2017年9月28日に衆議院が解散され、選挙が行われることになった(10月10日公示・22日投票日)。
さて、国政選挙で立候補する時に供託金がいくら必要であるのかご存知だろうか。これを知っているのは政党に関係している人や議員くらいかもしれない。参議院の選挙区及び衆議院小選挙区で立候補する場合には300万円が供託金として必要になる。比例代表の場合は、衆参ともに1人あたり600万円が供託金として必要になる。
比例代表に立候補出来るのは現状の制度においては政党だけだが、参議院の選挙区及び衆議院の小選挙区に立候補するのは個人である。政党に加入している人が加入政党の公認候補として立候補する場合には、当該政党の党員や支持者から募金を募ることで必要な資金を用意する条件がある。しかし、どこの政党にも加入していない人には、政党の公認で立候補するようなやり方で必要な資金を集める条件は皆無であろう。高額所得者にとって300万円は、「はした金」かもしれない。しかし、一般の勤労者にとって300万円はそう簡単に用意出来ない大金だ。賃金労働者でも正社員で一定の水準の給与を得ている人の場合は、預金通帳の残高が数百万円とか1000万円程度ある場合があり得るだろう。しかし、このような金額は、特に子どもがいる人の場合は、子どもの教育に必要な資金を少しずつ貯めてきた結果だったり、何らかの備えであろう。その中から簡単に300万円を選挙のために使ううことは常識的に不可能だと考えて良い(法定得票を得られなければ、供託金は没収される)。
世界でも例を見ないほどの高額の供託金は、勤労者を議会から締め出すための装置として作用し、主権者国民から政治を遠ざけている。日本国憲法で掲げられている主権在民をより実質的なものにするためには、少なくとも供託金の金額を数万円とか10万円程度に抑えるべきである。敢えて言えば、供託金という制度を廃止しても良いくらいだ。