唱歌「早春賦」は<春と聞かねば知らでありしを/聞けば急(せ)かるる胸の思いを…>と歌う。暦は春だと聞かねば気付かずにいただろう。それほど実際の季節感は暦に遅れるとしたものだったが…。
福井市では平年より五十四日も早い一月四日、奈良市では四十日早い十二月二十七日。今季は梅の開花がやたらに早く、すでに北関東でも咲いたそうだ。季節の巡りが暦を追い越してしまったか。
さしたる話題にはならなかったが、世界の年平均気温は昨年もまた、統計開始以来の最高を更新した。暖かくなるのに慣らされてしまったのか。もう春かよ、と急かされるぐらいがちょうどよい。
春は名のみの風の寒さや
谷の鶯 歌は思えど
時にあらずと 声も立てず
時にあらずと 声も立てず