Akatsuki庵

日々と向き合って

炭道具

2024年03月27日 06時42分40秒 | 美術館・博物館etc.

『炭道具』 茶道資料館 ※3月31日(日)まで

久しぶりに茶道資料館を訪れた。
だって、炭道具の展覧会だったから。

私にとって炭手前は憧れ。
自宅を稽古場に茶道を習い始めた私。
電熱器(電熱炭)を使っていたので、炭を用いることからして「本格的」。

その後、上京して改めて習う時になって稽古場を決めるポイントは「炭」。
その願いが叶えられた時は嬉しかったなぁ。(大炉はなかったけれど)

今日庵で長年使われてきたもの、保存してきたと思われる炭道具の数々はとても見応えがあった。

羽箒は鳥類の資料としても貴重なのだろうなぁ。
珍しく美しい羽箒の中には鑑賞としての用途のものもあったみたい。
(そりゃ、使えないよねぇ)

そして、一番興味を引いたのは炉中の炭が燃える映像。

お茶事の初炭→懐石→中入→後入→濃茶に至る過程で炭に火がどうついていくかを
炉の真上から撮影したものを5倍速で流している5分間の映像。

面白かった~。
懐石の時は煮えがつかなくて、ハラハラしたけれど、濃茶の時は枝炭が燃え尽きるくらいに轟轟。

なるほど~

という感想をその夜宿泊したゲストハウスの御主人(お茶人さん)に話したところ、
「実際には上に茶釜がのっているわけで、そうするともっと空気の対流があるから、炭が燃える速度も速くなるのでは」

あ、なるほど~

炭って、本当に面白い。

私はお点前よりお手前の方が好きかもなぁ、と自覚した。

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織田有楽斎展

2024年03月26日 06時40分40秒 | 美術館・博物館etc.

『大名茶人 織田有楽斎』 サントリー美術館 ※3/24会期終了

京都で観た展覧会だけど、サントリー美術館の会員になっているから、
結局2回(前後期)観た。

ラインナップは同じだと思うけど、印象として有楽斎像と茶友との消息が印象に残ったかな。

最初が「逃げた男」。
京都でも観たけど、改めて本能寺の変で(当時の)二条城から脱出した経緯に思いが至った。

客層が若い男性が多かったような。
『へうげもの』ファンかなぁ。

前期で明月椀がなかったので物足りなさを感じていたのだけど、後期で回収できてよかった。
マスプロ美術館所蔵の青磁の鎹茶碗が前後期ともに鑑賞できたのは嬉しかった。

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朝鮮陶磁と奥高麗茶碗

2024年03月24日 17時15分32秒 | 美術館・博物館etc.

『魅惑の朝鮮陶磁/謎解き奥高麗茶碗』 根津美術館 ※3月26日(火)まで

先週、久しぶりに根津美術館を訪れた。

最近は茶道具展にこまめに足を運ぶ情熱もなくって。
でも、朝鮮陶磁はともかく井戸茶碗や伊羅保といった高麗ものは観たいなと思った。

正直なところ、大陸の「朝鮮」ものはあまり興味がない。
だけど、和館窯はなんとなく好き。

御本立鶴、茂三、玄悦は趣きがあってよいなぁ。
紅葉半使や呉器もね。

根津美術館といったら、青井戸茶碗「柴田」。久しぶりに再見できて嬉しかった。
(私の中の「井戸の茶碗」(落語)に出てくるのは柴田井戸のイメージなんだよねぇ)

珍しいところで、遺跡から出土した陶片展示があったのがよかった。

奥高麗高麗茶碗は唐津だ~と思って、ざざっと見たので、これ!という印象は残らず。

あと、第六展示室の茶の湯。
「春の茶の湯」と題して釣り釜とその取り合わせ。

1階の企画展示とリンクして、こちらでも三島、高取、玄悦写といったお道具が出ていた。

「送別偈」の掛物がいかにも3月の時期にぴったりだなぁと思った。

渋い日本文化ということか、外国人観光客が少なくてホッとした。

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和食展

2024年02月25日 21時54分45秒 | 美術館・博物館etc.

特別展『和食』 ※国立科学博物館 サイト

もともとは2020年に開催されるはずだった。
当時、すごーく楽しみにしていたんだけど、コロナ禍の影響で中止になってしまい、とても残念だった。
3年半の時を経て開催されるとは!

