陽だまりのねごと

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インターセックス    帚木 蓬生

2009-03-11 20:01:00 | 
インターセックス
帚木 蓬生
集英社

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いつものミステリー仕立てだけれど
女性でも男性でもないどちらにも属さない性を持つ人たちを扱うテーマの大きさの方へ惹きつけられる。
オリンピックで失格となる性を生まれながらに持つ人の存在ははっきりと知らなかった。
普通の人という鋳型から外れて生まれたからといって、矯正を強いられるのではなく、
『生まれ持ったままの自分で堂々と生きよ』と言うメッセージは
インターセックスの人だけでなくすべての人に言える。
100万人にひとりの出生率だって、この地球上にしたらものすごい人数になる。

同じ身体的悩みを持つ人たちの自助会が出てくる。
そこでは実名はいらないし、話されたことは外に持ち出さず
発言への批判もコメントも求めれれない限りタブーと言う。
外へ向けて自分の苦しかった事を吐きだし、
あうんの呼吸でそこに居る人に「おなじよ」共感を得るだけで気持ちが楽になるのはすごく良く分かる。

私もまたなんやかやとこのブログに吐き出し、
人目に私の思いが触れていることで、
「おなじ、おなじ」と共感してくれる人の存在があることで
自分を保っていられる部分も大きい気がしている。

胸を張って自分ひとりが自分肯定していく脆さが
  そのままでいいんだよ
と、人によって支えられ強くなっていく。

帚木さんは
人の手による受精で生まれる子や小児への臓器移植のためと言う人工中絶胎児臓器の培養とか
人間の領域を超えてゆくかもしれない、もしかしたらも越えてしまっている医療の未来をほのめかして
数人の殺人の解き証しのすっきりよりも重たい不安を読後残して筆を置かれている。

次、何を書かれるのかな?と私はまた帚木ワールドの虜になった。