいます。
なので、職安所長の処分は妥当性を欠くとして取り消され、育児休業給付の業務取扱要綱には、「特別養子縁組の試験養育期間中の里親は、法律上の親子関係に基づく子に準じて取り扱う」という内容が追加されたそうです。
再審査代理人としてかかわった福島県の社会保険労務士・宍戸宏之さんの報告からでした。
同じ里親として、感無量の思いです。おおげさに思うかもしれませんが、お上にもの申すなんて、およそ日本人は苦手で考えもしないことだと思います。今まで多くの人があきらめていたと思います。却下されて、そうだよね無理だよね、とあきらめていたんだと思います。この里親さんの勇気ある行動が里親制度を大きく前進させたと思います。この勢いで養育里親も育休とれないかな。
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