ゆっくり行きましょう

気ままに生活してるシニアの残日録

東京・春・音楽祭「ルドルフ・ブッフビンダー、ベートーヴェンピアノ・ソナタ全曲演奏会Ⅴ」

2024年03月24日 | クラシック音楽

東京文化会館小ホールに東京・春・音楽祭の「ルドルフ・ブッフビンダー、ベートーヴェンピアノ・ソナタ全曲演奏会Ⅴ」を聴きに行ってきた。祭日であったこともあるだろうが、満席に見えた。7,500円。15時開演、17時過ぎ終演。今日は正面左、前から4列目だった。

曲目

ピアノ・ソナタ 第2番 イ長調 op.2-2
ピアノ・ソナタ 第9番 ホ長調 op.14-1
ピアノ・ソナタ 第15番 ニ長調 op.28《田園》
ピアノ・ソナタ 第27番 ホ短調 op.90
ピアノ・ソナタ 第23番 ヘ短調 op.57《熱情》

全部で7公演に分けて演奏されるが、各公演日には最終日を除いて、さまざまな時期の作品がミックスされている、どの日にも有名曲が少なくとも一曲は入っている、とブッフビンダーは説明している。なるほどそういうものか。

ルドルフ・ブッフビンダーは1946年チェコ生まれの78才のピアニスト、5歳でウィーン国立音楽大学に入学して8歳でマスタークラスを履修し、同大学の最年少記録を打ち立てる。9歳で最初の公開演奏会を開いたというすごい人だ、いままで録音数は200曲以上にのぼるという。レパートリーは幅広く、古典派やロマン派のほかに、20世紀音楽にまでわたっているが、とりわけベートーヴェンの専門家として名高い、とウィキには書いてあるので今回の東京・春・音楽祭のベートーヴェンピアノ・ソナタ全曲演奏は彼の得意中の得意の演目ということだろう。

ブッフビンダーというピアニストは知らなかったが東京・春・音楽祭のホームページの説明を読むと、これまでに全曲演奏会を60回以上も行ってきて、ベートーヴェンのピアノ・ソナタ全集を3度も録音しているそうだ。

そして、「私はウィーンでブルーノ・ザイドルホーファーに師事しました。彼の弟子には私のほかにグルダやアルゲリッチもいました。ザイドルホーファーは教師然とした人物ではなく、ひとりひとりの個性を大切にして、自分自身を保ち続けられるよう助けてくれたのです。私は伝統という言葉があまり好きではありません。ピアニストにロシア楽派やドイツ楽派のようなものはないと思っています。同じ先生についていてもギレリスとリヒテルはまったく違うタイプですよね。同じドイツ人でもケンプとバックハウスもまるで違う。どの演奏家にもそれぞれの個性があり、ありがたいことに、まったく違うのです。私には流派というものはありません」と述べているが、この考えは先日読んだ吉田秀和の「音楽のよろこび」(こちら参照)で主張されていたことと同じである。

さて、今日の演目であるが、自分のライブラリーには「田園」と「熱情」しかなく、他の曲は聞いたことがあるかもしれないが、頻繁に聴く曲ではない。演奏される機会もあまり多い曲ではないのかもしれない。そして私の中では「熱情」が一番の注目曲だ。この曲は本当にすごい曲だ、ベートーヴェンの狂気が出ている曲だと思う。それは第1楽章と第3楽章だが、一方で第2楽章のアンダンテは実に静かで美しいメロディの楽章で狂気と正反対の趣があり、その取り合わせの意図はなんだろうかと考えさせる。

その辺をChatGPTで手抜き調査をすると

  • この作品の完成は1810年でこの時期、彼は難聴が進んで個人的・社会的な生活に大きな影響を与え、恋愛でも不運な経験を重ねており、これらの出来事は彼の内面的な葛藤や苦悩を深めた
  • このソナタの繊細な美しさは、ベートーヴェンの芸術的な成熟とその内面的な豊かさから生まれた
  • 葛藤と繊細な美しさが相反するように感じられるかもしれないが、ベートーヴェンの作品においてはしばしば両方が共存している

私はこの曲を当初あまり好きではなかった、宇野功芳氏の推薦するホロビッツやバックハウスのCDで聞き流していると、特に感動するようなこともなかったが、ある時、偶然、YouTubeでこの第3楽章を弾いている動画(Valentina Lisitsa、ヴァレンティーナ・リシッツァ、ロシア、50才)を見て、そのピアノの難しそうな技巧にびっくりして、こんなに難しい、すごい、感動的な曲だったのかと思い知ったのだ。それ以来、すっかりこの曲が好きになった。