すごく嬉しくて、前売り券まで買ったのに、なぜかなかなか訪れる機会がなくて。

書きそびれていたけど、2月前半の3連休の折りにトーハクの光悦展とセットで行ってきた。
「光悦の方が混むだろう」と先にトーハクに行ってしまったのは判断ミスだったかも。

肩透かしのように空いていた光悦展をゆっくり鑑賞した後、科博に行ってビックリ。
というか、改めて「和食」というのは老若男女と問わず、日本人に如何に馴染み深い存在だったということに改めて気づかされた。

会場内、子供連れのファミリー、おばあちゃんと一緒の中年以上の家族連れ、
女性同士のお友だち2人連れ、それとお見合い中?というか付き合い初めて間もないと思われる敬語で会話するカップル。

そっか、お見合いデートに和食展って、いっかも。
会話の中から相手の育った環境や嗜好などが伺えて、いろいろと考察できそ~。

なんて、目の前の展示物も興味深かったけれど、周囲から聞こえてくる会話の内容も興味深かった。

展覧会は「やっぱ、ここは科学博物館だぁ。和食は科学だぁ」と第1章、第2章では思った。

日本国内価値の水の成分表に始まり、様々な茸の種類、野菜の原産地、山菜の種類、
大根の種類のサンプルにはおったまげた。

そして、原寸大の魚類模型が天井からぶら下がっていたり、海藻に発酵物に~。

人が多いし、暗い会場内に解説文を読みながら鑑賞するのはもう無理っ!
これは図録を買わなくちゃと早々に決意。

出汁まで進んで、次は食の歴史。
ようやく「和食は文化でもある」と安心した。

各時代ごとの食卓のサンプル展示もよかった。

奈良時代の長屋王の食滞を再現したもの。
たぶん、あれは30年前に当時の奈良そごう(=長屋王の邸宅跡)で観た「長屋王展」に展示されていたものだ。
当時すごく感動した。そして「このサンプル、展覧会が終わった後はどうなるのだろうか」と思った。

奈文研がちゃんと保管してたんだね。(そりゃそーだ)
長屋王展の図録、たしか神戸から持ち出してきているはずだから捜索しなくちゃ。

江戸時代の屋台を再現したものも面白かった。

 

現代の和食、未来の和食? そしてこれからの和食。
そうそう全国のお雑煮紹介も楽しかった。
そして、最後に鰻の稚魚、つまりシラスウナギの展示があった。

 テレビで視たことがあるけど、実物は初めて見た!

混雑していたので、じっくり鑑賞できなかったけど図録も買ったし、
今年から来年秋にかけて日本各地を巡回するので、地方に観に行こうと思う。

最後にちょっと意外に思ったけど、よくよく考えればそうかなぁと思ったこと。

光悦展も和食展も日本人ばっかりだった!
外国人観光客は見当たらなかった。
(逆にトーハクの本館←常設展エリア~は外国人観光客がかなり多かった)

光悦もメジャーといっても日本国内で世界的に~ってほどじゃないし、
文書類は日本人にだって読めないのに、外国人には理解しがたいものだしね。

和食だって、世界遺産になったけど、やはり外国人はまず食べることの方が興味の対象であって
科学的、歴史的に理解しようとなんて、よほどのリピーターじゃない限り思わないだろう。

でも、日本人ばかりの展覧会ってのは「良かった~」って感じた。

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本阿弥光悦の大宇宙

2024年02月18日 20時49分49秒 | 美術館・博物館etc.

特別展『本阿弥光悦の大宇宙』
★東京国立博物館 ※3月10日(日)まで サイト

先週の3連休初日に行ってきた。
9:20に入り口に着いたら、そこそこの行列で。
「押し合いへし合いの中で光悦を鑑賞するのかぁ」とゲンナリしていたら、
行列の多くは本館の中尊寺金色堂展の方だったようで、
平成館の方はさほどではなく、ゆっくり鑑賞できた。

トップバッターの国宝の舟橋蒔絵硯箱。
トーハク所蔵だし、蓋が盛り上がった硯箱は他でも観たことあるので、物珍しいというより懐かしい。

続いては、本阿弥家の本業である刀や刀にまつわる文書。
続いて、光悦の書。謡曲の台本。
重文の鶴下絵三十六歌仙和歌巻。
俵屋宗達が描いた鶴の動きがステキな蒔絵が全巻長~く展示されているのは圧巻。
見応えあった。

