貧困と格差が拡大し、貧しさのために治療を断念したり中断することによる手遅れ死が絶えません。日本国憲法第25条には以下のとおりのことが書いてあります。
第25条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
生きていれば誰でも病気を患うことがあります。日本国憲法第25条は、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならないと国民の健康に対する国家の責任を明確に記しています。それは、病気を患ったり怪我を負った時に貧しさの故に医療から排除されることなく必要な医療を受けて健康を取り戻して健やかに生きていくことが国民の基本的人権の中で最も重要な柱の1つだからです。
歴代政権は、財政難を持ちだしては各分野の社会保障制度を悪化させていきました。例えば、社会保険法に基づく医療保険において昔は被保険者の医療機関における窓口負担が無料だったのに1割、2割と引き上げられていき、現在では3割の窓口負担がかかります。そのために、今では医療費が家計を圧迫する因子になり受診抑制が行われます。また、国民健康保険料は国庫負担の引き下げにともなって上昇して生活苦に伴って保険料を支払えなくなり、医療制度から排除される人が絶えなくなっています。また、住民の生活の実態を見ずに保険料滞納を理由にした、自治体による機械的な取り上げが貧しい人々の生命と健康を脅かしています。
少なくとも日本を前提にして考えれば、貧しさのために医療から排除されて現在の医学水準で適切な治療をすれば助かるような病気や怪我によって命を落とす人のいる状態は、明らかに政府の怠慢です。社会保障を削減して国民の生存権を脅かす政権は、それだけで打倒するに値します。