なお、このリシッツァはウクライナのキエフ生まれで、19才で渡米しピアニストとして活動していたが、2015年頃から反ウクライナ・親ロシア的な発言をするようになり、西側諸国での公演のキャンセルが続いたため、現在はロシアで活動しているとウィキに出ていた。

以上のことから今日のブッフビンダーの「熱情」には大いに注目して聴いた。その結果をいえば、ブッフビンダーの演奏はさすがというすごいものだった。彼はもう78才だが、ピアノのタッチは力強く、気力の集中もすごいものだった。ただ、第2楽章ではピアノのタッチがちょっと強すぎるのではないかと感じ、第3楽章の最後の部分でほんの少しだけ弾き遅れがあったように聞えた、素人感想だけど。ただ、私としては全体としては非常に満足しました。


(終演後、小ホールエントランスから大ホールホワイエを見る、[東京春祭] 東京バレエ団 上野水香オン・ステージがあるようだ)

そして、さらに驚いたのは、カーテンコールに答えてアンコールを弾いた時だった、「あっ」と思わず心の中で叫び声が出た、「ピアノ・ソナタ月光第3楽章だ」、これも私が大好きな曲だ、そしてこの第3楽章も「熱情」に負けず劣らずの激しい楽章なのだ。こりゃ驚いた、こんなにすごい、激しい曲を連続して演奏するなんて、しかもアンコールで、これこそすごい熱情だ。恐れいりやした。今日は完全に打ちのめされました。


向島「長命寺さくら餅」を食べる

2024年03月24日 | グルメ

3月も下旬になってきた、そろそろ桜の咲く季節だ、この季節になれば思い浮かぶのが「桜餅」だ。いつもはスーパーやコンビニで売っている桜餅を買うか、たまたまデパートなどに出かける機会があれば、そこの和菓子屋で買って帰るが、今年は久しぶりに向島の「長命寺のさくら餅」を食べたくなった。

この長命寺さくら餅は、創業300年の歴史を持つ老舗であり、店のホームページによれば、「創業者山本新六が享保二年(1717年)に土手の桜の葉を樽の中に塩漬けにして試みに桜もちというものを考案し、向島の名跡・長命寺の門前にて売り始めました。その頃より桜の名所でありました隅田堤は花見時には多くの人々が集い桜もちが大いに喜ばれました。これが江戸に於ける桜もちの始まりでございます」とある。

創業以来変わらない素材と製法で無添加で製造していると言う。素材は、

「もち」は小麦粉製の薄皮
「小豆」は北海道産
「葉」は西伊豆・松崎産オオシマザクラ

店の場所はちょっと不便なところにあり、東武線の押上か曳舟から歩いて15分くらいかかる隅田川沿いの首都高の高架線近くにある。直ぐそばには同じく老舗の「言問団子」がある。

曳舟の駅から歩いてたどり着くと、自家用車やタクシーで来ている人もいて、狭い店内に数人の先客がある。ただ、いつもは店内の席でもお茶と一緒に食べられるのだが、この時期に店内サービスは中止しているとの張り紙がある。店の人に聞いてみると、人手不足で繁忙期の対応ができないことが理由のようだ。

ばら売りもあるが、箱入りは5個入りから販売しているので、一番少ない5個入り1,500円を買った。

さて、帰宅して、夕食と食べたあと、デザートで食べてみた。久しぶりなのでもう味は覚えていないので新鮮な気持で食べてみた。

ここの店では、桜の葉をはずして、お餅に移った桜葉の香りと餡の風味をお楽しみください、桜葉は、お餅の香りづけと乾燥を防ぐためにつけてあります、としている。私もそれに従って桜葉をはずして頂いた。一つの桜餅に桜葉が3枚は使ってあるため餅に香りが充分移っている。

ほのかな香りとしっとりとした舌触り、上品な味である。普通、桜餅はピンク色になっているものが大部分だと思うが、ここの餅は白いのでちょっと戸惑うが、これは先にも書いたとおり無添加なので着色の添加物を使っていないせいだろう。一つ一つがそんなに大きくないので夫婦で5つは充分食べられた。

春の気分になりました。おいしく頂きました。


東京・春・音楽祭「ライナー・ホーネック&菊池洋子」を聴きに行く

2024年03月23日 | クラシック音楽

東京・春・音楽祭2024、ライナー・ホーネック(ヴァイオリン)&菊池洋子(ピアノ)を聴きに行ってきた。場所は東京文化会館小ホール、6,500円。開演19時、終演21時15分。80%くらいの座席が埋っていた。東京・春・音楽祭は今回が20回記念となるようだ。

