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日中首脳会談

2015-04-23 10:44:26 | 日記

 

会談する安倍首相(左)と中国の習近平国家主席=22日、ジャカルタ(共同)

 

 安倍首相演説“無視”の習氏、即座に「歴史」反論の首相…冷徹な現実、友好ムードはあくまで「演出」

産経新聞 2015.4.23 06:56更新

 安倍晋三首相と中国の習近平国家主席による日中首脳会談は、昨年11月の前回とは打って変わって「和やかな雰囲気」(同行筋)で行われた。だが、歴史認識やアジアインフラ投資銀行(AIIB)などに関しては、意見の隔たりは大きいままだった。

 「せっかくの機会だから、中日関係の発展について安倍首相の見解を聞かせてほしい」

 22日夕、会談会場で首相を出迎えた習氏は、笑顔で首相と握手をした後、ソファに座ってこう切り出した。会談後も、会談内容を質問しようと習氏を追いかける50人近い記者団に笑顔で何度も手を振り、友好ムードを醸し出した。

 だが、歴史認識問題になると習氏は態度を一変。「歴史を正視する積極的なメッセージを出すことを望む」などと、何度も首相にくぎを刺すことを忘れなかった。これには首相も即座に反論し、緊張が走った。

 午前中のバンドン会議60周年記念首脳会議でも、こんな場面があった。

 「プライムミニスター、シンゾー・アベ」

 場内に首相の名前がアナウンスされ、演説が始まる直前のことだった。それまで各国首脳の演説に耳を傾けていた習氏が突然、席を立って会場を後にしてしまったのだ。その時の習氏の「無表情」ぶりは、昨年11月の首脳会談で見せた態度を彷彿とさせた。

 中国側は首相の演説を、今夏に出す戦後70年談話の「原型」とみなし、注視していた。

 バンドン会議50周年の2005年の首脳会議では、当時の小泉純一郎首相が過去の「植民地支配」や「侵略」を謝罪した戦後50年の村山富市首相談話を踏襲する演説を行い、同年8月に出された小泉談話にも引き継がれた経緯がある。

 しかし、首相はこれまで「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継ぐ」としながらも、戦後70年談話では、過去の首相談話の文言をそのまま踏襲することはしない考えを示してきた。

 首相の演説が、中国側にとって満足のいかない内容になることは、火を見るより明らかだった。それを黙って聞かされることは、メンツを重んじる習氏にとって耐えかねる屈辱だったとの見方もある。

 実際、首相の演説は「未来志向」の色合いが前面に出た。戦後日本が平和国家としてアジアやアフリカで果たしてきた貢献の実績をアピール。注目を集めた「侵略」という言葉は「バンドン10原則」を引用する形で触れたが、日本の行為としての文脈では使わなかった。

 代わりに首相は「バンドンの先人たちの知恵は、法の支配が大小に関係なく、国家の尊厳を守るということだった」と指摘。南シナ海などで力による現状変更を試みる中国を牽制したとみられる。

 首相はまた、アジア、アフリカに対する新たな人材育成支援策を表明した。AIIBを活用した「ハコモノ」開発を画策する中国との差を鮮明に打ち出した形だ。(ジャカルタ 石鍋圭)

 


日中首脳会談:「関係改善進む」 首相「歴史認識引き継ぐ」

毎日新聞 2015年04月23日 東京朝刊

 【ジャカルタ木下訓明、石原聖】インドネシアを訪問中の安倍晋三首相は22日午後(日本時間同)、中国の習近平国家主席とジャカルタで約25分間会談し、両国の関係改善が進んでいるとの認識で一致した。首相は今夏に発表する戦後70年談話を念頭に、1995年の村山富市首相談話、2005年の小泉純一郎首相談話を含めて「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる。平和国家としての歩みは今後も不変だ」と述べ、中国側の理解を求めた。会談後、首相は今後も国際会議などの機会に習氏と会談する意向を記者団に表明した。
   
      
 両首脳の会談は昨年11月10日に北京で行われて以来、約5カ月ぶり。

 習氏は冒頭で「最近、(政府)双方と両国民の共同努力のもとで中日関係はある程度、改善できた」と述べ、首相も「昨年11月の首脳会談以降、日中関係が改善しつつあることを評価したい」と応じた。そのうえで「日中関係の発展は両国国民の利益だ。戦略的互恵関係を推進し、地域や世界の安定と繁栄に貢献していくことはわれわれの責務だ」と述べ、青少年交流などさまざまなレベルでの両国の交流促進を呼びかけた。

 一方、中国中央テレビによると、習氏は「歴史問題は中日関係の政治的な基礎に関わる重大な原則問題だ。日本側がアジアの隣国の懸念に真剣に対応し、歴史を直視した積極的なシグナルを発信してほしい」と述べ、首相の戦後70年談話の内容を注視していることを伝えた。

 中国が設立を主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)を巡っては、習氏が「国際社会から広く歓迎を受けた」と述べたのに対し、首相は「アジア地域に高い需要があるとの認識は共有している」と一定の理解を示しつつ、組織運営や融資基準の透明性確保を改めて求めた。

 両首脳は東シナ海情勢に関しても意見交換した。首相は、沖縄県・尖閣諸島周辺などでの偶発的な衝突を回避する「海上連絡メカニズム」の早期運用開始を提起するとともに、先月4年ぶりに再開した両政府間の安全保障対話をさらに進める必要があると指摘した。

 会談に先立ち、首相は22日昼(日本時間同日午後)、アジア・アフリカ会議(バンドン会議)60周年記念首脳会議で演説し、第二次大戦への「深い反省」を表明した。05年の50周年首脳会議で、小泉首相(当時)が「村山談話」を引用して表明した「植民地支配と侵略」への「心からのおわびの気持ち」には言及せず、戦後の日本のアジア・アフリカ地域への貢献と今後の関係強化を強調した。

 首相は、55年のバンドン会議で採択された「バンドン10原則」のうち、「侵略または侵略の脅威、武力行使によって他国の領土保全や政治的独立を侵さない」「国際紛争は平和的手段によって解決する」の二つの原則を紹介。「この原則を日本は先の大戦の深い反省とともに、いかなる時でも守り抜く国であろうと誓った」と強調した。

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 ◇日中首脳会談 骨子

・両首脳は日中関係が改善しているとの認識を互いに表明

・安倍晋三首相は「歴史認識に関する歴代内閣の立場を全体として引き継いでいる」と説明

・首相は東シナ海での衝突を防ぐ「海上連絡メカニズム」の早期運用開始を改めて提起

・両首脳はアジアインフラ投資銀行(AIIB)で意見交換