歌そのものはほとんど読めないんだけど、
「柿本人丸」とか「紀貫之」「紀友則」「伊勢」「壬生忠峯」といった歌人名は読めたのが嬉しかった。
光悦の筆跡って、「きれい」というよりは抑揚がある感じがいい。
晩年は卒中を患って手が震えていたらしく、そんな中で書いたものもあった。
確かに、そういわれて見ると震えた感じに見える。でも、美しい。

そして、茶碗。
森川如春庵が所持した黒楽「時雨」と赤楽「乙御前」がそろい踏みしたのは久しぶりじゃないかなぁ。これも懐かしい。
加賀光悦まで展示されていて、感動。

参考?で長次郎の「無一物」や道入の「鵺」まであった。

やっぱり、光悦そのものを理解するのって、難しい。
以前、五島美術館で鑑賞した光悦展を思い出した。

今回は図録を買わなかったけど、五島の光悦展図録は買ったので、今度捜して読みたいな。

迷ったのは光悦グッズ。

鶴絵巻物のマスキングテープがよかったんだけど、
実際に買って貼るのは無理なので、諦めた。
代わりにチケットフォルダー買って、会場を後にした。

トーハクのバックナンバーリストはこちら

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春の茶道具取合せ

2024年01月28日 20時26分43秒 | 美術館・博物館etc.

★湯木美術館 サイト 
 早春展『春の茶道具取合せ』 *3月24日(日)まで

実は展覧会2日目に訪れたのだが、ほったらかしにしてしまった。

久しぶりに与次郎作の「公用」文字入り茶釜を拝見。今回は回転していないのが残念。
古染付山水図はその直前に藤田美術館の展示解説で「山水図をどう鑑賞するか」について教えてもらったので、さっそく実践?

原羊遊斎策の菊蒔絵大棗。これも嬉しい。30個あるけど、私は幾つ拝見しただろう。今度、数えてみよう。
一入作の黒楽茶碗「曙」。赤黒い黒。これが一入だよなぁ。

重文の唐物茶入「紹鴎(みほつくし)茄子」。有名なんだよなぁ。これ。

ちょっと飛ばして掛物。
不昧公の書状「しるこの文」。狩野惟信に宛てたもの。「雪が積もったので、例にしるこを用意しましたから、おいでませ」。
こういう身分にこだわらないフレンドリーな手紙を書くところがいいなぁ。

表千家の啐啄斎宗左の「万歳々々万々歳」。
備前焼の耳付水指「キカ猿」。了入作の蓋添っている。ぴったり。さすが。

長次郎作の赤楽茶碗「再来」。
茶杓「ツリ夷」。 碌々斎宗左作。今宮戎の福笹で作ったもの、らしい。

あと、吉田屋窯の九谷焼花文盃。小さかったけどね、「吉田屋だぁ」ととても懐かしく思った。

湯木美術館は大抵が空いている時に行くんだけどね、今回は日曜日の午後だったしね。
60代~70代のご婦人3人が大きな声で感想を言い合いながらいつまでもケースの前で立ち続けていて
なんか、落ち着かなくて。

やっぱ、平日とか休日だったら開館直後など穴場の時間帯をねらわないとなぁ。

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久しぶりに藤田美術館

2024年01月22日 22時45分10秒 | 美術館・博物館etc.

今月前半、「成人の日」に伴う3連休に大阪へ行った。

ところが予定した所用がものの見事に空振り。
ポコッと空いた時間をどうするか。
あ、京阪沿線にいる。じゃ、京橋へ行こう。

京阪京橋駅からの道のりはかなり久しぶり。
でも、なんとなく足がルートを覚えていた。

一昨年にリニューアルオープンしてから藤田美術館を訪れるのは2度目。
前回は再開直後ということもあり、ただただ人が多くて。落ち着かなくて。
展示室が暗くで鑑賞しづらくて。
「しばらくココはいっかな~」と足が遠のいていた。

