東京日記
静岡県焼津市、藤枝市、北海道の札幌市にあるIT企業グループの経営者 松田敏孝の日記です。




NHKスペシャル「沸騰都市」シリーズは大好きな番組なんだけど、どれも「アメリカ発の金融危機」が世界中を覆う以前の制作だったので、「その後、各都市はどうなっているのか知りたい」と思っていたらやってくれました! 「沸騰都市のそれから」。ドバイ、ロンドン、イスタンブール、ダッカの「金融危機後」をレポートしてくれました。見応えあったなぁ。

中東のオイルマネーが流れ込み建設ラッシュに沸いたドバイは、不動産も株も連日下がり続け、この半年間の株の下落率はなんと76%。「新しい大地を開発しているんだ」と豪語し、社員にボーナスを支給すると「ゼロが2つ多いんじゃないか」言われたナキール社も、開発物件をすべて見直し、全社員の15%にあたる500人の従業員を解雇していた。

ロシア、インドなどの新興国の人材とマネーを取り込んだロンドンにもブレーキがかかる。石油や天然ガスの発掘により誕生した ロシアの新富裕層25万人がロンドンに移住していた。しかし今、ロシアからロンドンへの移住はSTOPしている。ロンドン市内の広場で大規模に開かれたロシア人向けの巨大イベントも今年は中止。「安価な労働力」として呼び寄せられていたポーランド人70万人のうち、すでに20万人は帰国させられている。世界の金融センターを目指したロンドンは、今3万人の金融関係の失業者を抱えて失速している。

アジアとヨーロッパの接点 イスタンブールでは 利子を禁じる「イスラム金融」が産業を支えているようだ。詳しくはわからないがイスラム金融は「利子」をとらず、利益が上がったときに「配当」すればいいらしい。肌の露出を抑えたイスラムファッションの服を作っている会社の社長は「イスラム金融は強欲なマネーゲームを繰り返す資本主義とは違う。この考え方を世界の主流にすればいい」と言っていた。ただEU加盟を目指す経済主流派には、ヨーロッパの景気落ち込みが壊滅的な打撃を与えていた。



世界最貧国といわれるバングラデシュの首都ダッカには、まだ金融危機の影響は及んでいなかった。6%の経済成長を続け、一般市民の消費も好調のようだ。NGOから資金を借りてスタートした紡製工場の売上も去年の2倍になっていた。しかし今作っているものはすべて金融危機以前のアメリカから注文が入っていたもの。大手の紡製工場ではすでに仕事は減っていた。ドバイやシンガポールに行っていた派遣労働者は次々帰国させられている。海外派遣労働者からの海外送金がGDPの65%を占めるバングラデシュにとってこの事態は深刻。世界中で広がる危機が飛び火するのが目前に迫っているような印象だ。



しかし

やはり新しい動きはでてきている。

ドバイで建設が続くモノレールの工事現場にシンガポールの総領事が訪れ、出資を行うようだ。中東のハブ ドバイ と 東南アジアのハブ シンガポール がつながれば、そこにはビジネスがおこると考えている。



ドバイがあるUAEの政府要人が直接ロシアを訪れている。

ダッカではドバイやシンガポールから帰国させられた派遣労働者をリビアに送り始めた。リビアでは最近油田が発見され、開発が進んでいるそうだ。

イスタンブールのイスラムファッションのアパレルメーカーはイランのテヘランにファッションビルを作る計画を進めている。7,000万人のイラン市場は、アメリカから経済制裁を受けてきた関係で、今回の金融危機とは無縁のようなのだ。

シンガポールで3年働いて学校を作るつもりだった派遣労働者は3ヶ月で帰国させられ、シンガポールに行くために作ってしまった借金に苦しんでいたが、今は帰国して英語の講師になっていた。子どもたちの表情は明るく、彼は「この子たちが、これから必ず海外にでていくんんだ」と言っていた。



世界中には「今こそ投資のチャンスだ」と考えている人たちがたくさんいる。

ロンドンで財をなしたロシア人事業家のセルゲイ・コルシェフ氏は「私は事業家です。いつでもチャンスを探している」と言っている。

今の日本にはない力強さを感じる。今、日本は新しい「流れ」にのれていないような気がする。

沸騰都市は、アメリカ発の金融危機から逃れられず、事業家たちは、塗炭の苦しみの中にある。しかし彼らは、閉塞感の中に身をおくだけではなく、次のアクションを起こしているのだ。

国連は21世紀を「都市の世紀」と呼んでいるそうだ。

様々な矛盾を飲み込みながら、沸騰都市の成長は続いていくのだろう。




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