ホワイエには、今日の公演では全曲演奏後、写真撮影可能と出ていた、昨年もそうだったが東京・春・音楽祭は統一してその方針をとっているようだが評価できる。また、今日の公演はテレビ撮影カメラが入っていると書いてあった、NHKのクラシック倶楽部などで放送されるようだ。

出演

ヴァイオリン:ライナー・ホーネック(墺、62)
ピアノ:菊池洋子(46)

ライナー・ホーネックは、1961年オーストリア生まれ。7歳よりヴァイオリンを始め、ウィーン国立音楽大学に学ぶ。81年ウィーン国立歌劇場管弦楽団/ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団に第1ヴァイオリン奏者として入団、84年には同歌劇場管のコンサートマスターに、92年にはウィーン・フィルのコンサートマスターに就任。近年では指揮にも力を入れており、2017年より紀尾井ホール室内管弦楽団首席指揮者を務めた後、2022年より同名誉指揮者に就任。

菊池洋子は、2002年第8回モーツァルト国際コンクールにおいて日本人として初めて優勝。その後、ザルツブルク音楽祭に出演するなど国内外で活発に活動を展開。前橋市生まれ。桐朋学園女子高等学校音楽科卒業後、イタリアのイモラ音楽院に留学。国内主要オーケストラ、ザルツブルク・モーツァルテウム管弦楽団、ベルリン・ドイツ交響楽団等と共演。2023年3月よりウィーン国立音楽大学にて後進の指導に当たる。

曲目

モーツァルト:ヴァイオリン・ソナタ第34番 変ロ長調 K378
シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 D574
コルンゴルト:『から騒ぎ』 Op.11より 4つの小品
ブラームス:ヴァイオリン・ソナタ第3番 ニ短調 Op.108

曲目はウィーンの香を届けられるようホーネックが自ら選曲したそうだ。ホーネックが曲や作曲家の説明をする動画が東京春音楽祭のサイトにアップされており、それを聞くと、モーツアルトのピアノソナタ34番はモーツアルトの最高傑作、シューベルトは典型的なウィーンの作曲家、コルンゴルトはウィーンの作曲家で、戦争でアメリカに亡命しハリウッドで名をあげ、映画音楽で活躍した、から騒ぎという今日の演目は彼が大編成のオーケストラ作品をピアノとヴァイオリンのために編曲した宝石のような小品、ブラームスもウィーンに住んでいたことがあるので、ウィーンがテーマのプログラムになったと解説している。

今日の演奏を聴いた感想を少し述べたい

  • ライナー・ホーネックは何度も来日しているようだが、初めて生で聴いた、菊池洋子も初めて。ホーネックは白髪の上品な紳士という感じで、彼の奏でるヴァイオリンの音はホーネックの気品のある出で立ちと完全に一致し、繊細で上品な、これぞウィーンという感じを醸し出していた。
  • 今日の公演で驚いたのは、8時45分ころ4曲の演奏が終了し、拍手に答えて聴かせてくれたアンコールだ、そして、そのアンコールがなんと7曲に及んだことだ。ホーネックはいつもそうしているのか知らないが、見ていると、それはホーネックがもう1曲弾こう、と菊池を何度も促しているように見えた。そして本番の4曲よりもアンコールのときの方がなんだかうれしそうに弾いているように見えた。曲もわかりやすいメロディーの曲ばかりで、ヴァイオリンが弾けるのがうれしくて仕方がない、というように見えた。日本人観客向けに礼儀正しいお辞儀を何度もするなど何度も来日しているだけあってファンの心をつかむのはうまい。アンコールは30分に及び終ったのは9時15分頃だった。
    [ アンコール曲 ]
    ドヴォルザーク - クライスラー:スラヴ幻想曲
    エデ・ポルディーニ:7つのマリオネット - 第2番 踊る人形(F. クライスラーによるヴァイオリンとピアノ編)
    クライスラー:
     ウィーン風狂想的幻想曲
     シンコペーション
     ジプシー奇想曲
    シューベルト:ヴァイオリン・ソナタ イ長調 D574より第4楽章
    クライスラー:美しきロスマリン
  • 菊池洋子はすらりと背の高いスリムな女性で、今夜は黒のドレスで決めていた。大人の雰囲気があるピアニストだ。特に黒髪なのが良い、黒髪は日本人のアイデンティティーの重要な一部だから染めて欲しくない、と私は思っている。演奏は素晴らしくホーネックとピッタリと息を合わせて素敵な演奏をしていた。
  • 曲目はどれも普段あまり聴かない曲だが、一番最初のモーツアルトのヴァイオリン・ソナタが一番春らしい雰囲気があると思った。

