東京日記
静岡県焼津市、藤枝市、北海道の札幌市にあるIT企業グループの経営者 松田敏孝の日記です。




久しぶりに大前研一さんの本。相変わらず痛快、明快です。
ビジネスマンに限らず、学生でも主婦でも、できるだけたくさんの日本人がこの本を読んで、日本の「不安心理」が変わるといいと思った。

今の日本は「いざなぎ越え」などと言いながら、巷ではほとんどその実感がない。雇用のパート化などが進み、所得が減り続けているし、それでいながら銀行預金や郵便貯金などの個人金融資産は増え続けている。お金が高齢者に偏在しているから、「使いたい」ところが少ないのだ。

その増え続ける預金は異常な低金利が続いているにもかかわらず、世界の高利回りのところで運用しようとせず、勉強しようともしないまま、定期として塩漬けにしている。その額、およそ1,500兆円(天文学的数字でよくわからない (^ ^;) )。

国の年金管理があまりにもずさんだったこともあり、「老後が心配」という「不安心理」が強くなっている。この本を読んでわかったことだけど、世界には年金をきちんと運用してここ何年かは なんと11%という利回りを実現しているシンガーポールのような国もある。25年間の平均でも9%を維持しているという。
国民の年金を使い込んで、全国にグリーンピアを建設し、二束三文で売却せざるを得なかった日本とはため息がでるほど違っている。
その上で役人が考えることは
1 保険料を増やし現役世代を圧迫する
2 受給開始年齢を引き上げる
3 受給額を減らす
という辻褄合わせだけだ。

もちろん 今 日本が長期低落傾向にあることには他にもいろいろな理由があって、港湾行政など様々な角度から 日本が1,200兆円という(やはり天文学的数字でよくわからない)借金を抱え込むに至った経緯が述べられている。この本の特に前半は、ネガティブな論調が目立つのだが、それだけで終わらないのが「大前流」。きちんと対策も示してくれるのだ。

その対策は7つ。

1 金利を上げる
2 相続、贈与等に関する税制を見直し、資産の若年層への移管を早めにする
3 住宅の建て替えを奨励する
4 アクティブ・シニアのコミュニティを作る
5 いくらあれば生活できるのかライフプランを提示する
6 ベンチャー企業のエンジェルとなる
7 資産運用を国技にする

というもの。痛快に、楽しく読める。ここでは説明は割愛するけど ぜひご一読を。

最後に「一人の天才が世の中を変える時代」ということで、政治家ではなく、企業家が世の中を変えた例が紹介されている。やはりこの部分は期待がもてる気がする。これからも世の中を変えていくのは政治家や官僚ではなく企業家だと思う。

「ブロードバンドのインターネット料金も日本が世界で最も安いが、それは孫正義氏一人のおかげである。Yahoo!BBの登場によって価格破壊が起こり、NTTもそれに合わせて値段を下げるしかなかった。もちろん孫氏もいろいろないやがらせを受けたが、彼一人のおかげで、日本人は世界一安い料金でブロードバンドのインターネットが使えるようになったのである。
一人の改革者が登場すれば、日本人が一気に動き、日本はその分野で世界一になる力をもっているのだ」

という記述がでてくるけど、このあたりは自分も目の当たりにしているだけに、実感がある。当時、世界一高くてまったく普及していなかったブロードバンド。それが一気に変わって、今やブロードバンドを活かしたネットビジネスが花盛りだ。本当にありがたいと思う。

この本の中では「アクティブ・シニア」という言葉が何度も登場するが、自分も「アクティブ・シニア」目指して行動を起こさなければならない年齢になっている。「シティバンクが日興コーディアル証券を買収して「世界標準の資産運用・資産形成とはこういうものだ」と、日本人を目覚めさせてくれるなら、それでもいい」という大前さんの叫びにも似た記述がでてきて、あまりにドンピシャなので、笑ってしまった(自分は昨年末から日興コーディアル証券で外貨預金・外国債券の購入を開始した (^ ^;) )。

たくさんの人たちが資産運用能力を高めて、「老後の不安」などないアクティブなシニアライフを送れるようになればいいと思うし、そうなれる土壌は十分にあると思う。

また孫さんに続くようなベンチャーが出て、日本を変えていければ素晴らしいと思った。もちろん自分も老け込む歳ではないから、まだまだガンガンにいこうと思う。

今の日本が抱える問題の深刻さを自認しながらも、さらに希望をもって進めるようになる、頑張るための元気ももらえる貴重な一冊です。


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