木・うんちく

木材と人間の関わりを考えて思うままに・・・

113. 楽器と木材(弦楽器の弓その2.ペルナンブコはなぜ弓に適しているのか

2016-06-11 09:40:20 | ウッドデッキ
Photo from Wikipedia
ブラジルウッドとペルナンブコとの関係を調べて行く中で、
なぜこの木が弓の材料に適しているのかは理論的には分からないところがあり、
色々と探していると、まさにその「なぜ」を分かり易く説明しているサイトに行きあたりました。

これは博士論文で、ペルナンブコの弓の音の良さを分析・解明した内容ですが、
ペルナンブコの弓の秘密を探るだけでなく、
木材の音響特性を人工的に変更できることを証明し、
木材業者でもちょっと信じられない研究内容です。
これは松永正弘さんと言う方の京都大学の博士論文の内容です。
今はネットではその内容を見ることができませんので、
分かりやすく解説すると、
ペルナンブコの心材に含まれている沈殿物がその音響特性が良い理由で、
その沈殿物を他の木材に注入すると、その木材の音響特性も良くなる
と言うことを実験で証明した論文です。
注:木材の周辺部を辺材と言い、ここが水や栄養分の通り道となり、どの木もこの部分は白っぽい色をしています。
この周辺部から中に行くと木材が腐朽菌から身を守るために細胞の中に沈殿物をため込みます。
これが木材独特の雰囲気を出し、桧であればピンク色。黒檀であれば真っ黒、ペルナンブコであれば真っ赤な色をしています

さて、この論文を読んでも、私が調べているブラジルウッドとペルナンブコの違いの理由は、
明確にはなりませんでしたが、この論文を読んだ結果。次のことは推論ができました。

つまり「ブラジルウッドの心材は、弦楽器の弓として非常に適性があるが、
ブラジルウッドの辺材は強度上は弓としての適性はあっても、
音響特性については心材よりも劣る。と言うことです。

と言うことは、ブラジルウッドを販売した業者もしくはそれを購入した弓の製作者が、
辺材を捨てないで使おうとした時に、どのような呼び名にするかと迷った時に、
ペルナンブコ州で採れたブラジルウッドの心材をペルナンブコと呼び、
辺材をブラジルウッドと呼んでも、なんら虚偽にはならないで販売できるのではないかと言うことです。

それでこの推論が正しいかどうかを調べてみましたがはっきりしません。
それでこんどはアメリカのサイトで調べてみると、
推論どおりの説明を書いている弦楽器製作者のサイトがあり、
弓の製作者が二つの弓を区別するために
「ブラジルウッドの心材から作られた弓をペルナンブコと称して販売し、
ブラジルウッドの辺材で作った弓ブラジルウッドと称して販売していた」と書いていました。

これですべてが明確になったと思ったのですが、
これでペルナンブコへの旅は終わりにはなりませんでした。


※「木材の心材と辺材の違い」はこちらのサイトをご覧ください。
コメント
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