素晴らしいひとときでした。

さて、私は公演会に来るときは、公演開始前にチケットオフィスで今後聴きに行きたい公演のチケットを買って帰ることにしている。今夜は事前に調べた東京春音楽祭の3月29日のショスタコーヴィチの室内楽、4月6日の小林海都と仲間たちの公演チケットを買った。そして開演前の座席に座り、東京春音楽祭のプログラム雑誌を見ていると先日目黒パーシモンホールで見て感動したヴァイオリニストの小林りなの公演が3月23日あることに気付き、慌ててもう一度チケットオフィスに行ってそのチケットを求めた。

楽しみが増えました。


上野「デリー」でインドカレーを食べる

2024年03月23日 | グルメ

今夜は東京文化会館で音楽鑑賞、その前の夕食をどこにしようか考えて、湯島駅で降りて御徒町にかけて歩き、その辺で食事をして、そのあと歩いて東京文化会館に向うことを考えた。

その途中にカレーの「デリー上野店」がある。何回か来たことがあるが最近は来てなかった。と言うのも昼間この店の前を通るといつも行列ができているからだ。結構人気があるようだ。このデリーは銀座にも店があり、そっちの方も一度に行ったことがある。

5時半くらいだったか、店の前に到着すると行列がないので入ってみようと思った。ただ、結構客は入っており、カウンターの空いてる席に案内された。

メニューを見ると何種類かのカレーがあり、辛さの度合いが星印5段階で書いてある。一番辛いのはカシミールで星5つだ。これはさすがに無理だと思い、真ん中の星3つのインドカレーを選んでみた。全体的には星の数が少ないメニューの方が多いが真ん中くらいなら大丈夫だろうと思った。そして、単品でなく、タンドリーチキンセット2,000円にした。これはカレーにタンドリーチキン、サラダ、ビールかソフトドリンクがつくセットだ。もちろんビールを選んだ。

しばし待っているとタンドリーチキンとサラダ、ビールが出てきた。ビールを飲みながらタンドリーチキンを食べると、ここのタンドリーチキンはタレのようなものがかかった状態で出てきた、柔らかくておいしい、辛くはない、ビールのつまみとしてサラダと一緒に食べた。

そして、カレーが出てきた。インドカレーというのは中身はチキンカレーだ、ここのカレーの特徴はとろみのないシャバシャバなカレーだ、その方が粋であるというのが店の考えだ。このシャバシャバカレーの中に大きな鶏肉と大きなジャガイモが入っている。このカレースープをご飯にかけて食べ始めると、結構辛い、ビールを飲み、タンドリーチキンを食べ終わったあとで食べたから余計に辛く感じる。少し後悔するが、水をチョコチョコ飲みながら何とか食べ終えた。

クラシック音楽を聴く前にはちょっと刺激が強すぎたが、このカレーにあこがれて行列に並ぶ人が絶えないのだから、挑戦しがいはあった。カシミールをたのまないで本当によかった。

おいしく頂きました、また、胃腸が万全の時に来ます。


亀戸を歩く

2024年03月22日 | 街歩き・国内旅行

亀戸シリーズの投稿、珈琲道場侍、升本本店ときて、今日は最後、街歩きについて。

珈琲道場侍を出てから侍のすぐ近くに新たにできたショッピングモールのKAMEIDO CLOCKに行ってみた。前に何があったのかなど知る由もないが、一回見ておくのも悪くないと思った。外観はしゃれた感じのビルになっている、ビスの前のスペースで消防署の防災訓練やデモンストレーションのようなことをやっていた、これはビルの奥のスペースでもやっていた。土曜日だったので親子連れが多く来ていた、子供たちが放水ホースをもって実際に水をかけたりして楽しそうだった。中は普通のショッピングモールだった。

その後、升本で昼食をとって、升本のすぐ横に「亀戸梅屋敷」があるのでちょっと覗いてみた。説明によれば、「江戸時代、亀戸には呉服商・伊勢屋彦右衛門の別荘があり、その庭には見事な梅の木々が生えていました。立春の頃になると江戸中から人々がやってきて、たいそう賑わったといい、「亀戸梅屋敷」の名で人気を博したこの梅の名所は、現在、場所を今のところに移し、梅屋敷の名前だけ残して、観光案内や名産品販売、各種イベント開催する場所になっている」、今日は地元の伝統工芸の職人さん達の実演会をやっていた。

さて、梅屋敷の後はいよいよ亀戸天神、何度か来たことがある、天神横の船橋屋にも何回か来た(その時のブログ)。天神は藤の季節が良いが梅も良いので一度梅が咲く時期に来なくては、と思っていた。到着して境内を見渡すと、やはり、ちょっと遅かったか、満開時の状況がわからないので何とも言えないが、境内の梅は写真で見る程度に咲いていた。きっと満開時はもっと華やかなのだろうが仕方ない。1週間遅かったか。

