NPO法人POSSE(若者の労働相談を中心に活動)代表の
今野晴貴と理事の坂倉昇平の共著
『ブラック企業VSモンスター消費者』
の紹介と感想です。一見、ブラック企業のものを買う消費者が悪い!
店員などに過剰なサービスを要求するモンスター消費者が悪い!
ととれるタイトルだが…
内容はそれほど単純明快ではなく
やや複雑な構成となっています。
ブラック関係の著書が他にもある今野晴貴は5章のうち第2章の
「ブラック企業は消費者を食い殺す」のみ執筆しています。
消費者の高度な要求が会社をブラック化させている面もある
として、しかしながら、その要求に応えるため
従業員の待遇が悪くなり、結果として事故などが多発し、
消費者自身にはねかえってきていると指摘しています。
興味深かったのは坂倉昇平が執筆している
第3章「消費者はいつから神様だったのか」と
第4章「24時間年中無休の特殊性を考える」です。
(第1章は「極悪クレーマーが会社をブラック化する」のタイトルでしまむら土下座事件などが紹介されている)
元々戦後の消費者運動は、労働組合の活動のひとつであった
というのが意外だった。労働組合がGHQや日本政府によって鎮圧され
賃上げが落ち着いたときに、組合員に限って安く品物を購入できる
生活協同組合(生協)ができたそうだ。だが次第に、労働組合に
加入している人だけが安く買えるのはおかしいという声がでてきて
労働組合とは分裂していったということだ。
労働者と消費者が別々に歩みだしたのである。
1970~1971年に「カラーテレビ不買運動」なるものが
起きたそうだ。メーカーの価格に不満を持つ消費者が、1年間
カラーテレビを買うことを控えたため、メーカーは売り上げが激減し
生産がストップしたため、下請けの労働組合が不買運動をやめさせるよう
要請し、価格を下げたというものだ。
消費者運動は、労働者の生活を脅かし、失業の不安に直面させるという
かたちで、定価価格を実現したとも考えられる(坂倉)
消費者優先の思想は、低成長とサービス産業拡大の時代を背景に
低価格によって労働条件を悪化させていった(坂倉)
社会学者の古市憲寿さんは
牛丼やファーストフードなどを、日本型の福祉とか言って
ほうぼうで非難されていましたが、
安さの後ろに何があるかを考えると
冗談は顔だけにしてくださいって思います…
(こころのノートに関するコメントとかはあまりにもおもしろいのでが…)
ところで
「お客様は神様です」というフレーズ
あまりに有名ですが
間違って広がっていて、三波春夫さんの遺族は
抗議されているそうです。
「常にお客様を神様だと思い、心を無心にして歌いたい」
という意味であり、決して
「お客様がどん無理を言っても従え」という意味ではないということです。
サービスする人を見下すような人はお客様ではないと憤っているそうです。
第5章では、都市社会学者の五十嵐さんを交えて3人で対談をしています。
五十嵐さんは、
「ブラック企業が生まれるのは消費者も悪い」
という側面はあるが、じゃあ、そんな企業の商品は買うなでは解決しない
と言っています。安いものを買う人には、そもそも選択肢がないことがほとんど。
労働ダンピングで安くなった商品を買うことで、自らの首も絞めているのだが
そこから簡単に抜け出すことはできないのだと。
労働法規の整備や正常な運用、まずそれがあって、そのうえで
消費者の選択により、ブラック企業が淘汰される、決して逆ではないのだと。
この対談については労働政策研究所の浜口桂一郎さんも
hamachanブログで一読の価値ありとされていますが
ここに落ち着いてホッとしました。
浜口さんによると、欧米でも産業のサービス化により、労働者への
ハラスメントが問題になっているということです。もっとも
日本と違い、労働問題として扱われていることに大きな隔たりを
感じるとのことでした。
今野晴貴と理事の坂倉昇平の共著
『ブラック企業VSモンスター消費者』
の紹介と感想です。一見、ブラック企業のものを買う消費者が悪い!
店員などに過剰なサービスを要求するモンスター消費者が悪い!
ととれるタイトルだが…
内容はそれほど単純明快ではなく
やや複雑な構成となっています。
ブラック関係の著書が他にもある今野晴貴は5章のうち第2章の
「ブラック企業は消費者を食い殺す」のみ執筆しています。
消費者の高度な要求が会社をブラック化させている面もある
として、しかしながら、その要求に応えるため
従業員の待遇が悪くなり、結果として事故などが多発し、
消費者自身にはねかえってきていると指摘しています。
興味深かったのは坂倉昇平が執筆している
第3章「消費者はいつから神様だったのか」と
第4章「24時間年中無休の特殊性を考える」です。
(第1章は「極悪クレーマーが会社をブラック化する」のタイトルでしまむら土下座事件などが紹介されている)
元々戦後の消費者運動は、労働組合の活動のひとつであった
というのが意外だった。労働組合がGHQや日本政府によって鎮圧され
賃上げが落ち着いたときに、組合員に限って安く品物を購入できる
生活協同組合(生協)ができたそうだ。だが次第に、労働組合に
加入している人だけが安く買えるのはおかしいという声がでてきて
労働組合とは分裂していったということだ。
労働者と消費者が別々に歩みだしたのである。
1970~1971年に「カラーテレビ不買運動」なるものが
起きたそうだ。メーカーの価格に不満を持つ消費者が、1年間
カラーテレビを買うことを控えたため、メーカーは売り上げが激減し
生産がストップしたため、下請けの労働組合が不買運動をやめさせるよう
要請し、価格を下げたというものだ。
消費者運動は、労働者の生活を脅かし、失業の不安に直面させるという
かたちで、定価価格を実現したとも考えられる(坂倉)
消費者優先の思想は、低成長とサービス産業拡大の時代を背景に
低価格によって労働条件を悪化させていった(坂倉)
社会学者の古市憲寿さんは
牛丼やファーストフードなどを、日本型の福祉とか言って
ほうぼうで非難されていましたが、
安さの後ろに何があるかを考えると
冗談は顔だけにしてくださいって思います…
(こころのノートに関するコメントとかはあまりにもおもしろいのでが…)
ところで
「お客様は神様です」というフレーズ
あまりに有名ですが
間違って広がっていて、三波春夫さんの遺族は
抗議されているそうです。
「常にお客様を神様だと思い、心を無心にして歌いたい」
という意味であり、決して
「お客様がどん無理を言っても従え」という意味ではないということです。
サービスする人を見下すような人はお客様ではないと憤っているそうです。
第5章では、都市社会学者の五十嵐さんを交えて3人で対談をしています。
五十嵐さんは、
「ブラック企業が生まれるのは消費者も悪い」
という側面はあるが、じゃあ、そんな企業の商品は買うなでは解決しない
と言っています。安いものを買う人には、そもそも選択肢がないことがほとんど。
労働ダンピングで安くなった商品を買うことで、自らの首も絞めているのだが
そこから簡単に抜け出すことはできないのだと。
労働法規の整備や正常な運用、まずそれがあって、そのうえで
消費者の選択により、ブラック企業が淘汰される、決して逆ではないのだと。
この対談については労働政策研究所の浜口桂一郎さんも
hamachanブログで一読の価値ありとされていますが
ここに落ち着いてホッとしました。
浜口さんによると、欧米でも産業のサービス化により、労働者への
ハラスメントが問題になっているということです。もっとも
日本と違い、労働問題として扱われていることに大きな隔たりを
感じるとのことでした。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます