葛飾ビラ弾圧 口頭弁論開いて/“まっとうな判断を”/荒川さんら 最高裁に申立書/大法廷回付求める
9月29日に最高裁判所は「判決宣告期日指定」を出しました。これは、憲法の言論の自由などの根幹がかかわる問題に対して大法廷での弁論すら開かずに判決を強行しようというものであり、きわめて不当であり憲法の趣旨を蹂躙するものでした。そのために、各方面からの批判や運動が起こり、10月10日付で最高裁判所は、判決期日指定を取り消す決定を下しました。言論弾圧を許さない国民運動と世論の力によるものです。
民主主義社会においては、人民(国民)が社会や国家の形成者として自分自身の考え方や立場を自由に表現でき、また人々に伝えることができてしかるべきです。葛飾でのビラ配布弾圧事件のようにマンションでビラを配布していけばその過程で住民と接触してそこから会話が生じることがあるかもしれません。実際に、私が日本共産党の仲間とともに選挙中やそのほかのときでも党の政策などを街中で宣伝すれば何らかの反応が帰ってくることがあります。いろいろと形は考えられますが、民主主義社会では、思想や立場を表現することができると同時に政治的なことなどを自由に対話することができて当たり前です。もちろん、人民がお互いに会話しあうためには、それが特に政治のことであれば政治のことに関して何らかの形で情報が必要です。ビラ配布は比較的低コストで小さな政治団体や政党などが利用しやすい宣伝方法です。それだけに、草の根からの民主主義をまもり、発展させていくためには、ビラ配布が犯罪視されて弾圧されるようではいけないわけです。
ビラの配布に関しては、官憲の対応だけではなくマンションの管理人(管理会社)のやり方や対応に問題があるケースが少なくありません。私が朝早くに「しんぶん赤旗」の日刊紙を配達するマンションでも一方的にビラ配布を禁止して、実際に政党のビラや議員団の報告書をポスティングしようとすると「ビラまき禁止だ」という口実で管理人が止めてきます。私から見れば、管理人の行為は、本人が自覚していなくても、民主主義を草の根から破壊する最悪の行為です。特に、地方政治の問題はテレビや全国紙で報じられることがほとんどないので、議会に議席を持っている(持っていなくても)政党の地元の組織の問題提起などは非常に重要なことです。議会に議席を持っている政党やその議員の報告内容や政策は、住民が自らの主権者の自覚において地方政治を考えるもっとも大切なことです。こういったことが、自由にできないようでは、地方自治における団体自治と住民自治が損なわれてしまいます。あれこれの、団地やマンションの管理人が政党や議員の配布物をピンクチラシや商業ビラの類と同列において扱うことは、重大な誤りです。
所属支部や関係各方面と相談しているわけでもないし、合意を得ているわけではないから、ここで書くのはあくまでも私の個人的な願望にしか過ぎませんが、状況によっては政党の宣伝物、地方議員の議会活動の方向文書を配布することを「邪魔」するようなマンション、団地においては管理人(たとえ、雇われの人であっても)および、マンションの管理会社を公序良俗に反する不法行為として裁判所への提訴ということすら考えたくなります。
例えば、カナダでは、マンションの管理人が政党や議員などの政治文書の配布を禁止するようなことをすれば、この行為が犯罪になります。政治的な思想、言動は、権力者によってもっとも蹂躙されやすいものです。だからこそ、外国ではマンションのビラ配布を禁止するがごとき行為を犯罪として扱ってまで、政治的な思想やこれを表現する自由を実質的に保障しようということになるわけです。これが、本来のまともな民主主義国家のあり方です。
最高裁判所は、葛飾区におけるビラ配布弾圧事件の問題について大法廷で事の本質を憲法の理念に基づき、憲法の精神にのっとた判断をするべきです。裁判所の裁判官を含めて、すべての公務員には憲法尊重、擁護が義務付けられています(憲法第99条)。そのことも、最高裁判所は自覚した上で、葛飾区におけるビラ配布弾圧事件に対する憲法に基づいた判断をし、判決を下すべきです。
最高裁判所の判例が、自由と民主主義が死んでいく第一歩となるようなことがあってはいけません。