陽だまりのねごと

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ふたたび「モーツアルトとクジラ」

2007-02-04 21:43:44 | 
読み終えた。
結婚生活のすさまじきできごとのあれこれが
息子と暮らしているから実によく分かった。
うちの話をすると毎日が格闘技みたいだと言った友人が居たけれど、
まさにジェリーとメアリーのはじめの結婚生活は格闘技みたいだった。

思いやりのすれ違い。
感性の違い。
いつも誰かがそばに居る緊張感。
ふたりで暮らすことは好き合って結婚した健常人だって、
なかなか最初は上手くいかない。

ジェリーの
怒鳴ったりしつこく追求する姿は息子にそっくり。
その事でメアリーは過去のいまわしい出来事をフラッシュバック。
尋常でない泥沼、破綻。
この結果の必然性はものすごくガテンがいった。

男性ASのセックスに触れてあるあたり
母親では相談相手にもならないけれど、
息子のことが少し理解できたように思う。

同性とも友好関係を持ちにくいASが異性とコンタクトをとって
恋愛に発展するのは至難の業だろう。
受身である女性より男性の方がこの点は深刻なのだ。

5年前にふたたび結婚して50代のふたり。
うまくいくための方法を今も維持しているのだろうか?
結婚を維持するために不可欠な要素と気付いたから

 怒ることを止めたと言う。
 警戒心からのガードを止めたと言う。

息子を見ている限りでは
劣等感からの猜疑心、警戒心で起こる過剰防衛バリアが人を寄せつけない。
自分から寄せ付けないバリアを張って、
ハリネズミの鎧を着て攻撃態勢を常にとり、
内心はびくびくおどおど、孤独にちぢこまって
ちょっとした刺激で血が流れるあか剥けの心臓。

事が起これば、
これ以上の出血をみないために
怒りを暴発させて、
人が土下座して謝るまでしつこく攻撃の手を緩めない。

相手と楽しい時間を共有しようと言う努力は
コペルニクス的展開、発想だろう。
努力して結婚生活を維持することは
『複雑なしあわせ』
と書いてあったけれど
健常人もまたしかり。

AS同士の結婚例としてのふたりは広告塔でもある。
この先、うまくいくかどうか?みんなが見守っている
いずれにしても出会いのチャンスがなければ、結婚には至らない。

ジェリーから世のASの親たちへの要望に

 人生は楽しみ、味わい、自分の手で触れ、噛み締めるものだと考え、
 それぞれの興味を他者と共有できる機会や場所をぜひ見つけてあげて

とある。
成人してからはその道を自らが見つけられる様な情報提供か
危なくなった時、どうしようもなくなった時の
セーフティネットくらいしか親の役目はないような気がする。

今日、息子は車の助手席で突然、怒り出した。
黄色い自転車に乗った青年が
通りすがりに自分を見て嘲笑して行ったと怒鳴りだしたのだ。
こちらも走行中。
確かに向かいの歩道をにこにこして走っている自転車とすれ違った。
嘲笑は自意識過剰。傷付きたくない防衛過剰だろう。

私から予定の本屋を冷やかす気が反れた。
『怒っているから本屋は止めて帰る』
とUターンしたら、足元に置かれた車内ゴミ箱がまた蹴られた。
これ以上出ないだろうと言う大声で

 『なぜ、怒るのか?オレが怒って何が悪い!』
 『オレに悪意はないぞ』
 『悪意のない人間に怒るな!』

母の気持になど気が回らないのは
ASだから
きっとそうなんだろう?
やさしい気持とはまた違う次元の事なのだろう

少し沈静してから語るところによると
母を怒ったのではないのに、母が怒るのは筋違いだと
混乱が生じたらしい。

怒りの99パーセントは
カン違いから派生していると睨んでいる。

こう言うASと結婚したいと思う女性がどこかに居るのかな?

メアリーとジェリーの笑いのツボが一緒のところに救われる。
AS特有の凡人では理解不能な笑いが確かに多い。
笑いが共有できるってなかなかステキ。
社会性がノーマルと言われている人々にだって
友好関係の大切なツボは
同じことで笑い合える事かもしれない。

さて、
結婚しました。めでたし、めでたしで終らない。
この先、白なのか黒なのかはっきりしない。
この実話は白黒はっきり付けたいASの人が読んで、
勇気や元気が出て、希望がわいてくるかしらん?
息子の嫌う言葉『微妙』なところか。




モーツァルトとクジラ

2007-02-01 08:26:10 | 
モーツァルトとクジラ

日本放送出版協会

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ネット注文が届いた日、新聞広告欄にも載っていた。
アスペルガーでサヴァンなふたりの恋ものがたり。
実話だから息子が絶対にないと思い込んでいる
アスペの恋の成就がここに記されている。

サヴァン症候群は

四日間の奇蹟

宝島社

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↑映画にもなったこの小説に出てくる知的障害と抜きん出た能力を合わせ持った
ピアニストの少女の障害がそれだった。

1999年3月 睡眠薬60錠飲んだところから第一章が始まる。
エピローグには

 この物語は特別なものではない。
 ぼくらのように、自分がひどく
 『変わっていて人に好かれていない』と感じている…
 こういう人たちは、これから先もずっと
 ありのままの自分を受け入れてくれる人はだれもいないのだとあきらめている。
 (中略)
 アスペルガー症候群があっても、すばらしい関係は築けるのだ。

ここにある事実をゆっくりと読みたいと思う。
できれば、息子にも読んでもらいたい。
あきらめないで欲しいから。
すべての人から拒絶されていないと確信して欲しいから。