さあ、最後は亀戸駅に戻り、東武線に乗って亀戸中央公園に行ってみた。この東武線は初めて乗る電車だが、たまたま乗った車両は黄色い色のカラフルなものだったので良かった。

一駅目の亀戸水神に降りて、公園は通りを渡った目の前。中央の通りを挟んで3か所に分かれているので手前の左右に箇所の公園を歩いてみた。さすがにまだ冬景色で殺風景な感じがしたが、白梅が咲き誇っている場所があり、よかった。

帰りは亀戸水神駅に戻り終点の曳舟に出て、北千住経由で帰宅した。

楽しい1日でした。


目黒パーシモンホール「フレッシュ名曲コンサート」を聴きに行く

2024年03月21日 | クラシック音楽

目黒パーシモンホールの「フレッシュ名曲コンサート」に行ってきた。このホールは初訪問だ。目黒駅の近くかと思ったら都立大学が最寄り駅だった。S席、4,000円。15時開演、17時過ぎ終演。ほぼ満席に見えた。公演に先立ち、14:30から大ホールステージにて東響メンバーによるミニコンサート《ウェルカムコンサート》があったが、歩いて近くの駒沢オリンピック公園に行きたかったのでパスした。

会場の目黒パーシモンホールだが、パーシモンというのは「柿」のこと、ホールの付近は「柿の木坂」という地名、この柿を使ってパーシモンホールと命名したそうだ。ゴルフファンはパーシモンといえば昔のドライバーやフェアウェイウッドのヘッドがパーシモンであることでこの言葉は知っているが最近のコルファーは知らないだろうが。

このホールのホワイエにはカフェがあり、休憩時間には珈琲などを売っていたが、値段が350円だったか、安いので驚いた、目黒区の施設だからだろうか。

演目
シベリウス|交響詩「フィンランディア」
シベリウス|ヴァイオリン協奏曲 ニ短調 op.47
チャイコフスキー|交響曲第5番 ホ短調 op.64

指揮
太田弦

バイオリンソリスト
中野りな

管弦楽
東京交響楽団

指揮者の太田弦は、1994年札幌市に生まれの30才、幼少の頃より、チェロ、ピアノを学ぶ。東京芸術大学音楽学部指揮科卒業、同大学院音楽研究科指揮専攻修士課程卒業。2015年、第17回東京国際音楽コンクール〈指揮〉で2位ならびに聴衆賞を受賞。これまでに読売日本交響楽団、東京交響楽団など多くの楽団を指揮。2019年4月から2022年3月まで大阪交響楽団正指揮者を務め、2023年4月より仙台フィルハーモニー管弦楽団指揮者に就任。2024年4月からは九州交響楽団の首席指揮者に就任予定の新進気鋭の若手指揮者だ。

バイオリンの中野りなは、2004年生まれの20才、東京都出身。3歳よりバイオリンを始め、桐朋女子高等学校音楽科卒業後、2023年4月より桐朋学園大学「ソリスト・ディプロマ・コース」及び、9月からはウィーン市立芸術大学にも在学。現在、辰巳明子、カルヴァイ・ダリボルに師事し研鑽を積む。2014年、第68回全日本学生音楽コンクール東京大会(小学校の部)優勝ほか数々の賞を受賞している。

今日の演目で注目したのは何と言っても中野りながバイオリンソリストを務めるシベリウスのヴァイオリン協奏曲だ。この曲はおなじみの名曲喫茶「バロック」のホームページで推薦版LPに挙がっている「ジュネット・ヌヴー(ヴァイオリン)、フィルハーモニア管弦楽団、ブラームス・シベリウス ヴァイオリン協奏曲」を見てCDを買い、結構聴いていたからである。

シベリウスのヴァイオリン協奏曲はブラームスやベートーベン、メンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲のようなわかりやすい曲ではないが、何回も聴き込んでいくうちになんとも言えない良さを感じてくる地味な曲だ。当日もらったプログラムノートの説明によれば、この曲は彼の唯一の協奏曲で、彼が当初ヴァイオリニストを志し、高度な技術を身につけたことが大きく影響しているとのこと。また、この曲は1903年に作曲後、翌年2月に大幅に改訂されて現在の形になった。彼の音楽はフィンランディアなどの国民楽派的な作風から透明感漂う簡潔な作風に変化するその前後にまたがる曲で、両方の要素を持った音楽となっている、と説明されている。

