今回の記事の表題、不破哲三さん(党中央委員会付属社会科学研究所長)の最近の著作「マルクスは生きている」(平凡社新書)を意識して付けてみました。言うまでもないことですが、チェ・ゲバラは1967年にボリビアの山中で殺されました。生きているというのは、チェ・ゲバラそのものではなく、彼の信念、志が世界の人々にいろいろな形で引き継がれているという意味です。
28日に、文京区民センターで日本キューバ友好協会主催の「伊藤千尋講演会」があり、そこへ私は行きました。講演会の表題は「キューバ革命から半世紀―中南米に実現するゲバラの夢」です。今年、公開された映画「28歳の革命」「39歳 別れの手紙」で描かれたチェ・ゲバラは上の写真の人です。ゲバラTシャツなど、チェ・ゲバラの関係のグッズの多くが上の画像を下地にして作られています。講演会当日には、ゲバラの顔が描かれたステッカーのようなものを飾っていました。
日本キューバ友好協会が設立されたのは1963年です。現在、日本にはキューバとの友好を図る団体が十数団体あるそうですが、その中で日本キューバ友好協会は最も早く結成された団体だと会場で聞きました。
少し前置きが過ぎましたが、本題に入ります。
講演会の大まかな流れは、まず最初に主催者の挨拶、在日キューバ大使館からの挨拶、そして伊藤千尋さんの講演でした。
伊藤千尋さんは、南米とアメリカ合衆国との関係の現在における大きな変化、キューバとアメリカ合衆国との間に始まっている変化、亡命キューバ人社会のなかの変化などをお話しました。もちろん、ゲバラの話をしました。実は、伊藤千尋さんは南米の話を中心にして、ゲバラの話をするのを忘れかけていたようです(爆)。1時間近く話したときに、思い出したように(爆)チェ・ゲバラの話をし始めました。講演1位時間の予定が、しっかりと30分延びました(爆)。
伊藤千尋さんのお話のなかで興味深く笑えもしたのが、70年代に若きころの伊藤千尋さんが参加したサトウキビ刈りのボランティアに参加したときのお話です。どうも、キューバ人というのは日本人の感覚からするとのんびりというか能天気というところがありそうです。当時伊藤千尋さんがサトウキビ刈りのボランティアで一緒に働いた現地の人がラファエロ君という人だったそうですが、彼の話によるとラファエロ君がこれまた働かない奴で(爆)5分やるとすぐに「疲れた」と言って休みだすのです。そして、しまいにはサトウキビを刈りながらビートルズの「イエローサブマリン」を歌い出す始末だったとのことです(もちろんラファエロ君はスペイン語で「イエローサブマリン」を歌い出したのです。)。夜になると、ダンスがあるから踊りましょう、とラファエロ君は伊藤千尋さんを誘い出したそうです。ラファエロ君に限らずキューバ人には「踊りができなくて何のための人生なんだ!」という感覚が程度の差こそあれあるようです。ラファエロ君は本当にヘロヘロになっていたのではなく、夜に備えて体力を温存していたわけです(爆)。
当時、キューバではソ連型の経済体制が取り入れられていました。しかし、キューバ人の気質を考えればうまくいくわけなく、現地の人も「こんなのうまくいくわけないじゃん」とボロクソに話していたと、伊藤千尋さんはお話していました。例えば、今日はサトウキビを10本刈ろうというノルマがあってもキューバ人はこれを守ろうとせず、まともにノルマを守ろうとしたのは日本人だけだったそうです(爆)。
伊藤千尋さんがお話したキューバのことでは、民主主義とは何かということに考えさせられました。キューバには、政党としてはキューバ共産党しか存在していません。思想・信条の自由に制限が課せられています。だからといってキューバに民主主義がないのかというとそんなことはありません。キューバで思想・信条の自由に制限があるのは、アメリカ合衆国との関係があるからです。キューバはアメリカべったりのバティスタ独裁政権を打倒する中で革命を達成しましたが、革命前のキューバはアメリカ資本、とくにユナイテッドフルーツ社(現在のチキータ社)により食い物にされていました。革命政権はユナイテッドフルーツ社を接収してアメリカ資本の利権にキューバが食い物にされないようにしました。