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気ままに生活してるシニアの残日録

「佐伯祐三展、自画像としての風景」を観る

2023年02月22日 | 美術

いつも見ているテレビ番組で今東京ステーションギャラリーで開催中の佐伯祐三展をやっていたので、行ってみたくなった。ホームページを見ると予約制とのことなのでネットで朝一番の10時に予約してステーションギャラリーにやってきた。東京では18年ぶりの回顧展となるそうである。

10時少し過ぎて到着して見ると入口前に行列が・・・・予約者だけでも行列ができているのかと思ったら、これは当日券を求める人のようで予約済みの人はスマホで予約表を見せてすぐに入れた。最初に3階までエレベーターで上がると、次の順番で展示してあった。

  • プロローグ 自画像
  • 1-1 大阪と東京:画家になるまで
  • 1-2 大阪と東京:柱と坂の日本、下落合と滞船
  • 親しい人人々の肖像
  • 静物
  • 2-1 パリ:自己の作風を模索して
  • 2-2 パリ:壁のパリ
  • 2-3 パリ:線のパリ
  • 3  ヴィリエ=シュル=モラン
  • エピローグ 人物と扉

佐伯祐三(1898-1928、30才没)はパリの街を独特のタッチで描いた作家としてその存在はよく知っていたが、今回改めて彼の展覧会を観てその業績を確認することができたのは大変良かった。上記の展示の順番は彼が生きてきた順であり、一つ一つのコーナーを解説を読みながら観て歩くと彼の人生が良く理解できるようにうまく展示されていた。

観た感想をいくつか述べよう

  • 年とともに彼の作風が大きく変化していくのがわかった、パリの街の壁の広告描いた画家というようなイメージを持っていたが、東京の下落合の風景や死の直前のフランスのモランの教会の風景などパリの街の風景と全く違うタッチで描いているのが意外だった、作風の変化はパリの滞在経験(フォービズムの画家ヴラマンクからの批判を含む)から当然であるが、結構大胆に変わっていると思った、ゴッホもパリに出てきて大きく作風が変わったが、佐伯が変わる方向性は次に述べるようにゴッホとは全く逆方向のような気がする、ただ、死期が近づいたモランで描いた絵や郵便配達夫の絵ではまた作風の転換があったように思う。
  • パリの街の風景だが、全体的にどんよりとした曇りの日の風景が多い、実際、西ヨーロッパの天気はそんな日が多いのだろうが、印象派の絵のように晴れた日の絵が一枚も展示されていない、というのも何か画家としての彼の主張があるような気がしたが、果たしてそれは何だろうか
  • 人物画より風景画が多いと感じた
  • ゴッホの「オーヴェルの教会」と全く同じところで同じ教会を描いた絵(作品展示番号60、オーヴェールの教会)があったのには驚いた、ゴッホとは違うイメージでその対比が面白かった
  • 「パリ遠望」(展示番号54)はセザンヌの影響を受けたと説明書きがあったが、絵を見たただけで色彩のタッチが全くセザンヌと同じだと一目でわかった、ユトリロの影響も受けたと説明があったが、ユトリロについては不勉強で何も知らない、勉強せねば、ユトリロの絵をネットでちょっと見るといい絵がいっぱいある
  • 死の直前に書いた展覧会のポスターにもなっている「郵便配達夫」(展示番号140)はゴッホの「郵便配達人 ジョセフ・ルーラン」とよく似ていると思った、ゴッホからの影響も受けているとのことで、それが出た一つの例であろうが私はこの郵便配達夫は佐伯の絵の方が好きだ、が、先ほどのオーヴェールの教会はゴッホの方が好きだ
  • 大阪中之島美術館所蔵となっているものが多かったがここは昨年行ったのだったが、佐伯の絵があったか記憶にない(モディリアーニの企画展が開催中だったからかもしれない)、佐伯の絵をこんなに所蔵しているとは知らなかった、中之島美術館はできたばかりの美術館で、また行ってみたい美術館だ
  • 今回も写真の撮影は不可であった、なぜであろう、海外は撮影OKのところが多いのではないだろうか、パリのオルセーやルーブル、ピカソ美術館、ニューヨークのMOMA、グッゲンハイムなどはOKだ。
  • 佐伯は自身が結核で早死にしただけではなく、一人娘も結核で亡くなったとは知らなかった、更に奥さんの米子が画家になったというのも知らなかった
  • 佐伯、ゴッホ、モーツアルトなど、なんでこんなに素晴らしい芸術家が早死にするのだ、もっと生きてほしかった
  • 東京ステーションギャラリーは室内の壁に東京駅の煉瓦塀をそのまま使っているところが多くあったが、これが今回展示されている佐伯の絵と妙にマッチしているように感じた

美術館内はかなり混雑していたが客は圧倒的におばさま方が多かった

帰りに入口を見るとまだ行列ができていた。

 



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