ステージに現れた中野りなは結婚式の新婦を思わせる純白のドレスを着て、素直で真面目そうで、聡明な感じのお嬢さんであり、その出で立ちには若いのに気品を感じた。一礼したあと、指揮者の太田弦と目配せし、演奏が始まると、彼女の実にきれいな、上品なヴァイオリンの音が響いた。見た目の印象とヴァイオリンの音色が見事に一致していた。常に冷静さを保ち、汗だくになって演奏するようなスタイルではなく、あくまでも上品に優雅に演奏していたように見えた。

ホワイエでは彼女のCDが販売されており買った人には終演後サイン会に参加できると案内されていた。もうCDを出すまでになっていたのかと驚いた。そして、アンコールに「パガニーニ24のカプリース第24番」を演奏してくれたが、これがもう素晴らしいというか、カッコイイというか、聴衆の唸らせかたを知っている憎いやつ、と言いたくなるくらい感激した。演奏の途中ピチカートでしばらく演奏するところなど、カッコイイよく決まっていた、こんなに決まった演奏は初めて観た。恐れ入りました。もうこれだけで今日の公演は満足しました。

さて、開演前にせっかくここまで来たのだから駒沢オリンピック公園に一度行ってみようと思い、行ってみた。ホールからさらに15分くらい歩く。大きな広場のある公園をイメージしていたが、到着して見ると野球場やテニス場など競技施設がかなりの敷地面積を取っていて、ちょっと戸惑ったが、良いところであった。パーシモンホール周辺から駒沢公園あたりの一角は高級住宅街であることもわかった。結構金持ちが多く住む地域であり、意識高い系のクラシック音楽ファンが多いのも分かる気がした。ホールが満席になるはずだ。

楽しめた1日でした。


MLB開幕戦ドジャース対パドレスを観戦して

2024年03月21日 | その他いろいろ

昨夜、韓国で開催されたMLBの開幕戦、ドジャース対パドレス戦を夕食を食べながら見た。話題に事欠かない大谷が今夜は日本の近く、時差もない韓国でダルビッシュと初対決するとあってはマスコミが大騒ぎするのも無理ない。

アメリカ大リーグを見ると野球というのは良いなー、と感じる。ところが同じことが日本のプロ野球を見ても感じなくなってから久しい。それは日本の野球が面白くないから、というわけではない、球場での応援の喧しさゆえである。選手がバッターボックスに入ると、応援歌をラッパや太鼓で演奏し、観客もそれに併せて大合唱をするのだ。これをすべてのバッターに対して延々とやるのだから騒がしくて落ち着いて見られない。

いつから始まったのだろうか。選手がプレーしている間は静かに見たい私のようなファンがこれで何人も球場から足を遠のけ、テレビを見なくなったと思う。あんなにうるさいとボールがミットに入る音、ボールがバットにあたる音、選手が走る音、審判の判定など全然聞えないではないか。あれが許されるのは高校野球だけだろう。プロ野球がそれと同じことをやってどうするのだ。

誰か影響力が大きい人が問題提起の声を上げてもらいたいものだ。


演劇「諜報員」を観た

2024年03月20日 | 演劇

東京芸術芸劇場シアターイーストでパラドックス定数(劇団名)の演劇「諜報員」を観てきた。自由席、4,000円。2時開演、4時終演。ほぼ満席の盛況だった、若い人が結構来ていた。

作・演出
野木萌葱

出演
植村宏司、西原誠吾、井内勇希、神農直隆、横道毅、小野ゆた

この演劇は、パンフレットに次の通り説明が書かれている。

「リヒャルト・ゾルゲ。父はドイツ人。母はロシア人。ドイツのジャーナリストとして日本へ入国。その正体は、ソビエト連邦の諜報員。任務は日本の国内施策、外交政策を探ること。独自の情報網。信頼すべき協力者。彼らと共に数年に渡り活動。しかし遂に、特別高等警察に逮捕される。

彼が諜報員だったなんて。知らなかった。信じていたのに。裏切られた。協力者たちは、口々にこう叫んだ。彼らは皆、決まってそう言う。騙されてはいけない。保身の為に叫ばれる言葉など、すべて嘘だ。協力者たちを、探れ。二つの祖国を持つ外国人諜報員。その周りで、彼らは何を見ていたのか。日本はどれだけ、丸裸にされたのか。」

この説明書き読んでこの演劇は昭和の戦争の時に起った「ゾルゲ事件」を題材にしたものだな、というのはわかる、しかし、ゾルゲ事件のことについてそんなに詳しいことは知らないので、事前に予習でウィキなどのネット情報で簡単に調べて演劇に臨んだ。

演劇が開始されると、舞台は警察内の鉄格子で仕切られた犯人拘留のための部屋という設定、その拘留場所の周りは廊下や会議室のような設定。その拘置所の中に4人が拘留されており、話を始めるところから舞台が開始されるが・・・