が、2年経って落ち着いたのか、はたまた真冬の連休中日(なかび)の午前中で
人の出足が遅かったのか。

要するに空いていた。

ラッキー。
ちょうど小腹も空いていたので、美術館に入るより茶屋で一服を優先。

目の前で釜からお湯を淹れて点ててくれるのがウレシイ。

薄茶とお団子で一休み。

ちょっと前だったら「500円! 高っ!」と感じるところだけど、
物価高となった今となれば「ワンコイン(スマホ決済だけど)でいただけるなんて、良心的だわ」
と思ってしまう。

そうしてゆったりした気分でキャッシュレス決済で美術館へ。
以前は800円だった入館料が1,000円上がってしまったことも財布から現金を出すやりとりがないせいか、サラッと値上げ感をスルーされてしまうことがちと悔しい。

入館して展示解説ツアーが始まった。

以前と同じで、学芸員おすすめの展示物に絞っての解説。
館内は3つのコーナーに分かれているので各コーナーから1つずつ選んでとても詳しく、そして楽しく説明してくだった。

「妖」(1/31まで)からは『綱島船遊画巻』。
綱島、つまり現在の藤田美術館が建っているあたり。
引いては藤田家の邸宅があった場所。

岡田半江という江戸時代後期を生きた人(趣味人?)で
お友だち数人と大川で楽しく舟遊びをした様子を描いている。
(それが綱島あたりだった~ということかしら)

寄せ書きのように名前が書き連ね合ったり。いいねぇ。

「竹」(3/31まで)からは尾形乾山作の銹絵絵替角皿枚のうちの竹を描いた2点。
10枚中、なぜか竹だけが3点も描かれているのだとか。

「山」(2/29まで)からは竹鶴蒔絵茶箱。
なぜ「山」なのかというと、茶杓の銘が「富士の根雪」だからだそうで。
銘名の由来は不明とのこと。
こういった「茶箱」は実際に使用するという用途本位ではなくて
あくまで取り合わせを工夫する愉しみ!なのだそうな。
自らの膨大のコレクションの中から選び抜いて、うまくハマった時の嬉しさといったら。
夜な夜な、箱から道具を出して悦に浸って、時々はお友だちと見せ合いこして。
なんか、オタクっぽい感じで数寄人たちは楽しんでいたみたい。

なるほど、実際にあれを用いて屋外でお茶を点てたりしないんだぁ。
そんな大事なお道具、なまじお点前なんかして壊したりしたら、えらいことだもんね。

なんか妙に得心したというか、胸のつかえがストンと落ちた気分。

帰ったら、三井記念美術館で購入した茶箱展の図録を見直したい!
実用ではなく、取り合わせの妙の観点から眺め直したら全く違った印象を持ちそう~
と思った。
(まだ、図録見直してないけど。忘れないためにそう思ったことを記録しておく)

展示目録はない。
でも、スマホのサイトをQRコードからアクセスしたら、展示一覧と各展示の解説は読める。
(私はさらにブックマークして、後日読み返している)

30分の予定だった展示解説は学芸員さんがノリノリでいろんなことをお話し下さり、大幅にオーバー。
でも、楽しかったし、勉強になった。

展示解説の後、残りの展示物も鑑賞した。

藤田美術館へは20回訪れたし、休館中に余所へ出張した展覧会も観に行った。

だから、たぶん最低でも1度は拝見したものだと思う。
なので、一つ一つの展示品にはこだわらない。
とりあえず拝見して、気に入ったものだけどじっくりと鑑賞する。

今回は二重切竹花入『よなが』を観て「懐かしいなぁ」と思った。

昔、よく買った冊子はもうないのかしらと思ったら、こちらは健在。

やっぱり値上げしている! 買わなかった。
代わりにブックマークしたサイトの展示解説を暇なときにチビチビ閲覧している。

展示室を出たらそろそろ正午前。
館内も人が混み始めた~。ような。

ここまでは外国人観光客は来ないかなぁ。
と思いつつ、ふと顔を上げて「あれ?」

太閤園が影も形もない。
藤田観光が3年前に売却したそうな。

そして、今は更地~

時代の流れを感じるわ~

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タノシイチャノユ

2023年12月29日 11時33分58秒 | 美術館・博物館etc.

