金鱗湖を出る頃には雨も上がり、雲の間から時折日が差すまでになった。
雨にしっとり濡れた男池もいいだろということで、黒岳の麓にある名水百選にも選ばれている名水の里へ向かった。
数人の水汲みの人が訪れ、時折鳥の鳴き声が聞こえてくる静寂の中に男池の森はあった。
しばらく散策していると静まり返った中に大勢の人の声、観光バスがついて人が吐き出されてきたのだろう。
タバコを吸いながら散策道を歩く男、綺麗だった空気が一瞬にしてけがされた。
しかし、嵐はあっという間に静まる。
やがて静かな佇まいを取り戻した森は、葉っぱから落ちる滴がつややかな森の彩を感じさせてくれる。