BlogとSNSは行政と市民をつなぐことができるかという、とても関心のある記事が日経BP社のIT Proに掲載されていたので、一部抜粋。
個人が気軽に情報を発信できるBlog(ブログ)と,友人関係をネット上で展開できるSNS(ソーシャル・ネットワーキング・サービス)。これらを行政システムに利用すると,どのような成果と課題が姿を現わすだろうか。
意見を集めるために設置されるのは,多くの場合,電子掲示板だ。牧氏(総務省 自治行政局自治政策課 情報政策企画官)によれば,少なくとも700の自治体のWebサイトに電子掲示板が設置されている。電子掲示板による意見募集が頓挫するパターンは3つあると牧氏は指摘する。ひとつは閑古鳥が鳴くケース。行政に対し,実名でモノを言うことは,一般の人にとってハードルが高いからだ。逆に,匿名にしたために,いたずらの書き込みなどにより荒らされるケースもある。「実際に閉鎖に追い込まれた自治体の掲示板がいくつもある」(牧氏)
最後が,閑古鳥も鳴かず,荒らされもせず,うまくいったとしても,行政がその意見をうまく取り込めないというケースだ。「審議会や政策モニターなどの従来からあるチャネルであれば,行政の意思決定にどう反映していくか,というルールが存在する。しかし,ITという新しいチャネルにはそのようなルールがない。結果,せっかく集まった意見を“聞き置く”だけになってしまう」(牧氏)。
経産省と民間がBlogで対話する実験
経済産業省 資源エネルギー庁 総合政策課 課長補佐の村上敬亮氏も,従来の方式に限界を感じていた。村上氏は産業政策を立案する立場にある。通常,業界の意見は,通常業界団体の代表や,企業の役員を通じてもたらされる。しかし「役員の建前ではなく,現場の率直な本音こそが重要」(村上氏)。
経済産業省のe-life Blog
そこで村上氏らが取った手段が,Blogだった。経済産業省 商務情報政策局情報政策課 課長補佐を務めていた2004年後半から2005年初頭にかけ,独立行政法人経済産業研究所(RIETI)と共同で開設したe-life Blogである。デジタル家電の収益力の強化などをテーマとした政策案の討議用ペーパーを公開し,Blogの来訪者との「対話実験」を試みた。
Blogによる対話実験の結果は,月間2000人の来訪者があり「研究会よりも本質的なコメントが得られた」(村上氏)。業界団体とは別の経路での交流という目的は果たした。ただし,トラックバックやオンラインでのコメントは少なかった。「街頭演説のマイクを聴衆が持ってしゃべるようなもので,勇気がいるのだろう」(村上氏)。多くの有意義なコメントは,オフラインの実際の会話や会合でもたらされたという。
市役所職員が自ら開発したSNS
熊本県八代市でも,地域ポータル・サイト「ごろっとやっちろ」の電子掲示板の利用者が少ないことに悩んでいた。同市では,ホームページを災害情報や行政情報を発信する場とすることを目指していた。そのためには「日常使われるサイトである必要があった」(八代市行政管理部行政システム課 電算システム係 小林隆生氏)。
そこで目をつけたのがSNSだった。海外のFriendsterやOrkutなどのSNSに刺激され,日本でもGREEやmixiといった商用のSNSサービスのベータ提供が開始されたころだった。小林氏はこれらのSNSに触れ,感銘を受けた。と同時に,このような人と人のつながりは,地域でこそ真価を発揮すると感じた。
そこで小林氏は,自らプログラムを書いて,SNSを構築することを決意した。就業時間後の時間を使い,約2カ月かけ,友人を招待したり登録したりする機能や日記機能,回覧板機能,アクセス履歴機能などを実装した。商用のSNSと機能面ではほとんど変わらない。サーバーは既存のもの,OSはFreeBSD,Webアプリケーション開発言語はPHP,DBMSはPostgreSQLなどオープンソース・ソフトウエアを使ったため,かかった費用は小林氏の残業代だけである。
活発な発言と秩序を両立
SNSの集客効果は絶大だった。それまで1万5000を下回っていたアクセス数は,2004年11月のSNS正式リリース時,倍の3万を超えた。実際にサイトを利用しているアクティブ・メンバー数は50を下回っていたのが200近くなった。登録メンバー数は1300以上になり,その約85%は八代市民だった。
SNSの効果は集客だけではなかった。掲示板の問題は,実名では発言しにくく,匿名では荒れる,という点だ。SNSでは,完全な実名ではなく,また,掲示板だけではなく日記もあるため気軽に書ける。一方,友人の紹介がないとメンバーになれないことが,いたずら書きに対する抑止力になる。活発な投稿と,秩序の両方が実現できた(関連記事)。