★逸翁美術館 サイト
 『楽しい茶の湯 タノシイチャノユ』 ※会期終了

12月17日(日)まで開催していた展覧会。
その最終日に駆け込みで行ってきた。
(最終日だというのに、館内結構な賑わいで。逸翁美術館が池田市内もしくは大阪府、近畿全域に存在が浸透している表れかなぁと思った)

この秋の(特定の)美術館相互割引キャンペーンがあるということで
10月に訪れた中之島香雪美術館の半券を持参、200円引きの500円で鑑賞。

訪れてよかった。

第一章「珍奇な姿が楽しい」では瀬戸塁座茶入『紅葉』をはじめてとする“ちょっと変わった形”の道具を鑑賞。
不昧公作の竹筒花入なんてS字カーブ。
光悦好の竹垣文釜。感想メモに「おもしろい」としか書いてない。
清水六兵衛(六和)作の雪達磨手焙も。実際に茶席にあったら、おもわず笑ってしまいそう。

第二章「見立ての趣向が楽しい」では改めて小林一三さんのセンスに感服。
フランスのワインクーラーを水指に見立てるくらいはもう当たり前。

もとは何だったろうを思うくらいのアメリカ製の瑠璃色光沢の容器は「尻張茶入」と言われれば、もうそれにしか見えない。

アルミ素材で自在に整形する技術がまだ珍しかった頃に作られたアルミ製水指「日の出」
ビーズ繋のナプキンリング蓋置。
一三氏お見立てのナプキンリング蓋置は以前も観た記憶があるけど、ビーズ製は初めてかも。
(以前は南鐐みたいな金属製だったので納得できたけど、ビーズで釜蓋の熱に耐えられるの?)

インドネシアで見つけたらしい(←時代背景が見えそう)水汲み籠花入。
バナナの葉っぱのような幅広の葉を複数重ねて作った買い物バックのような籠。
たぶん、水は漏らないから「水汲み籠」なのだろう。
巨大な籠に竹の落としを入れて茶花を生ければ、それはもう素敵な茶室になるでしょう~
と、想像力を掻き立てられる。

第三章「賑やかがたのしい」
茶道具ではなくて、昭和11年の北野大茶会之図が面白かった。
芦葉会メンバーによる逸翁宛の寄せ書きもよかった。
道具では不昧好の鮟鱇茶器写(4代・小島漆壺斎)や御本金海茶碗。
酒井抱一の椿黒楽茶碗図扇子。大きくてきれいだった。

楽惺入(せいにゅう)作の色替割山椒向付に感動。
楽美術館で慶入作の割山椒向付は観たことある。
黒釉だったか緑釉だったか忘れたけど、とにかく渋い造りだった。
形は同じで、カラフルな明るい割山椒向付。惺入さんらしいなぁ。
以前の逸翁美術館(現・小林一三記念館)の呈茶席で惺入さんの茶碗を拝見したことを思い出す。

たぶん、パトロン的に惺入さんというか楽家を支援し、交流もあったんだろうなぁ。
だから、こういう逸翁テイストなカラフル割山椒向付がココにあるのねぇ。

なんて思った。

時間ないので、かなり端折った感想記。

逸翁美術館はラインからちょっと外れた場所にあるので、なかなか訪れることができないけど、
訪れる時は「ハズレなし!」と期待して、それが裏切られたことがない。

来年も訪問できるといいな。

さて、今年の茶道もこの逸翁美術館が納めとなった。

稽古が11回、茶道具鑑賞が16回。
コロナ明けたのに、相変わらず低迷しているのは、私自身が「そういう気分になれない」から。

先のことはわからないけれど、とりあえず細々とお付き合いしていこうと考えている。

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大名家の茶道具

2023年10月24日 06時40分35秒 | 美術館・博物館etc.

★湯木美術館 サイト 
 秋季展『大名家の茶道具』 *9月1日(金)~12月10日(日) 700円→600円

10月の三連休・中日(なかび)にあたる日曜日の正午前に訪れたら、珍しく混んでいた。
「混む」といっても数名なんだけどね。
茶道具展に多い「茶道の先生風」なやや高齢女性ではなく、30代~50代の男性と女性でそれぞれ単独。
なんか、自分と重なる層の見学者が複数いるのは心強い。

とはいうものの、鑑賞の仕方も同じような感じで重ならないように展示ケースを微妙に行ったり来たりしながら観た。

<ケース1>
大井戸茶碗「対馬」は酒井忠勝(1587-1662)所持。
「酒井家」といわれれば、今年は大河ドラマの影響で「酒井忠次と関係が?」と思ってしまうが、
こちらは若狭酒井家の方。(同姓同名で忠次の息子?に「酒井忠勝」さんもいらっしゃるが、こちらの道具所持者ではないようだ)
むしろ、酒井忠以(宗雅)・酒井抱一兄弟のご先祖さん。
ちなみに、この連休中に鑑賞した展覧会の中で、酒井忠勝さんのお名前を何度か見た。ちょっと気になる存在になりつつある。