これがきっかけでアメリカによる対キューバへの経済封鎖が始まり現在に至っています。ですから、キューバにおいては、バティスタ独裁政権の悪夢を繰り返さないためには、キューバ式の戦う民主制のようなものが必要だったわけです。実際に、キューバの反政府グループの多くはアメリカからの資金援助などを受けています。ですから、キューバの経済政策などにたいして、一般的にフィデル・カストロを批判したからといってそれだけで、投獄されるわけではないのです。実際には、現在でもキューバ政府に対しての不満をキューバの人は率直に言います。
かつて伊藤千尋さんはキューバへ行ったときに反政府組織に接触して取材したことがありますが、キューバ政府から何も言われなかったとのことです。
キューバでは、閣僚クラスの人でも特権階層ではありません。このことは伊藤千尋さんの講演のなかで改めて知りました。フィデル・カストロに会うのは、簡単だという内容のお話のなかで、伊藤千尋さんがカストロとキューバ人民との関係をお話しました。例えば、キューバで新しく村ができるなどことで工事が始まるとカストロは必ず現場を見に来ます。伊藤千尋さんがカストロを見に工事現場へ行ったとき、カストロ(現地の人は彼を"フィデル"とファーストネームで呼びます)が現場に来たときに人々はカストロのところへ仕事の手を止めて集まって「フィデル」と呼びながらカストロの背中をポンポンたたいて軍服の背中がセメントで真っ白くなるような状況がありました。そのなかで、労働者は職場の不満などをカストロに遠慮なくぶつけてカストロも「それはひどいな」と労働者と語り合う状況だったとのことです。カストロが本当に北朝鮮のキム・ジョンイルなどのような独裁者であれば、伊藤千尋さんが目にした光景はありえません。なにしろ、政府のトップと一般の労働者がキューバでは同じ目線で物事を語り合っているのですから。独裁者はこのようなことはしません。
民主主義社会は、日本共産党風に言えば「国民が主人公」の社会です。本当に「国民が主人公」であれば総理大臣など閣僚でも特権階層であってはいけません。事実に基づいて(アメリカ発の悪意に満ちたプロパガンダに惑わされないで)みれば、日本よりキューバのほうがある部分では民主主義がよほど発達していると考えられます。日本では、日本共産党の議員でさえ、読者、支持者から「先生」とペコペコされます。キューバではそんな発想がありません。
日本で聞くキューバ情報は、新聞などマスコミの報道はアメリカよりのものがほとんどです。アメリカのホワイトハウス経由のキューバ情報は悪意に満ちたプロパガンダですから、これほど信用できない情報はないと以前からは私は思っていましたが、伊藤千尋さんのように実際にキューバへ言った人の話と、日本でテレビや新聞などで聞く情報とはこうまで乖離しているのかと思った次第です。
最新の画像[もっと見る]
- 市民と野党の共闘の勝利及び日本共産党の躍進で政権交代を実現しよう! 3年前
- 【東京都知事選挙】市民と野党の共闘で宇都宮けんじ候補の勝利を勝ち取ろう 5年前
- 日本共産党の勝利で消費税増税を阻止するとともに安倍政権退陣への引導を渡そう 6年前
- 2019.3.21 セバタ勇事務所開き 6年前
- 6・9(ろく・きゅう)行動 6年前
- 平井親和会商店街練り歩き&3,000万人署名 7年前
- 危険な風潮 7年前
- 統一戦線で選挙を闘う 7年前
- 統一戦線で選挙を闘う 7年前
- 統一戦線で選挙を闘う 7年前
いまどき、トロツキストという言葉を目にするとはな。
ラテンアメリカ諸国の人民の戦いがゲバラに続くものであるということとトロツキストとどういう関係があるのですかぁ?
現在のラテンアメリカの情勢をふまえておきなさい。バカ丸出しだよぉ(爆)
一般法則論者
キューバという国に興味が湧きました。
日本よりも遥かに政治が発達していますよね。
機会があれば訪れてみたいものです。
日本は自身では民主主義と言ってますが、他の国からは民主主義国家とは思われておらず、良く出来た社会主義国家と言われてますよね。