八代市の例で見たように,SNSは活発な意見の投稿と,良識に基づいた秩序の実現に有効だ。これに,1人1票を確実にするための電子証明書による個人認証を組み合わせることで,電子アンケートによって住民の意見や意識をより的確に集約できるような環境を作成することが目的だ。千代田区と長岡市で実験を行う予定で,近く委託先の公募を開始する。
総務省は,SNSがそのような地域コミュニティを再生するツールになるのではないかと期待している。例えば,長岡市では,上越地震の際,NPOが提供した情報が大きな役割を果たした。「行政が提供する情報は,誤りがあってはならないため,確認ができるまで公表できない。しかし多少の誤りがあっても迅速に提供することで有益な情報がある。NPOならそれができる」(牧氏)。「ごろっとやっちろ」でも子育てなど様々なコミュニティが生まれている。
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これまで長年IT業界で仕事をしてきたけど、いつも「進歩的な民間企業の取り組みははやく、官公庁(特に文教系)の取り組みは遅い。そして行政が動き出した後に、保守的な民間業界が動き出す」と感じてきた。
ただ今回のSNSに関して言うと「行政サイドの動きが非常にはやい」と感じている。それはSNSというシステム(仕組み)がとても社会性があり、官公庁や学校、また同窓会とかNPOなどの非営利活動に向いているからだと思う。
今回のような「行政サイドの素早い取り組み」は自分としては大歓迎だ。ただ自分の考えは「誰のためのSNSか」ということと「何のためのSNSか」ということを明確に定義して、ことにあたらないとうまくいかないだろうということ。
この2つの「問いかけ」はSNSを開始するためには非常に重要かつ本質的な問題で、それによって様々な「機能」が付加されることになるのだろう。そこは自分たちのビジネスチャンスだとも思っている。
そして、この2つの問題を 定義するまでもなく明確になっている「業界」にはよりSNSは普及させ易い。ここははっきりビジネスチャンスだと思っている。
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今度、ゆ~っくりお話聞かせてください。
ぜひぜひよろしくお願いします。
ミクシィ焼津支部行政代表のワイドー!さんから「納得」と言われると心強いっす。はやく広報課長になれるようミクシィ焼津支部全員で応援しまっせ (^_^;) 。
でも自分は本当に地域コミュとSNSは親和性が高いと前から思っているのです。「誰のために、何のために」、最初は限られた形でもいいと思うのです。SNSはいろいろなところで活かせると思っています。
またオフで話しましょう。
目的がないとぼやけてしまう。
今、自分のブログを書いていてそのことを痛感している私です。
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埼玉県のセミナーではお世話になりました。
そのとき初めてSNSの存在を知った私ですが、今そのすばらしさを実感しています。
ブログ、SNSも見るのは朝の2~3時間とできるだけわきまえて中毒にならないように地道に続けたいと思っています。
本当にありがとうございました。
そうですね、どんなことでも目的を決めないとだめですよね。ブログも、SNSも。
深く掘り下げて考え抜いた目的は忘れないように紙に書いて貼っておくのもいいですよ。「毎日見る」ってすごく有効ですよね。
としたか先生のブログ・書評から書き取りメモしては部屋のマイ掲示板にペタペタしています。
目的・優先順位、自分自身を知り何を大切に思い選び取っていくか。
そのようなことを考え始めた段階にいる私です。
さかちゃんとブログ講座でお知り合いになれ帰る道すがらお話できたことは私にとってとても有意義なことでした。
最寄り駅のロータリーを挟んであちらとこちらに住むさかちゃんと、としたか先生のブログでお会いできるのも私にはなんかスゴイことに感じます。
すべてがビギナーの私ですが、皆様よろしくお願い致します。
またぼくのブログ記事を切り抜いて貼りだしてあるとか・・・。恐れ入ります。
ぼくはとても先生などと呼ばれるような立場の人間ではありませんが、皆さんのブログやSNSの運営に多少でも参考にしていただけるのであればうれしいです。
これからもよろしくです。
にゃんみーさんは吸収力が素晴らしいですね。ブログも伸びると思います。