色絵薄文茶碗「武蔵野文」は仁清窯。久しぶりの再見。加賀八家の一つ、本多家の所蔵。(金沢訪問時にお屋敷を見学したかも~)
丹波焼茶碗は美濃・駒塚(今の岐阜羽島あたり)1万石の石河家の所蔵。

<ケース2>
古田織部ゆかり?の黒織部沓形茶碗、黒田家指導の高取焼沓形茶碗、毛利家の古萩筆洗形茶碗、平戸の松浦家の古唐津茶碗。

<ケース3>
色絵柳橋図水指(仁清窯)。回転展示で楽しい。池田藩家老の伊木三猿斎所持。京極家伝来。

<ケース4>
古染付山水図水指は大和郡山1.5万石の柳沢尭山(1753-1816)所持。不昧公門下の大名。
瀬戸肩衝茶入「飛鳥川」 は遠州指導の窯。若州酒井家の忠勝さん所持。
唐津焼肩衝茶入「老松」は尾州徳川家の付家老・竹腰家所蔵。

<ケース5>
唐物独楽中次は松井忠次から松平周防守へ。
御本茶碗「時しらぶ」は対馬宗家。
黒茶碗「曙」(一入作)は毛利家伝来。
茶杓「虹」 金森宗和作。 伊達家の茶道役・清水道竿(どうかん)所持。

ケース6は掛物。
数点あったけど、酒井抱一筆の短冊しか覚えていない。

ケース7以降は省略。

過去に何度も見た茶道具もどういう由来(どの大名が所持していたのか)に着目して鑑賞するとまた違った味わいがあるね。

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「茶碗」展

2023年10月23日 06時22分33秒 | 美術館・博物館etc.

★野村美術館 サイト
 秋季特別展『茶碗 -茶を飲む器の変遷と多様性-』
 ※後期:10月21日(土)~12月10日(日) 800円→700円

うだうだ先延ばしにしていたら後期展示が始まっちゃった。

私が訪れたのは前期。
螺鈿の天目台に載った灰被天目が上品だなぁと思った。

最近はひとつひとつのお茶碗をじっくり観察することはしない。
野村美術館がよく訪れたから、だいたいのラインナップは頭に入ったから。

今回も長い移動の果てに辿り着いた疲労感もあり、どちらかと代表的なお茶碗を“確認”するような感じで鑑賞。

人形手茶碗とか祥瑞沓形茶碗とか。
志野茶碗「猛虎」は見るたびに何となく「うふふ」と思う。(得庵って、阪神ファンだったのかぁ。ことしアレで話題だよね)

家光が鶴の絵を描いたという御本立靍茶碗は後期展示予定。
前期は中央ケースに御本雲鶴茶碗が展示。ちょっと残念に思った。
ほか、紅葉呉器茶碗も「秋の野村美術館!」と思えるので、再会できてうれしい。

今回、茶碗展をいうことで地階もお茶碗がずらっと。
目録にも記載されている。

楽家歴代~長次郎、宗味、常慶~8代得入とばして了入まで~が並んでいる。
仁清の金筋茶碗と三島写茶碗もあって、これは得した気分。

粟田焼四方茶碗に尾形周平作の仁清写秋草絵茶碗もよい感じ。

もうちょっと精神的に落ち着いたら、またじっくり一碗一碗に向き合えるようになるかしら?

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茶の湯の茶碗

2023年10月18日 06時45分02秒 | 美術館・博物館etc.

★中之島香雪美術館 サイト
 企画展『茶の湯の茶碗―その歴史と魅力―』 ※11月26日(日)まで 1,200円→1,000円

香雪コレクションの茶碗といえば、2020年6月に御影の香雪美術館で開催された茶碗展を思い出す。→こちら

全体的な印象として、あそこまでのインパクトはなかった、ような。
館内、一部を除いて撮影可能だったようで。でも、カシャカシャやっているのは女性一人のみ。
その音が耳について、集中できない。
横目で見ると、茶碗を鑑賞するというよりも、「とりあえず写真撮っておこう」という感じ。

離れようとするが、離れてもいつのまにか近くにきちゃって~。
ちょっと気持ちが削がれてしまった。

でも、まぁ後から目録をみてもパッと茶碗のイメージが浮かぶ。
本当に展示物を味わおうと思ったら、やはり肉眼でしっかり観察すること。
これが大事。

香雪の茶碗は以前からしっかり観察してきたから、懐かしいなぁと思いながら観た。

志野茶碗の「朝日影」とか遊撃呉器茶碗「蝉丸」とか。

今回、新たに?印象に残ったのは白釉緑釉流茶碗の「巌苔」。
薄造りの茶碗に白釉がかけられて、上から更に緑釉がかかった茶碗。
緑色が本当に苔の色で。銘の付け方がいいなぁ。

各地の窯で焼かれた茶碗も(香雪にしては)珍しいかな。
土佐の尾戸焼。銹絵松竹梅茶碗。

信楽の筒茶碗も(私にとっては)珍しく感じた。

あと、仁清の色絵鱗波文茶碗。
重文で北村美術館所蔵。前期のみの特別展示。
もちろん、北村で観たことある。これ、香雪所蔵だった時期もあるのねぇ。
四方ケースで正面だけでなく、背面も拝見できたのはウレシイ。(北村では正面からしか鑑賞できないっから)
背面の鱗文様がびっしり?というかかなり豪華。
すごかった。

高橋箒庵の『大正名器鑑』に収録されている香雪の茶碗について解説したパネルがよくて、
これだけ撮影した。

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しのぶ秋

2023年10月17日 06時25分09秒 | 美術館・博物館etc.

★北村美術館 サイト
 秋季茶道具取合展『しのぶ秋』 ※12月3日(日)まで 600円→500円

今年は9月の記録的な猛暑の影響なのか、秋の到来は遅く、そして短い、ような。

2~3日前からようやく金木犀の香りが漂ってきた。
例年なら9月下旬から10月初旬にかけてだからねぇ。半月以上遅い。

そのせいか、10月上旬(10/7)に訪れた北村美術館の展示に気持ちが寄り添えなかった感じ。
ちょっと残念。

後から目録を見直して、ちょうど秋も感じる時期になったし、
「あ、こういう秋らしい展示だったのかぁ」。
ゴメンナサイ。見たけど、印象に残っていません。m(_ _)m

唯一、覚えているのが企画展示。「茶碗と楽しむ」相互割引にのっかったもの。

いつもなら懐石の食器(主に魯山人造)が展示されているところに
北村美術館にゆかりがあった方々の手造り茶碗が展示されていた。
「手遊びの茶碗たち」。

いずれも造った方々は個人。
お一人だけ、実際にお会いした方の作品があった。
林屋晴三先生の井戸茶碗。

講演会で楽茶碗の奥深さを教わった。(光悦の不二山の存在を知った)
席主をされたお茶会で楽茶碗に触れされていただいた。

懐かしいなぁと思いの中で、まだ来ぬ秋を感じた。

 

北村邸のお庭もまだ秋には早い。

少し歩いて梨木神社に立ち寄った。

 

萩の花は9月のお彼岸頃が見ごろだけど、遅れた秋のおかげで見ごろがズレた?
10月の萩を楽しんだ。

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茶会に招かれて~

2023年10月13日 06時34分07秒 | 美術館・博物館etc.

秋季特別展『茶会に招かれて』 滴翠美術館 サイト
※12月10日(日)まで 630円→504円

訪れた日がたまたま「オープンミュージアム」で無料で鑑賞できてしまった。
そのせいか、館内はそこそこに人がいて、こんなことは珍しいのでちょっといつもと違う感覚~というか。

雨も降っていて、もともと薄暗い館内が更に暗く感じたし、時間も気になっていたので
目録は見ずに単純に目の前の展示物と向き合った。

タイトル通り、展示室を茶室に見立てて展示物を選んでいるので、目録を見ずともわりとスイスイ鑑賞できた、かな。
(もう何度も拝見しているので、道具そのものは見覚えあるし)
で、帰ってから目録を眺めながら“復習”

掛物は伝・藤原佐理の古今和歌集の歌切。たぶん、2服並べて掛かっていた、ような。

矢筈窯の仁清の水指と茶入、一元の黒楽茶碗。確かに雅な取り合せだな。

別途、奥の方には仁清テイストが感じられるの色絵冊子花入に修学院焼の冠形耳付水指もよかった。

第二展示室の取り合わせも浄林の撫肩釜と鳳凰風炉もよかったな。

全般的に江戸時代の京の都を感じさせる「お茶会」に行った~という印象だった。

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琳派!