私はこの劇を観ていて最初の30分くらいで眠くなった、少しうとうとしてしまった。これではいけないと思い、そこからは最後までしっかり観た。どうして眠くなったのかというと、観ていてストーリーがわからないのだ、セリフが声が小さくてよく聞こえないこともある。最後まで観たが結局、どういう内容なのかイマイチよくわからかった、というのが素直な感想である。

どうしてそうなるのか、私の不勉強もあるが、私は劇団側にも問題があるのではと感じた。それは、芸術劇場の公演案内を見ても演劇の内容は上に記載した通りのことしか書いてない、当日もらったパンフレットにもストーリーについて書いてないし、キャストも俳優の名前だけで、どの俳優が劇中の誰の役を演じるのかも書いてない。そもそもあらすじがわからない、登場人物も誰だけわからない、そこからスタートしているからストーリーが理解できず、集中力が途切れるのだ。これではあまりに不親切ではないだろうか。

ストーリーについて最後のどんでん返しのようなところまで事前に明らかにする必要はないが、大体のところはホームページ等で明らかにすべきだと思う。そうしても演劇の魅力はちっとも変わらないと思う。シェイクスピアの演劇でも歌舞伎でもあらすじはみんな知っているけど楽しめている。

私が今日観劇して何となく理解したストーリーは大体次の通りだが、間違っているかもしれないし、完ぺきではない

  • ゾルゲは特高警察に既に逮捕されているが罪を認めてない
  • 警察に拘留された4人はゾルゲの協力者であるが、実はそのうちの一人は警察の人間が協力者に成りすましているもの、協力者どうしはお互い知らないので警察が紛れ込んでもわからない
  • 警察から紛れ込んだ人間は何とかして他の3人の協力者からいろいろゾルゲ事件の概要を聞き出そうとする、3人のうち一人は尾崎秀実である
  • 3人の協力者の1人は自分がやったことをノートに書くまでになる
  • 最後、結局ゾルゲが自白して罪を認める
  • 3人は自分たちのしてきたことを顧みて、自分たちの存在価値は何か自問することになる、そしてそれはソ連のためというより、さらに背後に大きな力が働いていた、と悟る

私が理解したのはこんな程度で、冒頭に述べた通りはっきり言ってよくわからない、というものだ。今日観劇に来ていた人で理解できた人がどれだけいただろうか?

前にもこのブログで述べたが、演劇をどうしてこんなに難しくする必要があるのだろうか。どうも演劇界は理屈っぽいような気がしている。別にそんなに難しくもないことをわざと難しく演じて、意識高いところを見せる、そんな印象がある。シェイクスピアもイプセンもゴーゴリもストーリーはそんなに難しくない。だけど観る者に何か考えさせる暗喩や皮肉があり、センスの良さがあると思う。小難しいだけの演劇は作る方も観る方も自分たちの意識高いところに自己満足しているだけと思えるがどうか。

 


がってん寿司でランチ

2024年03月19日 | グルメ

今日の昼食はショッピングモールの「がってん寿司」に入ってみた。最近あまり寿司を食べてなかったので食べたくなった。この店はすしチェーン店の業界内ランキングの上位には入っていないが、以前は元禄寿司という回転すしチェーンだった店のようだ。

店舗の前に展示されているメニューを見ると価格は低価格路線ではなく、一皿300円から700円くらいの少し高めの路線のようだ。

店内に入ると一番手前にカウンター席があり、奥の方は中央の調理場に接続したボックス席になっている。カウンター席に案内されて腰かける、結構余裕のある座席である程度の高級感を出している。昔は回転させて寿司を提供していたが、最近は回転はななく、座席に設置してあるタブレットから注文して目の前の調理場で握って、手渡しで渡してくれる方式になったようだ。

初めての訪問なのでタブレットのメニュー体系がすぐにわからず若干混乱したが、いじっていくうちに慣れてきた。まずは自分でお茶を入れて、メニューを選ぶ。私は通常、ひかりもの、白身、貝、赤身、あなご、巻物、の順で注文する。

今日注文したものを順に写真で


真いか煮切り醤油


桜鯛煮切り醤油


活たこ柑橘醤油


にしん煮切り醤油


マグロ


煮あなご


紀州梅しそ巻き

※)ほたるいか油漬け軍艦巻き(写真失念)

ここではガリもタブレットで注文だ、但し無料。出てきたものを食べてみると味はまあまあだ。ネタの厚さもある程度あり、一皿100円の店よりは大分いい。ただ握り方は若干不満がある。赤身などシャリの上にただネタを乗っけただけ、という感じに見えるものがある。要は握っていないのではないか、と思えるのだ。全部が全部そうではなかったが改善の余地があるのではないか。

