先週末、恵比須の東京都写真美術館ホールで映画『ちゃわんやのはなし ―四早く年の旅人―』を観賞した。→サイト
薩摩の第十五代沈壽官さんを取材したドキュメンタリー映画。
沈壽官さんといえば司馬遼太郎の『故郷忘じがたく候』が印象深い。
こちらに出てくる先代との葛藤や韓国との因縁~秀吉の朝鮮出兵がどういうものだったか、戦跡はどこか、現在は~といった
歴史を辿るところから、現代の交流も含めて丁寧に描かれているのがとてもよかった。
また、現地の窯元と陶芸作家へのインタビュー、そして沈壽官窯の歴史と現在の工房と継承への思い、
同じように400年前に連行されて日本に根付いた窯元(上野焼の渡仁氏と萩焼の板倉新兵衛氏)へのインタビューもあって、より九州の陶芸への理解を深めることができた。
同時に昨今のAIやらITでなんでも機械化されて人の手が介在しなくなるモノづくりが主流となっていく中で
如何に手仕事の技術が尊く貴重なのかも改めて考えることができ、継承の難しさにも考えさせられた。
鹿児島の沈壽官窯のある辺りを通る鹿児島本線に乗ったのは2018年の夏だったなぁ。
白薩摩もすてきだけど、私は苗代川の黒薩摩の茶入も好きだなぁ。
先代の沈壽官さん作のお茶碗は以前お手伝いしたお茶会で触れたことがある。
たった1回だけの経験だったけど、とても貴重な機会だったなぁ。
その後は展覧会でしかお目にかからないけれど、そのせいか沈壽官作品といえば香炉とか華麗な文様の壺というイメージが強くて「ちゃわんや」という感じしないよのねぇ。
などなどいろいろと思いが駆け巡りながらの観賞だった。
また鹿児島を訪れたいなぁ。