蟻が象

いちばん細い線のないギターをひきます
いちばん高い音はやはり鳴らないのです
調律もあまいギターの音は
ややもすると内側にこもりがちです

ぼくは得意のあの曲や
この前作ったこの曲を
大きな声は出せませんから
わずかにずれながら、ゆっくり歌います


やはりぼくの描いた絵と 歌と ぼくがいつも失敗する場所は とてもよく似ています
あなたはぼくが弾いたら笑顔になってくれます

もっとしっかりしていたいと感じても
はかない夢でしかないような
蟻が象になるかのような
そんなふうにしか考えられません

いままでそういう笑顔をしてくれたひとは、両親とイトコのハッちゃんくらいです
とんびは鷹になれませんが、まあしかたないか
ぐらいの気持ちでもあります