多分、すし屋の板前を経験した料理人が一人いて、あとはバイトに教えて作らせているのだと思うが、どのくらいトレーニングを積んでいるのか。この点、ほかのチェーン店もみな同じようなものだろう。シャリも機械で形を作っているチェーン店もあるくらいだ。

今日は全部で8皿食べた、食べすぎだ。会計も座席のタブレットから連絡して2,800円だった。こんなものであろう。

ごちそうさまでした。


映画「DOGMAN ドッグマン」を観た

2024年03月18日 | 映画

近くのシネコンで映画「DOGMAN ドッグマン」を観た。2023年、仏、114分、監督‣脚本リュック・ベッソン(仏、64才)、原題Dogman。1,300円。制作はフランスとなっているが、言語は英語の映画だ。

監督のリュック・ベッソンが5歳の時、家族によって檻に入れられた少年の実話に触発され監督・脚本を手がけたバイオレンスアクションと説明されている。

ある夜、1台のトラックが警察に止められる。運転席には負傷した女装男性ダグラス(ケイレブ・ランドリー・ジョーンズ、米、34才)がおり、荷台には十数匹の犬が乗せられていた。警察に拘束された「ドッグマン」と呼ばれるその男は、接見した精神科医の黒人女性エヴリン(ジョニカ・T・ギッブス)と対面する、この黒人精神科医も離婚した暴力夫の影に怯えていることなど話していくと、やがて、彼も自身の壮絶な生い立ちを話し始める。

ダグラスが少年のころ、父親の家庭内暴力に苦しむ、兄も父親の味方でダグラスは巨大な犬小屋に閉じ込められ、抵抗するとついに父親にライフルで撃たれ指1本が吹き飛び、下半身麻痺になってしまう。犬と一緒に檻の中にいたせいで犬と意思疎通ができるようになり、その犬を使って警察を呼び、父と兄は逮捕され、1人で生きていくことになる。

ダグラスが住む街の向こう側には摩天楼が見え、街ではチンピラ集団が住民たちを苦しめている。犬を使って奴らを懲らしめたりしたが、なかなか仕事が見つからない。ある日、幼馴染の女優にバーで偶然再会し、恋心を抱くが実らず。やっとキャバレーのフランス人歌手としてシャンソンを歌う仕事にありつく。やがて、犬を使って犯罪に手を染めるようになるが、それは富豪の金庫から犬たちが宝石を盗み出して貧しい人に配るロビンフッドみたいなことだ。そんなある日、仕事で「死刑執行人」と呼ばれるギャングを怒らせ、追われることになる。そして、最後は犬と一緒に住む屋敷にこのギャングが手下と一緒に乗り込んでくるが・・・

この映画を観た感想を少し述べよう

  • この作品ではダグラスと神の関係が強調されているようである。最初の方で、兄が巨大な犬小屋に「In the name of God」と書いた横断幕をつける。「神の名において犬小屋に閉じ込められています」みたいな意味だが、どうもこれは他の人のレビューを見ると、犬小屋の内側からは、金網の柱に遮られる部分があって、しかも文字が裏返っているから「doG man」と見える(映画を観ているときはそこまで分からなかったが)。これは神を裏側から見ると犬になるとの暗喩であり、犬は“神の使者”であるとの意味が込められているらしい、私には1回観ただけではそこまで深読みはできなかった。
  • そして、最後の場面で、犬に助けられて犬とともに警察から逃げ出し、外に出ると、そこには教会があり、太陽が燦燦と十字架の上を登ってダグラスに十字架の影が映されて終わる、何かを暗示しているのだろうがよくわからなかった。観た人が解釈してくれということか。
  • 多数の犬と一緒に生活するようになると、彼は犬にシェークスピアを読んで聞かせたりする。そうしているうちに彼自身もシェークスピアの戯曲を全部暗記して言えるようになってしまう。ところが彼がキャバレーで求人の面接を受けたとき、何ができるか聞かれシェークスピアならできるというのだが、実際にキャバレーで彼が女装して歌ったのはフランス語のシャンソンだ。ここでなぜシェークスピアがシャンソンになるのかよくわからなかった。なぜ彼がシャンソン歌手の能力があったのか。シェークスピア⇒シャンソン(女装)、この突然の飛躍がよくわからなかった。
  • この物語では多くの犬がダグラスと意思疎通し、彼の命令でいろんなことをやる、また、彼を助ける。映画を観ているといかにも言葉が通じているのかと思えるほど賢い犬に見えるが、いったいどのように訓練、調教したのだろうか。どのようにして撮影したのだろうか、その舞台裏が知りたいものだ。

面白い映画だったが1回観ただけではすべて理解するのは無理だった。