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秘密保護法が成立 民主主義を取り戻せ

2013年12月07日 16時46分18秒 | 我国の政治
http://www.tokyo-np.co.jp/article/column/editorial/CK2013120702000189.html
東京新聞TOKYO Web
【社説】
秘密保護法が成立 民主主義を取り戻せ
2013年12月7日

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国会の荒涼たる風景に怒りを禁じ得ない。

国民の代表である「国権の最高機関」で、民意が踏みにじられる異常さ。

取り戻すべきは、民主主義である。

 いったい、この臨時国会は何だったのか。

召集日の十月十五日を振り返る。

安倍晋三首相は、所信表明演説で「この国会は、成長戦略の『実行』が問われる国会です」と強調していた。

 しかし、決意は、その後提出された特定秘密保護法の今国会成立に、いつの間にか塗り替わってしまう。

与党の国会運営の強引さばかりが目についた。

◆公約で触れぬ瑕疵
 防衛・外交など特段の秘匿が必要な「特定秘密」を漏らした公務員らを厳罰に処す特定秘密保護法は、

その内容はもちろん、手続き上も多くの瑕疵(かし)がある。

 まず、この法律は選挙で公約として掲げて、有権者の支持を得たわけではないということだ。

 首相らは同法を、今月四日に発足した国家安全保障会議の設置法と一体としてきた。

 しかし、昨年十二月の衆院選、今年七月の参院選の選挙公約で、自民党は会議の必要性は訴えたものの

、特定秘密保護法にはひと言も触れていない。

 第二次安倍政権の発足後、国会では計三回、首相による施政方針、所信表明演説が行われたが、

ここでも同法に言及することはなかった。

 選挙で公約しなかったり、国会の場で約束しなかったことを強行するのは、

有権者に対するだまし討ちにほかならない。

 選挙公約に掲げて有権者に判断を仰ぎ、それを実行できたかどうか、

次の選挙で評価を仰ぐのが、民主主義の健全なサイクルだ。

 特定秘密保護法の成立を強行することは、民主主義を愚弄(ぐろう)するものだとなぜ気付かないのか。

自民党はそこまで劣化したのか。

◆国民を「奴隷」視か 安倍内閣は国会提出前、国民から法案への意見を聴くパブリックコメントに十分な時間をかけず、

反対が多かった「民意」も無視して提出に至った。

 国会審議も極めて手荒だ。

 同法案を扱った衆院特別委員会では、地方公聴会の公述人七人全員が

法案への懸念を表明したにもかかわらず、与党は翌日、法案の衆院通過を強行した。

 「再考の府」「熟議の府」といわれる参院での審議も十分とは言えない。

参院での審議時間は通常、衆院の七割程度だが、この法律は半分程度にすぎない。

 審議終盤、政府側は突然「情報保全諮問会議」「保全監視委員会」

「情報保全監察室」「独立公文書管理監」を置くと言い出した。

 これらは公文書管理の根幹にかかわる部分だ。野党側の求めがあったとはいえ、

審議途中で設置を表明せざるを得なくなったのは、当初提出された法案がいかに杜撰(ずさん)で、

欠陥があったかを物語る。

 しかもこれらの設置は本来、法律などで定める必要があるが、法案修正には踏み込まなかった。

参院で修正すれば、衆院で再び審議する必要があり、会期内成立が難しくなるからだろう。

とにかく今国会成立ありきなのだ。

 弥縫(びほう)策がまかり通るのも国政選挙は当分ないと、安倍政権が考えているからだろう。

今は国民の批判が強くても衆参ダブル選挙が想定される三年後にはすっかり忘れている。

そう考えているなら国民をばかにするなと言いたい。

 人民が自由なのは選挙をする間だけで、議員が選ばれるやいなや人民は奴隷となる-。

議会制民主主義の欠陥を指摘したのは十八世紀の哲学者ルソーだ。

 特定秘密保護法や原発再稼働に反対するデモを、石破茂自民党幹事長は「テロ」と切り捨てた。

国民を奴隷視しているからこそ、こんな言説が吐けるのだろう。

 しかし、二十一世紀に生きるわれわれは奴隷となることを拒否する。

有権者にとって選挙は、政治家や政策を選択する最大の機会だが、白紙委任をして唯々諾々と従うこと

を認めたわけではない。

 政治が自分たちの思いと違う方向に進もうとするのなら、声を上げるのは当然の権利であり、

私たち言論機関には義務でもある。

◆改憲に至る第一歩
 強引な国会運営は第一次安倍政権でも頻繁だった。この政権の政治的体質と考えた方がいい。

 首相は集団的自衛権の行使、海外での武力行使、武器輸出などを原則禁じてきた戦後日本の

「国のかたち」を根本的に変えようとしている。

その先にあるのは憲法九条改正、国防軍創設だ。特定秘密保護法は

その第一歩だからこそ審議に慎重を期すべきだった。

 日本の民主主義が壊れゆく流れにあったとしても、われわれは踏みとどまりたい。

これから先、どんな困難が待ち構えていようとも、民(たみ)の力を信じて。


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(社説)秘密保護法成立 憲法を骨抜きにする愚挙

2013年12月07日 12時03分47秒 | 我国の政治
(社説)秘密保護法成立 憲法を骨抜きにする愚挙
2013年12月7日05時00分
朝日新聞デジタル
http://digital.asahi.com/articles/TKY201312060563.html?ref=comkiji_txt_end_s_kjid_TKY201312060563
全文転載
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特定秘密保護法が成立した。

