愛と情熱の革命戦記

猫々左翼の闘争日誌

厚生労働省は、日本を生活基盤とする外国籍の人にも生活保護受給を権利と位置づけよ

2008年07月27日 15時49分25秒 | 貧困根絶をめざす
外国人の生活保護世帯急増、登録外でも37自治体が対象に(読売新聞) - goo ニュース

 日本に貧困が拡大しているうえ、日本に生活基盤を持つ外国籍の人の人数そのものが経済のグローバル化により増えているのだから、10年前と比べて外国籍の生活保護世帯が増えること自体別段不思議でもなんでもない。

 ただ、問題なのは、生活保護を受給することが権利かどうかに関して日本国籍の有無で区切っていることである。政府は外国人の生活保護受給を権利として位置づけていない。生活保護法をはじめ社会保障法分野の各法律が対象にしているのは、日本に生活基盤を持つ人である。いくら、国籍が日本であっても生活基盤を外国に持っている人が外国で生活に困窮した場合に日本の生活保護を受給してくださいと言ってみたところで無意味の一語に尽きる。また、日本にしか生活基盤を持たない外国籍の人に対して国籍が外国であることを理由にして出身国の法律の適用を受けろといってもまったく意味を成さない。

 日本では国籍が日本であるかどうかにかかわらず所得が発生すれば所得税が課税され、住民税も課税される。年金保険料も当然徴収される。健康保険量に関しても同様である。労働保険に関することでもやはり、雇用保険料は企業に雇われていて保険に加入していれば保険料は給与から差し引かれる。業務に起因して怪我をする、あるいは疾病を患えば労災保険が適用される。あえて法律の規定で言えば、日本で就労するための法的な手続きをとっていない外国人に対しても労災保険は適用される(ほとんどの場合、強制送還を恐れて泣き寝入りという事態が生じる)。税金などを外国籍の人からも取るだけとっておいていざ生活基盤を持つ日本で生活に困窮したときに必要な給付を受けることを権利でないというのは、法理論としても不当である。

 労働保険を含めてあらゆる社会保障法は、法の性格から日本国籍の有無にかかわらず保険事故が発生すればこれに応じて適用される。だから、政府が生活保護法に関して日本国籍の有無を権利の有無を断じる根拠にするのは、法律論としても無理がる。

 多くの自治体が登録地でなければ生活保護受給を認めないとしている。日本国籍の人の場合は、住民登録にかかわらず居住実態のある自治体で生活保護を受給できる。法の性質から見て登録地でないから受給を認めないというのは、法律の本旨に反するだろう。大阪府は、居住実態があれば外国籍の人にも生活保護受給を認めていて不服申し立ても認めている。社会保障法の性格を考えれば、大阪府の運用の仕方は道理がある。

 厚生労働省は、「登録地と居住地が異なる事例は想定していなかった。現場で判断してもらうしかない。ただ、保護は権利ではなく、不服申し立ては認められない」という不当な見解(誤った見解といってもいいだろう)を撤回して、日本に生活基盤を持つ人には外国籍の人に対しても生活保護受給を権利として認めるべきである。