上野の東京都美術館で開催中の「マティス展」を観に行った。マティス展は20年ぶりとのこと。NHKの「日曜美術」やテレビ東京の「美の巨人たち」でも取り上げていた注目の展覧会だ。入場料はシニアで1,500円。チケットは事前にネットで購入した。今日は学生服を着た小学生と思われる集団が鑑賞に着ていた。良いことだ。
マティス(仏、1869-1954、84才没)が若いときの作品から晩年の切り絵紙、ロザリオ礼拝堂まで時系列に展示されているのは勉強になる。展示室は次の通り別れていた。
- フォービズムに向かって(1895-1909)
- ラディカルな探求の時代(1914-18)
- 並行する探求(彫刻と絵画)(1913-30)
- 人物と室内(1918-29)
- 広がりと実験(1930-37)
- ニースからヴァンスへ(1938-48)
- 切り絵紙と最晩年の作品(1931-54)
- ヴァンス・ロザリオ礼拝堂(1948-51)
鑑賞した感想を述べてみよう
- マティスの絵は前から好きだった、その色彩感、カラフルさがなんと言っても素晴らしいからだ。今回の展示でもそれらのマティスの特長がある絵がいっぱい展示されていたのはうれしかった。
- 展示作品の解説を見て始めて気づいたのだが、マティスの絵の特徴の1つは、色彩の他に、「窓」と「画中画」、「赤」、「アトリエ」などだ。絵の中にこれらの要素が描かれているものが多い。そう言われればそうだな、と勉強になった。
- 晩年、病気になって手術もして、体が不自由になってからも創作意欲は衰えず、その時できることをやる、という考えで、ベッドで寝ていてもできる切り絵紙を始めたり、ロザリオ礼拝堂にいたっては長い棒の先に筆を付けてそれをベッドから礼拝堂の壁に向かって描くということもやった、芸術家の執念とでも言う制作姿勢はすごいの一言だ。
- マティスのことはまだ詳しく勉強したことがないが、音楽が好きで、ヴァイオリン奏者を描いた絵が2,3あったのには驚いた(22番:窓辺のヴァアイオリンン奏者、44番:ピアノの前の若いヴァイオリン奏者など)
- 若いときにシニャックの影響を受け、点描で書いた絵(10番:豪奢、静寂、逸楽)が展示されていた。シニャックの絵とそっくりで、こんな絵を描いていたなんて知らなかった。
さて、展覧会の運営サイドのことについても若干コメントを述べておこう
- 今回の展覧会は写真撮影原則禁止だが、許可されたものはOKとなっていた。その許可されていたところとは、1階の展示室全部であり、上記の4から6の時代の作品であった。ここにはかなりのマティスらしい作品が展示してあり、これらを全部撮影OKというのは有難かった。評価されるべきであろう。
- 撮影が許可されないところでも撮影している人がいたが、係員がきちんと注意していた。ダメなものはダメだときっちり注意することは大事だ。また、入場料は65才以上は割引になるが、それを証明するものを要請された、これも大事なことだ。自己申告だけで済ませている展覧会や美術館も少なくない。
1時間半くらい鑑賞して、満足して美術館を後にした。ファンであれば行く価値は十分あると思う。
最後に料金設定についてコメントしたい。正規料金は2,200円と高くなっているが、65才以上は1,500円に割引している。個人的には有難いが、こんな老人優遇は止めるべきだ。美術館やオペラ・クラシック音楽を聴きに来るような老人は金を持っている人が多いのではないか。むしろ、若者世代を1,500円に優遇すべきだ。金がないのは若い世代だ。非正規雇用の若者もいっぱいいるのだ。
ついでだが、最近、年金変更通知が来て2%も上がることがわかった。長いデフレの時期に本来減額すべき年金をほとんど減額してこなかったとおもったら、インフレになった時は直ぐに増加だ。政府はルール通りに運用すべきでしょう。