以下、田坂広志さんの「21世紀の経営を語る」より抜粋させていただきました。
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日本型資本主義や日本型経営の根底にある「労働観」とは何か。それは、言葉を換えれば、「労働とは何のためにあるのか」という思想に他ならないが、実は、欧米と日本の「労働観」は、大きく異なった思想に立脚している。
まず、欧米においては、「労働」という言葉、「 labor」には、「苦役」という意味が含まれている。その背景には、欧米諸国が依って立つキリスト教文化があるが、キリスト教においては、「安息日」という言葉が使われるように、本来、労働時間は、少ないほど良いものと考えられている。そのことは、欧米諸国においては、若くして仕事で成功し、十分な財産を築き、悠々自適の「早期退職」( early retirement)をすることが羨ましがられることにも象徴されている。
これに対して、この日本という国における「労働観」は、決して「労働」を「苦役」とは捉えていない。そのため、「労働時間」は少なければ少ないほど良いという素朴な思想ではない。我が国においては、「仕事」や「働く」という言葉そのものに、本来、「社会貢献」の思想が含まれており、そのため、「労働」とは「苦役」ではなく、それを通じて「仕事の喜び」や「働き甲斐」を感じることのできる極めて肯定的かつ有意義なものと考えられている。
すなわち、この日本においては、「仕事」とは、「多くの人々を幸せにし、社会を良きものに変えていく」という行為に他ならない。そのことは、昔から日本型経営の現場においては、社員の間で、当たり前のように「世のため、人のため」という言葉が使われ、定年退職を迎える社員の多くが、「まだ元気なうちは、世の中のお役に立ちたい」といった言葉を語ってきた姿に象徴されている。
―『田坂広志さんの「21世紀の経営」を語る』より
以下のような言葉もでてきます。
これから世界の資本主義は、ある意味で、かつて日本型資本主義が大切にしてきた価値観へと回帰していく
元気づけられる言葉で、本当にそうあってほしいと思います。日本的な美しい価値観に、まず日本こそ回帰してほしいと思いました。
札幌から静岡に戻るFDA機内で読んでいました。上の写真、雲海に沈む夕陽が本当にきれいで、このような景色に目をやりながら読書できることに喜びを感じました。
夕陽が沈むと上空には三日月が顔を出していました。自然って素晴らしい。
自然の法則に従って生きたいって思いました。