自分がいちばん尊敬している経営者を1人上げなさいと言われればなんと言ってもソフトバンクの孫さんだ。志の高さ、行動力、先見性、スケール・・・何をとっても圧倒的だ。福岡のプロ野球球団ホークスを買収して知名度も上がり、日本ではようやく、本当にようやく知名度、信頼感を得てきた感じだが、自分としてはなんと遅いことか、と思っている。孫さんにしてみればホークス買収は数ある買収の中の一つに過ぎないはずだ。
ソフトバンクグループはコマース部門、ファイナンシャル部門、メディア・マーケティング部門などで、すでに800社の企業グループになっている。その中でもっとも輝く、巨大な宝石のような存在のYahoo!JAPAN。企業グループとしての圧倒的なパワーはまだ認知が低すぎると思う。
アメリカの連邦通信委員会のパウエル長官(当時)に「わが国の競争を促すシステムが、日本に比べて劣っているとは思えません。何が足りないか、われわれは通信各社と議論しました。ようやくわかったことは、われわれにはたった一つだけ欠けているものがあった。それはクレージーな経営者です。とてつもない価格とスピードを実現しようとしたクレージーな経営者が一人だけ、日本にはいました」と言わしめた男。孫さんは「私は最大級の褒め言葉と受けとめています」と。
自分は2001年6月18日(孫さんがY!BBサービスを発表した日)は日本のブロードバンド記念日として祝日にしてもいいと思っているくらいで、この日を境に日本のインターネットは変わった。そのおかげで、日本経済、産業はどれだけ恩恵を受けていることか。もっともY!BBを発表してすぐに受け入れられたわけでもないし、すぐに日本が変わったわでもない。Y!BBを普及させるためにここでも孫さんがやったことは「クレージー経営者」の面目役如で、「パラソルセールス」では全国の主要駅前でタダでモデムを配ったことは記憶に新しい。
ぼくらの会社でも静岡県内でなんと食品スーパーの店頭でモデムを配りまくるということで、協力したが、社内の技術者やデザイナーまで動員してスーパーの店頭でモデムを配ったのは今では懐かしい思い出だ。自分も店頭に立ってモデムを配っているとよく知人に会い、「お前、何やってるの?」と怪訝そうな顔をされたものだ。でも、そういったクレージーな普及活動に押され、プロバイダー各社は値下げせざるを得なくなり、今の世界一速くて安いネット環境と今の普及率があるのだ。
今、ソフトバンクは携帯事業参入を総務省によって拒否された。今の総務省の麻生某など、この件だけでも、単なるカッコつけのキ印だってことがよくわかる。かつて日本のインターネット環境が世界でもっとも高くて遅かったのは既成の事実。それを変えたのは 孫さんによる、Yahoo!BBだ。今、世界でもっと速くて安いブロードバンドインフラが、どれだけ産業を後押ししていることか。銀行も、証券も、観光予約も、チケット予約も、物品販売も、宣伝広告も、ネット対応している。それらの事業を支えているのがブロードバンドであり、それらの事業が育つためには価格を下げてネット普及率を上げることが不可欠だったのだ。それを強引に、クレージーと言われながら押し進めたのがY!BBだ。
そして今、日本の携帯電話の通話料金は世界一高いのだ。大量に天下りを受け入れている既存業者を守るだけで、今後の携帯事業、携帯向けコンテンツ事業のスケールとグランドデザインを考えていない。それに対してソフトバンクはまた「今後100年間、監督官庁からの天下りをいっさい受け入れません」と宣言するから痛快だ。
前置きが長くなりすぎた。孫さんは「文明の発達を国際競争力という観点から見た場合、すべてインフラを整備した国が覇権を握っているんです」と言う。道路が整備されて自動車産業が栄え、電線が整備されて今の家電製品があるように、インフラの整備は重要だ。道路が整備されなくても果たしてトヨタやホンダのような企業が生まれたのか、電線が整備されなくても、果たして松下やソニーのような企業が生まれたのか。その普及を遅らせれば、そのインフラを活かす企業の誕生を阻害してしまうし、国際競争力を削いでしまうのは間違いない。そして今、知的情報産業のインフラとしてブロードバンドインフラを整備しなければならないときなのだ。たとえば「21世紀のソニー」はYahoo!JAPAN。すでに時価総額では抜いているようだが、もっと大きく成長してもらいたいものだ。
孫さん曰く「固定通信にしろ、携帯通信にしろ、人間が知的生産活動をしたものを1秒でも0.1秒でも早く伝達する手段、それがブロードバンドなんです。(中略)国際競争力というのはインフラのスピードとインフラでモノを運ぶコストが決定するんです。
デジタル情報産業のスピードを支えるブロードバンドは、従来のようにアナログで情報を伝達するのに比べて、1000倍も速い。
実は人類の歴史の中で、日本がインフラのスピードに関して世界一になったことは一度もありません。しかしいま、それが実現している。」
「100年後、もし日本の人々が『ああ、そうだったのか』とわかってくれれば、それでいいと思っています。いま理解してくれていなくても構わない。『あいつは馬鹿だ、クレージーだ』と言われても、『ありがとう』と答えたい。」
まさしく「クレージー経営者宣言」。ぼくも「日本のブロードバンド化は一人の勇敢な男によって、役所や既存の大手企業を向こうにまわして、クレージーなくらい高い志で、成し遂げられたものだ」と伝えていきたい。そしてぼくらはこのブロードバンドを活かし、21世紀に栄える事業を担うのだ。
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反面、ますます子供を中心に、「体験する」機会を奪ってしまう危険性が増したとも言えます。
mixi関連のオフ会のように、コンテンツを上手に利用したリアルな世界を拡げるためのきっかけづくりが、より重要度を増してきたように感じます。
孫さんが福岡ドームに何度も足を運ぶのは、その辺の認識を強く持っているからであると思います。
「バーチャルからリアルへ飛び出す」、21世紀のキーワードであるような気がします。
まーくんの言うとおりかと・・・
そこでお二方にご相談が・・・???
それはまた顔を合わせた場面で・・・
では・・・
クレージーは偉大なクレバーなんですね。
まーくん
この本の中には既存の価値観では信じられないフレー
ズがたくさんでてきます。
>目に見えないけれども、実は「バーチャル」のほう
>が「本当の本当」
>現代は「リアル」なものより「バーチャル」なもの
>のほうが価値が高い時代なのだから・・・
ぼくも「リアル」の素晴らしさは100%認めながら、実は「バーチャル」の重要度が「リアル」を抜き始めたと感じているのです。
そのあたりはまたじっくり話そうね。
炎の弾丸男!!さん
ぼくはいつでもいいよ。
>それはまた顔を合わせた場面で・・・
OK! 「リアル」も大好きだからね。表情や体温が直接的に伝わるからね。飲食もできるし。またSASAYAさんにします (^_^;) ?
SUNさん
ソフトバンクの株にはぼくもお世話になっています。株主総会にも行きました。おもしろいですよ。本当に巨大な企業グループですよね。21世紀を代表する企業企業グループになることは確実ですね。