2008年において、全世界では10億台のパソコンが利用されているという。年間に1億8,000台のパソコンが買い換えられ、2014年には全世界での利用台数は20億台に達すると予想されている。一方で「最も身近なコンピューター」である携帯の世界普及台数は2007年末時点で33億台。普及のカーブはパソコンよりも急で、いまだに天井が見えない。
「コンピューターは、世界に5つあれば事足りる」
ここまでコンピューターが普及した今、上記の、とても衝撃的な言葉ではじまるこの本は、今後のコンピューター、ネットワークの流れを示す、今後、コンピューターとネットワークに何が起きようとしているのかを示す予言の書のようだ。内容は迫力も、納得感もあり、読んでいくうちに引き込まれてしまう。
クラウド・コンピューティングの語源は2006年8月。グーグルのシュミットCEOがカリフォルニアで開かれた「サーチエンジン戦略会議」の中で「我々は、まさにいま新しいモデルに直面しています。ですが、それがどのくらい大きなチャンスをもたらすか、理解していません。(中略)PCかマックか、携帯電話かは無関係です。”雲”のような、巨大なインターネットにアクセスすれば、その利益、恵みの雨を受けられる時代になっています」と発言したところから始まっている。
「クラウド・コンピューティング」とは「ネットの持つ力を活用した新しいコンピュータの使い方」のことであり、ブロードバンド、Ajax、無線LANなど、多くの技術革新とオープンソース、Web2.0などの潮流によって可能になった「利用形態」を表している。とくにクラウド・コンピューティングという「利用形態」を提供するために使われるサーバーと表示するために使われるブラウザの性能が飛躍的に進歩。サーバーの性能は10数年前に比べると100倍以上向上しているという。
そういった技術革新や潮流によって、すでに多くのWebアプリ(インターネットという巨大な雲から降ってくる恵みの雨)が利用可能になっている。電車の時刻が調べられるのも、地図が見られるのも、ブログで情報発信できるのも、SNSでコミュニケーションできるのも、クラウドの恩恵。そしてGメールのようにローカルアプリと比べても遜色ない使い勝手のWebアプリが登場するにいたり、俄然、「クラウド・コンピューティングはどこまでいくのか?」、「それは私たちの社会をどう変えていくのか?」という関心が高まることになる。
クラウドが進展することで現れてくる特徴は主に4つ。
1つには「サービス化」
ソフトウェアはインストールして使うものだったが、ネットの向こう側にあるものを利用するようになっていく。
2つ目は「ボーダーレス」
「PCかマックか」とか、「パソコンか携帯か」というレベルではない。様々な家電製品も巻き込んで、「適切な時に、その場面にふさわしい機器からいつでも使える」ようになっていく。
3つ目は「分散」
データの置き場所は自分のパソコンの中だけでなく、ネットの向こう側にもある。自分だけが使えたり、相手と共有できたり、パソコンでも使えたり、携帯でも使えたりするようになっていく。
最後、4つ目が「集約」
サーバー側と端末側で、別々の要素が集約されていく。
細かく内容を紹介したいけど、ここで最初に提示した言葉に戻る。
グーグル、マイクロソフト、ヤフー、アマゾン、セールスフォース・ドットコム。
たとえばこれらの5社の企業群が、膨大なコンピューターを統合、クラウドのために提供する形になるとすれば、「コンピューターは、世界に5つあれば事足りる」と言うことも言えなくはない。この発想は電力会社が結局は数少ない企業へと集約されていった事実を元にしている。5つ、6つ、ということではなくて、「クラウドの大元となる企業がいくつかに集約されていくだろう」という予測自体が重要なのだ。そして「クラウドの元となるサーバーをホスティングする企業」と「その上でサービスを提供する企業」に分化するのは間違いない。
外部にあずけるべきデータと社内に置くべきデータ。
外部からサービスを受けるシステムと、ローカルで稼動させるシステム。
まずは、こういう識別と運用が企業では重要になる。
クラウドを活用することによる個人の利便性と企業のコンプライアンスとのバランスを取ることも重要なテーマになるだろう。
サンロフトではそういったことを深く理解して、自ら、お客様に喜ばれるWebサービスを運営しながら、クラウド・コンピューティングを「お客様のためになるように」、「親しみやすく」提供していきたいと思った。
とても迫力があり、納得感もある予言だった。この業界で仕事をしている人 全員にオススメです。
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クラウドコンピューティングって本いいですね。
読んでみたくなりました。
パソコンの台数もすごい数だと聞いてびっくりしました。・
パソコンの世界は奥が深いです、
また来ます
2月28日にこのブログで書評を書いた「クラウドビジネス入門」もわかりやすいです。
どちらもオススメです。