愛と情熱の革命戦記

猫々左翼の闘争日誌

派遣切りの末東尋坊へ……

2008年12月15日 22時25分52秒 | 人間らしく働くルールの確立を

自殺志願:「派遣切り」4人、NPO先月保護 10月はゼロ--福井・東尋坊 - 毎日jp毎日新聞



 東尋坊は、福井県の観光の名勝として知られるところです。名前の由来は、昔、行動が粗暴なためにあるいは恋愛関係のことで恨みを買い、ここから突き落とされた平勝寺(勝山市)の僧の名前によるそうです。東尋坊は、私自身はテレビや写真でしか見たことがありませんが、自然のすごさを見ることのできる、また見晴らしのよさそうなところです。こうして写真だけでも景色を堪能することができます。ここへ、自然を堪能するために訪問するならば良いのですが、あまりおすすめできない目的で東尋坊へ訪問する人もいます。自殺を目的にここの地へ訪れ自ら命を絶つ人が絶えないそうです。毎年、25人ほどの方がここで自ら命を絶つそうです。

 景気悪化を口実に、派遣労働者などの切捨てが進んでいます。この状況を反映してか、現地で自殺防止パトロールをしているNPO「心に響く文集・編集局」理事長・茂幸雄さんが11月に人生に行き詰まり自殺しようとした若者を6人保護しました。そのうち、4人が派遣社員だったそうです。茂幸雄さんによれば、10月は派遣社員を名乗る自殺志願者はいなかったとのことです。また、保護した人は20代から40代の人でした。


 現在、20代の若年労働者の2人に1人は非正規雇用の労働者です。こういう状況が生まれた背景には、1995年に日経連が打ち出した「新時代の『日本的経営』」によります。大づかみに言うと、労働者を1.「長期蓄積能力活用型グループ」、2.「高度専門能力活用型グループ」、3.「雇用柔軟型グループ」と3つに分ける内容です。1は、雇用の定めのない契約で、管理職、総合職、技能部門の基幹職です。後の2と3は有期雇用契約です。とくに、3は派遣社員など、雇用の調整弁としていつでも切り捨てられるようにパートや派遣社員などに正社員から置き換えようという財界の策動の現れです。2はおもに契約社員とすることを財界は考えていました。歴代政府は財界の身勝手な言い分そのままに労働法制を改悪し、2003年(平成15年)6月6日に現行の改悪版派遣法を制定し、翌年の3月1日に施工しました。契約期間も今までは派遣社員の上限期間は1年としていましたが現行の改悪版では上限期間が3年となっています。上限期間を1年としていたのは、長年にわたって労働者が不安定な状況にあることを良くないとする建前によりました。しかし、今ではこれすら投げ捨てられていったのです。偽装請負が問題化し始めたのは労働者派遣法が製造業を解禁した頃からです。

 「新時代の『日本的経営』」の参照元は以下の通りです。
http://www.h5.dion.ne.jp/~hpray/siryou/shakaikeizai/nikkeiren21.htm

 財界は、利潤最大化を図るためなら、労働者の生活がどれほど不安定になろうとも「知ったことではない」とばかりの身勝手な反社会的要求をし、歴代政府はこれを財界の意のままに受け入れました。非正規雇用の労働者が増大し、働いていても命をつなぐのがやっと、という貧困層の増大は、このようにしてもたらされました。

 いつでも、自由に雇用の調整弁として切り捨てられる労働者を政府が財界の要求そのままに増やしていったことが東尋坊のような事態を引き起こしていったことは、もはや争う余地のないことです。歴代政府の誤りは明白です。現在、全国で横行している派遣切りは、歴代政府の政策がもたらした政治災害である以上、政府は責任を取らなくてはいけません。派遣切りの横行を防ぎ雇用を政府は守らなければなりません。そうでなければ、東尋坊のようなことは今後増え続けるばかりです。

 若者から希望を奪い、自殺に追い込んでいく政治のあり方はあきらかに間違っています。また、減益を口実にして派遣社員を狙い打ちに切り捨て、一方で株主への配当を増やす(例えばいすゞ自動車)という手前勝手な大資本・財界の横暴を、私は一切容認できません。


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4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
労働者保護へ (トッペイ)
2008-12-16 01:57:24
 東尋坊の話は、悲惨なニュースです。
企業は、まず株主配当を減らすこと、社内の剰余金を切り崩すこと、役員報酬を減額することを真っ先に実行すべきです。憲法改悪、愛国心を日頃から強調されていた財界人は、今こそ、愛国心を発揮して困難な状況に追い込んだ派遣労働者を救済すべきです。財界の皆さん、あなたたちの国を愛するというなら、法人税の減額のために消費税のアップなど言うべきではないのです。
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トッペイさんに同意! ()
2008-12-16 22:42:05
愛国心。
まさにそのとおり。
日本という国のことを思うのならば、今、企業に求められるのは、一人でも多くの雇用を実施すること。これこそ、愛国的行動であり、企業の社会的責任の実践です。

企業は今こそ愛国心を発揮せよ!

いっちょ、この線で、攻めてみますか。。。
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コメントありがとう (Aleido Che Guevara)
2008-12-16 23:06:03
お二人(トッペイさん、風さん)の言うとおり、生活困難な人を切り捨てずに社会的責任を大企業が果たすことこそ本当の愛国心です。

追伸
写真が大きすぎてかえって文章がみづいらいので小さくしました。
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Unknown (フクロウ)
2008-12-16 23:28:53
「派遣切り」なんぞウチの責任などでは
ない…と吐いて捨てた御手洗の顔。
国や自治体が対策を打ち出しているとはいえ、
奴隷労働の上になりたって、史上空前の
利益を上げた会社に何の負担もさせない
など、許し難いです。こういった国や
自治体の対応にかかる費用も、元はと言えば
われわれ労働者の血税なのですから。
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