先の記事に書いた、大型案件の受注。
実は私はめっちゃ!嬉しい!とはなっていない。勿論、受注は嬉しいし有難いに決まっているが、
自分が獲った?とは思ってないのがその理由。なのでもろ手を挙げて万歳!!とはならないのだ。
お客様は外資で、超有名な企業。
ラインで日本製を発注されるのは初めて。工場の生産ラインは10本位あるが今まで全部海外製だ。
だから快挙ではある。
そのお客様は何年か前に突然、ホームページから小さな単体機の引合を下さり、私が対応した。
3台ほど買って頂き、その後年1回のメンテナンスも含めそれなりにお付き合いして来たのだが、
それが今回の新規ラインの引合~受注に繋がった。有難い。
社長は、そのお客様にラインで入れることを喜んでいるし、社内でもまさか!誰も獲れるとは思って無かった?
みたいな雰囲気。商社も介さない直取引だから信じられない!みたいな。
しかし何で私が諸手を挙げて万歳!とならないか?自分が取ったとは思ってないか?というと、それは・・・
”自分が労して”という思いが無いからだ。
では誰がここまでに持って来たか?
品管のHさん。彼のお陰だ。彼が獲った仕事みたいなものだ。
引合段階でHさん、凄く力が入っていた。Hさんにはこのお客様の単体機のメンテ(校正)で何度か一緒に
行ってもらったことがある。品管だから営業では無いのだけれど、今回の引合が自分の得意とする内容で
まさに自分が直近で力入れていて資料などいっぱい出したのに、挙句逸注した案件(勿論営業は別に居る)と
超似通っていたらしい。
Hさん曰く、その時逸注したのは商社のせいだと。商社が自分ところのコミッション乗せ過ぎて、
お客様に高い金額で出した。だから金額で競合他社に負けたと。その悔しさから、今回の案件を何が何でも
獲りたいと言う執念があった。
なので資料の何から何までHさんが用意するのだ。逸注した時のベースがあったし。
Hさんは元々、うちの会社のお客様で、某企業の工場長?までやった人で、定年時にどうする?と聞かれ、
同じ会社の延長雇用より、今のうちの会社の方が面白そうだからと、社長の誘いを受けて入った人。
CADも使える図面も描ける。今の会社には最初営業として入ったと言うから営業の経験もあり見積積算も出来る。
おまけに品管だからバリデーションの知識もハンパなく、言わば何でも出来る人だ。
性格は独特だけれど。
以前ブログにも書いたことあるが、私は今の会社に入った最初の頃に、このHさんに酷くいじめを受けた。
完全にパワーハラスメントだった。それもお客様の目の前でやられた。酷いものだ。ペーペーだったから
バカにしていたのだろう。もしくは私のことを試した?周りのみんなも知っている。
勿論私も黙っているタイプではないので激怒した。お客様との面談の後、事務所に帰って大声で叫んでやった。
『Hさんのやったことはえげつない虐めそのもので、人として会社として有り得ない!信じられない!』と。
まあ、そんなことでは動じる人ではないけれど。心臓、鋼だからね。
それが何で?今みたいな関係になったかと言うと、向こうがすり寄って来たからだ。
Hさんははっきり言った。
初めは解らなかった、知らなかった(私がどういう人間かと言うこと)。でも真面目だし仕事をちゃんと
獲って来る。特にコロナの頃でお客様が発注控え、会社が受注減って大変な時に、他の営業が仕事獲れない時に、
新規の(私が開拓)お客様から大型の仕事を獲って来た。それも連続して次から次へと仕事が決まっている。
今営業で一番仕事獲っているのは誰だ!?どれだけ会社が助かっているか!?(それは社長にも言われた)
原価管理もしっかりして会社を儲けさしている。
それを他の人の前ででも何度も言うものだから、ちょっとやめてよ・・・と言うくらい恥ずかしかった。
本当に手の平返しで凄い誉めよう持ち上げように変わったのだ。びっくりだ。
めちゃ解りやすい人だ。しかしはっきりしていて良い。当然好き嫌いも激しい。
何度も言うように、私は人に対する印象は上書き出来る。今、私の仕事には何でも協力してくれるHさんを
悪く思うはずはない。考え方も似通ったところはある。性格もどちらも激しい。ぶつかると玉砕だろうけど。
現にこの案件スタートしてから、一回激しく怒鳴られたことあった。私はムカついて ”ふんっ!”となったけれど、
今ここでへそ曲げては私の分が悪い。ここはHさんの言うこと聞くしか無いと矛先収めた。上手くやって行く
しかない。Hさん主導で良い。
Hさんは、自分はお腹の中真っ黒で私のことは真っ白だと言い、白と黒とで混ぜて丁度いいんだよと。
私にとって有難い存在だ。最初のいじめが嘘みたい。
そんなHさんがレイアウトも金額も出して来るもので私は手の出しようがない。詳細を確認しようとしても
今は任せておけと。協力会社さんとの打合せにも1人で行こうとするので私も慌てて付いて行く。
注文書は頂いた。しかしまだ追加での発注がある。仕様も範囲も納期も完全に決まってない今の状況で、
ちょっと宙ぶらりん状態の私の思いは、もやもやとしたものがある。営業担当は私だけれど、自分が獲った
ものじゃないと言う思いがある。勿論、お客様は今回の引合に関しては今までの対応も含んでいるよと仰る。
我が社から単体機を3台買われた時、ご自分の知らない時に別の担当者が別の日本のメーカーから1台単体機を
買った。その機械の面倒は後に自分が見ているが、そのメーカーの対応が悪いと。営業の態度が上から目線だと。
(営業がお客様に対して上から目線って、そんなことあるのかな?)
なので、気分が悪いので今回のラインの引合は、そこには出してないと。
そう言う意味では、過去の対応の仕方も評価はして下さったのかなとは思うが大したものではないだろう。
海外メーカーで2社・日本メーカーで2社の計4社に引合出され、後に我が社と海外メーカー1社との2社に絞られ、
最終的に我が社に決めて下さった。機械の仕様と金額、そこが一番大きいが、しかしそれだけではない決定要素、
スピードや対応等々、細かいことも無くは無い。営業ってホント難しい・・。その分、自分の色を出せるので
上手くハマれば、やりがいもあるが。
金額が大きいだけに決まるまで数カ月、ボリュームによっては何年もかかる場合もある。現に別のお客様で
数年後の案件も追いかけている。
全て決まってからでも工期も長い。今回のも設計スタートしてから納期1年近くは掛かる。
いじけているヒマは無い。拗ねず落ち込まず、そしてめげずに自分の出来ることを淡々とやって行くしかない。
最終的には良い機械に仕上がって、お客様の生産能力が上がり、それをマーケットに出してお客様が儲かり
高いお金を出した甲斐があった、良い機械を入れてくれてありがとう!と喜んで下さり、我が社もお仕事頂いて
儲けさせていただいてありがとうございます!と ”both happy” になることが、私の究極の目標だ。
Hさんは、失敗は許されない!これを成功事例にするのだ!と意気込んでいる。
余り肩ひじ張らず、肩に力入れ過ぎずに行きましょうよと私は心配もするが、万一のモレ等無いか、
Hさんには知られずに、そっと気を付けなくちゃ!とは思う。
皆で協力し合って、良い機械をお客様に提供出来る様頑張ってやりましょう!と、じわじわと私も力入れますわ。
仕事頂けることがどれほど有難いことか。数十年営業の仕事して来て、本当にそう実感している。