
アウシュヴィッツへ行ってから数週間がたった。その時はよくわかっていなかったが、アウシュヴィッツの気候のことである。映画等では厚いコート着たユダヤ人の映像が多い。私がアウシュヴィッツを訪れたのは五月中旬だった。ポーランドは日が長くなりつつあるときで、夜は九時ごろまで明るく、四時には夜が明けた。この白夜の季節も収容者たちはすごしたのであろう。写真を後から見て気がついたのだが、真っ青な空の色だった。夕方、五時ごろだったが、太陽はまだ沈む気配はなかった。収容者たちも、この季節には真っ青な空、白夜を過ごしたに違いない。
一方で、冬はそこそこ雪が降り、寒いということだ。雪どけや、雨の時には地面が泥々になり大変だっただろう。このような現実感は、現地へ行かないかぎり、わからないものだ。