東京日記
静岡県焼津市、藤枝市、北海道の札幌市にあるIT企業グループの経営者 松田敏孝の日記です。





「国債の真実」って本を読みました。6年くらいまえに出版された本で、自分も結構前に買ったけど、読まずにそのままになっていた。今回、夏季休暇を利用して読んでみたけど、これがわかりやすいし、読み応えがあった。もう随分前に出された本だから内容を多少書いてしまってもいいかも、と思い筆を取っている(実際はiPadのキーボードを打っている)。

最近、金融緩和とか、日銀とか、国債とか、円安とか、金融用語をテレビや新聞でもよくみるようになったけど、実際、それらのことについて、よくわかっている人は少ないんだと思う。自分もわかっていない。経済界にはいるけど、金融って言うのはまた少し違う世界で、その金融業界の人でもないとあまり馴染みがないですよね。

国の借金である国債は、入札という制度によって、銀行、信金、証券会社等によって購入される。国債は年間50兆円くらい発行されるから一気に入札にかけるのではなくて、少しずつ(→ といってもすごい額だが)毎週のように入札が行われ、国は税金収入では足りない分の資金を調達する。

財務省が国債を発行するときは、利率は何%か、今回は総額いくら分発行するか、いつ償還されるか、の3点の情報が提供される。金利は額面についてつくから安く買えば利回りがよくなる。ただ、あまり安く入札すると買えないかもしれない。民間の金融機関はできれば国債は買いたいと考えているらしい。
 
民間金融機関が保有している国債を日銀が買い取る。そのときに日銀はお札を刷る。それが民間金融機関がもっている日銀当座預金に振り込まれる。民間金融機関はこのお金で利益を生むために、民間企業に貸し出そうとする。設備投資等が行われ、市場にお金が出回り、景気が良くなる方向に向かう。こういう状況を金融緩和と言うらしい。

日銀は日本政府の子会社(株式も過半数を国がもつ)だから、日銀は国債の利子収入を「国庫納付金」として国に納める。それは政府の税外収入になる。これはどこの国もそうなんだって。政府は日銀へ国債の利子を払うが、それは納付金として戻ってくるから財政上の負担にはならない。これ、少しびっくりですよね。なんかキツネにつままれたような話。

国債は国の借金だから、借りたものは当然返さなければならない。で、「国は借金が多過ぎるだろう!」という人はきちんと国のバランスシートで財務状況を確認するべしとのこと。国のバランスシートは、負債が大きく資産を上回っていて、財政難。しかし子会社の日銀のバランスシートを連結させる。政府と中央銀行のバランスシートを合算させたものを 統合政府バランスシートと呼ぶらしいけど、こちらでみるのが世界のスタンダードなんだって。で、統合バランスシートでは、資産が負債を上回る。だから

日本の国債発行額はなんら問題ない。財政再建もとっくにできている。

とのことなんだけど。。。完全にキツネにつままれたような話。だけど確かにバランスシートがそうなっているなら、リスクを云々する状態ではないのか??
 
借金の大小だけじゃなく、見合う資産があるかどうかをみるべきだと。資産が上回っているのだから、今の日本には増税も歳出カットも必要ない。国債のリスクが大きければ金利が上昇するはず。だけど日本の国債の金利は上昇していないし、金利はだいたい0.1%くらいで、これはかなり低い。だから日本の財政は安定しているということ。とのこと。
 
倹約は正しいが、国民全員が倹約したらどうなるか?景気が悪くなり、失業者が増えるかも。誰もハッピーにならない。道徳で、マクロ経済は語れない。日本人の真面目さと道徳心につけ込むのは財務省の最も得意とするところだから気をつけること。財務省はいつでも「増税派」。増税で収入を増やし、各省庁への影響力を強め、天下り先を確保しようとしている。だから気をつけることって書かれてる。倹約は絶対善、借金は絶対悪ではない。問題は「莫大な借金があること」ではない。「借金を返せるだけの資産がないこと」なのだと。
 
なんだか地方都市の中小企業経営者には正直馴染めない内容・考え方だと感じました。まず「国債は国の借金だから、借りたものは当然返さなければならない」というのなら、1期だけでもいいから「借金が減りました」という1年を出現させてみてもらいたい。ここ何年も「国の借金が増えた」というニュースしか聞いていないので、その増えたこと自体が大した問題ではないというのなら、それはそれでもいいけど、でもやっぱり借金は多いより少ない方がいいので、1期くらいは「減りました」という報告も聞いてみたい。「返そうと思えば返せます」ということを証明してみてもらいたい。大阪府、大阪市では実際に府や市の借金を減らしたと聞いているけど、どんなことをやったのだろう。

それからこういう政策を続けてきた結果、世界における日本の占めるGDP比率はピークの1994年の18%から4%にまで下落している。日本の影響力は明らかに低下している。これだけの国債を発行し、公共投資や市場への資金注入を行ってきたけど、効果的に使われているのか検証が必要だと思う。

最後に、こういう政策を続けた結果、いよいよ円安が進行してしまった。輸出をやっている大手企業は円安歓迎かもしれないけど、日本の会社の99%をしめる中小企業は輸出をしているところは少ない。一方で電気代、ガソリン代、人件費もどんどん上昇し、一方で販売価格の転嫁は思うようにできていない。いよいよ円安の悪い影響も大きくなっている。

以上のようなことを思った次第。長文、失礼しました。


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