2023年10月12日 06時39分08秒 | 美術館・博物館etc.

特別企画展『描き継がれる日本の美 琳派』 サンリツ服部美術館
※前期:11月12日(日)まで 後期:11月14日(火)~12月3日(日)

8月にサンリツを訪れた際、「次は琳派かぁ。でも、日程がなぁ」と思った。
だけど、やっぱり行きたいから少しだけ頑張って(遠回りして)寄って来た。

サンリツにしては(?)珍しく前後期で大きく展示替え。
でも、前期だけでも見応えあった。

琳派の原点、光悦と宗達のコラボ「鹿に秋草下絵古今和歌集」は何度観ても日本らしい感性でいい。

琳派といえば、俵屋宗達→尾形光琳・乾山→酒井抱一→鈴木其一という流れが定番だけど
上記以外の作家さんの作品も拝見できてよかった。

それでも、圧巻はリスペクトした中心人物の作品。
今回は抱一の紅白梅図屏風。
光琳の紅梅白梅図屏風とは全然違う! 金箔ではない。綴れ織の絹地に墨で描かれた梅木。これがいい。
綴れ織独特の凸凹に筆が引っかかっているところが梅の幹の風合いをうまく表現していて。
背景の色合い(綴れ織の絹地の色)もとても素敵で落ち着く。

初めて観た。

これ1枚だけでも、わざわざ遠回りして雨の中を行った甲斐あったなぁと思えた。

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陶芸 かたちとの出会い

2023年08月16日 20時30分23秒 | 美術館・博物館etc.

『陶芸 かたちとの出会い』
サンリツ服部美術館 9月18日(月・祝)まで サイト

今年2度目のサンリツ訪問。
展覧会が目的~ではなく、単に信州を訪れたついでに立ち寄った、だけ。

なので、前日まで何が掛かっているかを把握していなかった。 ^_^);
(まぁ、よほどのことがない限り“ハズレ”なしという信頼あったけど)

前夜、音声ガイドのサイトにアクセスして、一足先に展示解説を聴いた。
眼をつぶって解説を聴きながら想像し、見どころを予習した。

今回は形状からの切り口で陶芸鑑賞を楽しむ趣向。

まずは「かたちの名前」から。
「盤」「皿」「碗」「鉢」「壺」「瓶」「盃」でそれぞれ特徴のある作品が並ぶ。

景徳鎮の黄地青花花果文盤 黄色の交趾っぽい感じが明代を象徴する器なだなぁ。
古九谷の色絵花鳥文輪花皿は地味な色と文様。
雨漏茶碗は小堀遠州が和歌にちなんで「鈴鹿山」と銘をつけ、その後に松平不昧公が所蔵したという。
 (雨漏茶碗はちょっと染みが不衛生な印象を受けるのだけど、これは上品な印象で染みも気にならないいい感じ)

次は「かたちを作る技」
南蛮芋頭水指(東南アジア 16世紀) 蓋は後から合わせて作ったもの。
黒楽茶碗、大樋焼、伯庵茶碗、織部四方蓋物、朝鮮唐津州浜形向付などそれぞれに特徴的な形の器が並ぶ。

更には「形と装飾」
印象に残ったのは織部手鉢。いつも見かける織部とは文様の系統が違うような?
「弥七田織部」と呼ばれるそうだ。(弥七田古窯というのがあるそうで)

独立ケース
景徳鎮窯の五彩算木形瓶(青磁の算木形瓶はちょいちょい見かけるけど、鮮やかな文様の五彩の算木は珍しいと思う)
伊賀耳付花入。畠山記念館の「からたち」と似た印象

今回、「不二山」のお出ましはなし。次回の展覧会に展示される予定とのこと。

特別企画展『描き継がれる日本の美 琳派』
 2023年10月7日(土)ー 12月3日(日)
 前期:10月7日(土)ー 11月12日(日)
 後期:11月14日(火)ー 12月3日(日)

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