むかしむかし わりかしうまくいっていたときのきみは
それはそれはきれいに着飾っていたっけ
宿無しに銭を投げてやったこともあった そうだよね?
みんなは言った
お嬢さんそんなことするもんじゃない
だけどきみは相手にしなかった
街角でぶらぶらしている奴らのことを
きみはよく笑いものにしていたっけ
だけど今は違う
きみはもう大声でおしゃべりをしない
きみは誇りを持っていないように見える
うろついて食事をあさらねばならない 今日の自分に対して
どんな気持ちだい
どんな気持ちだい
家がないっていうのは
相手にされないっていうのは
転がる石みたいなのかな?
一番のハイスクールに通っていたんだよね、ミス・ロンリー?
それがなんの役に立ったのか きみは思い知っただろう
誰も、道端で暮らしてゆくことを教えてはくれなかった
きみは今それを 身をもって学んでゆかなくてはならない
きみは言った
変な男はゼッタイ相手にしないって
だけどきみは気付いた
男たちは言い訳をしにきたわけじゃないと
うつろな目を覗き込んで きみは男にささやく
…あたしとやりたいの?
どんな気持ちだい
どんな気持ちだい
ひとりなんだっていうことは
家路がないっていうことは
誰にも相手にされないっていうことは
まるで転がる石みたいだな
手品師や道化がきみに手品を見せ終わった
苦々しい顔をした手品師のほうへ きみは二度と振り返らなかった
きみはそれが悪いことだとは思っていなかったんだ
でも、あんな反感を買うようなことをしてはいけなかったんだ
きみは彼氏と馬に乗ったことがある
だれが彼氏の肩にシャム猫を乗っけたんだっけ
男はきみからむしり取るだけむしり取っていった
きみのことは何とも思っていなかったわけだ
じつに簡単なことだった
どんな気持ちだい
どんな気持ちだい
一人だけで
帰り方もよくわからなくて
誰にも相手にされない
そこらの石ころのような気持ちっていうのは
あー
お城のプリンセスも カワイイ女の子たちも
それぞれ満ち足りた暮らしを享受している
恋人たちはプレゼントを交換しあっている
だけどベビー きみはそのダイヤモンドの指輪を
質屋に持っていくのがよさそうだな
落ちぶれたナポレオンと彼の言葉を きみはとてもおもしろがっていたよな
行けよ ナポレオンが呼んでいる きみは断れない
きみには何も残っていないから失うものもない
きみは今や無色トウメイだ 隠すような秘密もキレイサッパリなくなった
どんな気持ちだい
どんな気持ちだい
ひとりぽっちっていうのは
家がないっていうのは
相手にされないっていうのは
転がる石みたいなものなのかな?