陽だまりのねごと

♪~思いつきひらめき直感~ただのねこのねごとでございますにゃごにゃご~♪

薄闇シルエット  角田 光代

2010-02-17 10:40:02 | 
薄闇シルエット
角田 光代
角川書店

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負け組とか勝ち組とか言う。
結婚している、していない。
仕事で成功している、していない。
20代では漠然と夢を追っていたものが、ぼちぼち形となる40前。

結婚している人をバカにしたり、
自分がこうだと思った主義を曲げて生きる道を選んだ人を蔑んだり
特に専業主婦で手作り教の母を軽蔑しきって、生き方を嫌悪してきた結果、
じゃあ、いったい自分はどうなのか?
周り全員が勝ち組にみえて、
自分の手にはないもないと茫々とした寂しさを覚えるが、
それは最終的には、自分と違うみんなの生き方を肯定したことであり
自分は自分として、自分の得たいものをこれから見つけようと言うところで小説は終わっている。
最初バカにされていた母世代の私もうんうん分かる、分かると言う感じ。

ところで
50歳も半ばを過ぎると、『えっ!こんな予定では?』という自分でいる。
この原因は自分の努力とかと違う運命とか不可抗力。
しかも、
その『えっ!』の部分は大きく重くなることはあっても、小さく軽くなる可能性が少ないことにも気がつく。
これも大人になるというか?人として成長過程というか?
こういうのも60、70から見ると鼻たれなんだろう?きっと。

角田さんは私よりひと回り以上若いよね?
と、奥付きを確かめた。
年齢が上がって、またどういう小説が出るか楽しみ。



石内尋常高等小学校 花は散れども

2010-02-17 10:19:04 | 映画(DVD)
石内尋常高等小学校 花は散れども [DVD]

バンダイビジュアル

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お暇モードで借りた5つの中でこれが一番面白かった。ジーンときた。
新藤兼人監督と言えば、乙羽信子とのことが頭をよぎる。
好きなのに結婚は出来ない心情が現実と被るように思えた。

古い小学校校舎や懐かしい景色と教師が敬われた古き良き時代が繰り広げられて落ち着く。
脳梗塞後遺症の恩師への接し方がたまらなく良かった。
話すことができなくなっても、恩師の尊厳がきっちり守られている。
ちゃん付けで呼ぶ某デイサービスへ爪の垢でも煎じて飲ませたい。

登場してくる女性がたいへんに強い。
破天荒な夫を支える妻だったり、恋にも臆病な相手をぐんぐんリードしたり。
男に頼らないで男を愛する女の姿も小気味よい。

人と人とがずっとあったかい関係はありそうでない。故にこう言うのはジーンとする。