一般の方だけでなく、プロの設計士や施工される業者の方が陥る間違いの一つに、デッキの材質の選定があります。
これは日本ではまだ屋外での木製構築物の歴史が浅いために木材の腐朽に対する知識が、
建築業界に行きわたっていないことが原因です。
一般の方やプロの方が屋外用の木材を選定される時の落とし穴は次のポイントです。
①木材(人工木材も含めて)には材種によってそれぞれ欠点があること
(長所は理解しておられる方は多いですが、短所を理解しておられる方が少ない)
②木材は使われる場所や方法によって耐久年数は数倍変わること
③人工木材も半分は木なので、ウリン材よりも耐久性は劣ること。
また色あせは少ないが汚れると木材よりも風情がないこと
④加圧防腐処理材の基本的な知識の不足
このため、次のようなことが起こります。
■無垢の木材でデッキを作ったら、とげが刺さったと言うクレームが多発・・・某保育園
木材は屋外設置するとひび割れたりささくれたりするので、
小さな子供達が裸足でかけまわるようなところには向いていません。
このような場合は人工木材の方が優れています。
■人工木材でデッキを作って数年したら、こんなにみすぼらしくなるとは思わなかったと施主からクレームがきた・・・某エクステリア業者
人工木材は完全なプラスチックではありませんので、
雨で大気中の汚れが人工木材の中に染み込んでしまいます。
そのため色あせは少ないものの、数年経過すると何とも汚くなってきます。
木材の場合は色あせしますが、それなりの風情になりますので、
5年経過した商品でどちらを選ぶかと言われると、
人工木材よりもハードウッドの方が良いと言うことになります。
■人工木材は腐らないと営業マンから聞いていたのに、ネットを見たら腐ると書いてあるじゃないか・・・某施主
人工木材も半分は木ですので、最終的には腐ります。
JISの腐朽促進試験をすると、合成木材は一般の木材よりも耐久性がありますが、ウリン材よりは劣ると言う結果になります。
■人工木材はメンテナンスが不要と聞いていたのに、メンテナンスだらけじゃないか・・・某公園管理者
人工木材はそのままでは強度が出ませんので中を空洞にしています。そのため公園等の多数の人が訪れるような場合、またその上で各種イベントをする場合等は、床板に穴があき、危険な状態になります。そのため、多数の人が使うような場所には合成木材は適していません。
■ハードウッドは腐りにくいと思っていたのに、10年経たずに腐ってしまった・・・某空港施設管理者
よく官公庁で使われるハードウッドにセランガンバツ材とウリン材がありますが、
メーカーのカタログには同等の扱いの商品として掲載されていて、
耐久性に数倍の差があることは説明されていません
(悪意の問題ではなく、知らないと言うことが原因です)。
■ホームセンターで勧められた加圧防腐された木材でデッキを作ったのに5年で腐ってしまった。・・・某一般顧客
加圧防腐処理は表面から10mm以上注入されていないと意味がありませんが、
ホームセンターで安い価格で販売されているSPF材は加圧注入しても、
表面から1mm程度しか注入することができません。
そのため、デッキ材に使うと、木材のひび割れの中から水が入り、数年で中から腐ってしまいます。