昨日の日曜日、21:00から放送されたNHKスペシャル 「沸騰都市・ヨハネスブルグ」を見た。世界有数の犯罪都市との汚名をきせられながらも、エキサイティングに発展している街。パワフルだ。
この「沸騰都市」シリーズは好きで、以前もバングラデシュの首都ダッカとトルコのイスタンブールの特集のとき、このブログの中でレポしたことがある。今回は南アフリカ最大の都市 ヨハネスブルグ。遠い国だけどもちろん関心はある。
南アフリカと言えばアパルトヘイト(人種隔離政策)のイメージが染み付いているけど、1994年にアパルトヘイトは廃止され、今は逆にBEEという人種融和政策が取られている。会社では社員の40%は黒人でなければならない とか、株主の26%は黒人でなければならない など、様々な黒人優遇施策が取られる。そのチャンスを活かし、リッチになっていく黒人たちは”黒いダイヤモンド”と呼ばれ、富裕層、中間層を形成し始めた。しかしそうならないまま貧民街で暮らす黒人たちとの間では新たな断絶と軋轢が生まれているようだ。社会問題はさらに複雑になってきている。
南アフリカといえばもう一つイメージにあることは、豊富な天然資源。金、プラチナ、マンガンなど、貴金属であると同時に、様々な工業製品にも使われる材料になる。ここ数年需要は伸び、単価も上昇気味だった。”黒いダイヤモンド”たちは、ある地域のマンガンの採掘権を得ると、海外の巨大資本や金融機関から膨大な借り入れを起こし、設備投資を開始する。そこから採掘される鉱物がその後 巨万の富をもたらしてくれることは疑いのないことだったからだ。しかし、ここでもアメリカ発の金融危機の影響がで始めていた。世界中で工業製品の出荷がダウンしていく中で、天然資源の需要も減退し、新たな鉱山開発のための資金が得にくくなってきている。
アパルトヘイトが廃止されたと言っても全人口の10%にも満たない白人たちがまだまだ富を独占的に所有していて、人種問題も解決を見ないまま、さらに”黒いダイヤモンド”となった黒人たちとそうれなかった黒人たちとの間で新たな分断と軋轢が生まれている。肝心の実体経済も世界の荒波にもまれ、様々な困難に直面している。
2010年に南アフリカで開かれるサッカー ワールドカップに向けてインフラの整備が進む。実はこの競技場の周辺にはまだスラム街が残っているという。もちろんワールドカップ開催までには撤去されるそうだ。今、そこに生活している人たちがどうなっていくのか、自分にはわからないけど、そういった様々な問題を抱えながらもこの国は発展していくのだろうと思った。
信じた道を勇気をもってつき進む”黒いダイヤモンド”たちの生き様は情熱的で 迫力があった。
ワールドカップには世界中から50万人の人が訪れ、2,000億円以上の経済効果があるという。
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中心地から離れたところに
柵で仕切られたどこまでも広がる
タウンシップ(スラム街)はよーく目に焼き付いています。
ワールドカップの開催で、彼らがほんの少しでも
恩恵を受けられ、タウンシップ撤去によって犯罪がさらに
多発しませんよう、祈っています。
番組、見られなくてザンネンでした。
風光明媚な港町のイメージがあるのですが、やはり
スラム街はあるのですね。
ワールドカップをあて込んで5つ星の巨大なホテル建設に邁進する青年事業家も登場しましたが、資金が集められず挫折してしまいました。発展・進化への道のりはなかなか平坦ではないようです。
アパルトヘイトを廃止しただけでは解決しない複雑な問題を抱えた国ですが、それらを乗り越えて発展をとげてほしいです。