 その意味を、政治の仕組みや憲法とのかかわりという観点から、考えてみたい。

 この法律では、何を秘密に指定するか、秘密を国会審議や裁判のために示すか否かを、

行政機関の長が決める。

 行政の活動のなかに、国民と国会、裁判所の目が届かないブラックボックスをつくる。

その対象と広さを行政が自在に設定できる。

 都合のいい道具を、行政が手に入れたということである。

領域は、おのずと広がっていくだろう。

 憲法の根幹である国民主権と三権分立を揺るがす事態だと言わざるをえない。

 近代の民主主義の原則を骨抜きにし、古い政治に引き戻すことにつながる。

 安倍政権がめざす集団的自衛権行使の容認と同様、手続きを省いた

「実質改憲」のひとこまなのである。


 ■外される歯止め
 これまでの第2次安倍政権の歩みと重ね合わせると、性格はさらに

くっきりと浮かび上がってくる。

 安倍政権はまず、集団的自衛権に反対する内閣法制局長官を容認派にすげ替え、

行政府内部の異論を封じようとした。

 次に、NHK会長の任命権をもつ経営委員に、首相に近い顔ぶれをそろえた。

メディアの異論を封じようとしたと批判されて当然のふるまいだ。
 そのうえ秘密保護法である。

 耳障りな声を黙らせ、権力の暴走を抑えるブレーキを一つひとつ

外そうとしているとしかみえない。

 これでもし、来年定年を迎える最高裁長官の後任に、

行政の判断に異議を唱えないだろう人物をあてれば、

「行政府独裁国家」への道をひた走ることになりかねない。

 衆参ねじれのもとでの「決められない政治」が批判を集めた。

だが、ねじれが解消したとたん、今度は一気に歯止めを外しにかかる。はるかに危険な道である。

 急ぎ足でどこへ行こうとしているのだろう。

 安倍政権は、憲法の精神や民主主義の原則よりも、

米国とともに戦える体制づくりを優先しているのではないか。

 中国が力を増していく。対抗するには、米国とがっちり手を組まなければならない。

そのために、米国が攻撃されたら、ともに戦うと約束したい。

米国の国家安全保障会議と緊密に情報交換できる同じ名の組織や、

米国に「情報は漏れない」と胸を張れる制度も要る……。

 安倍首相は党首討論で、「国民を守る」ための秘密保護法だと述べた。

その言葉じたい、うそではあるまい。

 ■権力集中の危うさ
 しかし、それは本当に「国民を守る」ことになるのか。

 政府からみれば、説明や合意形成に手間をかけるより、権力を集中したほうが早く決められる、

うまく国民を守れると感じるのかもしれない。

 けれども情報を囲い込み、歯止めを外した権力は、その意図はどうあれ、容易に道を誤る。

 情報を公開し、広く議論を喚起し、その声に耳を傾ける。行政の誤りを立法府や司法がただす。

その、あるべき回路を閉ざした権力者が判断を誤るのは当然の帰結なのだ。

 何より歴史が証明している。

 戦前の日本やドイツが、その典型だ。ともに情報を統制し、異論を封じこめた。

議会などの手続き抜きで、なんでも決められる仕組みをつくった。

政府が立法権を持ち憲法さえ無視できるナチスの全権委任法や、

幅広い権限を勅令にゆだねた日本の国家総動員法である。

 それがどんな結末をもたらしたか。忘れてはならない。


 ■国会と国民の決意を

 憲法は、歴史を踏まえて三権分立を徹底し、国会に「唯一の立法機関」

「国権の最高機関」という位置づけを与えた。

 その国会が使命を忘れ、「行政府独裁」に手を貸すのは、愚挙というほかない。

 秘密保護法はいらない。国会が成立させた以上、責任をもって法の廃止をめざすべきだ。

 それがすぐには難しいとしても、弊害を減らす手立てを急いで講じなければならない。

 国会に、秘密をチェックする機関をつくる。行政府にあらゆる記録を残すよう義務づける。

情報公開を徹底する。それらは、国会がその気になれば、すぐ実現できる。

 国民も問われている。こんな事態が起きたのは、政治が私たちを見くびっているからだ。

 国民主権だ、知る権利だといったところで、みずから声を上げ、政治に参加する有権者がどれほどいるのか。

反発が強まっても、次の選挙のころには忘れているに違いない――。

 そんなふうに足元をみられている限り、事態は変わらない。

 国民みずから決意と覚悟を固め、声を上げ続けるしかない。


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