私は日経新聞をとっていて、毎日通勤の電車の中でそれを読む。
何故日経かと言うと、最初はお客様の異動の情報を知りたかったから日経だったと言うだけの話。
でも今はもう、自分にとってそれが昔ほど重要ではなくなったので、他の新聞に代えても良いのだが
”私の履歴書”が好きでやめられなかったりする。小説も面白いし。今は伊集院静氏の”ミチクサ先生”。
夏目漱石が主人公なんだろうけれど、今は若い時の漱石や子規が出ていて面白い。毎日待ち遠しい。
横道に逸れたが昨日の通勤時、”私の履歴書”を読みながら泣けた。恥ずかしいけれどグッと来たので仕方ない。
今月はTDK元会長の澤部肇さんと言う方の履歴書なのだが、最初から読んでいて、結構強引でやり手で
若い時からあまり人の言うことを聞かない、それが例え相手が上司であっても、好き勝手にやって来た・・と
いう印象の方だったのだが、やはり最終的にはこの履歴書に載る方は皆最高の地位まで行かれると言う例に漏れず
この方も勿論社長にまで上り詰められた。
そして昨日は社長を辞められる時の話。
決して上手く行っていた仲ではなかった?前社長に社長を仰せつかったと言うのも、会社を思う前社長の決断
だろうが、自分を指名したその前社長に今度は自分が社長を辞めますと言いに行った時、その前社長
(その時は相談役)はいきなり立ち上がって『私はあなたを社長に指名して、色々な人から”本当に良い人を
選びましたね”と言われました。お礼を言います』と深々とお礼をされたそうだ(ここでぐっと来た)。
ぶっきらぼうな前社長は、そんなものの言い方をする人ではないので呆気に取られていると、
『あなたもそういう人を選んだのでしょうね』と続いたと。もうそこまで読んで泣けて仕方なかった。
この方が社長を辞める決断をした理由もカッコいい。
社長である自分の気持ちを推測して、間違いなく高い経営判断力のある役員から、自分の意見に合わせる意見が
出るようになり、長くやっているとこうなる、潮時かと思ったと。
そして更に、知恵が出なくなっていたと。デジタル化の大波に対応し、新しい価値を提案出来る会社に生まれ変わろうと
した時に、技術に弱い自分では深まらない、打つ手もマンネリ化、変化の速いネットワーク社会について行けなくなった
自覚があったと。
ずいぶん正直な人だな、潔い人だなと思った。
多分大会社の社長なんて、そんな長くやれるものでは無いのだろう。それくらいの重責なのだと思う。
超が付くほどしんどいことだろう。考え過ぎて夜も眠れないだろう。自身がすり減ってしまうだろう。
そして精一杯やってやってやり切った人こそが、未練なんか無くキッパリ辞められるものではないのだろうか?
と勝手に考える。
仕事を通じての、こういう男同士の話いいな・・・と思ってしまう。結局会社のトップたるもの、大物は
何が一番大事かってことを私利私欲を抜きに考えるんだよね。だからこそ選ばれるんだろう。
地位にしがみついて醜態晒ける人も多いが、本当の出来る人はそんなことしないんだよね。
夫々の世界・業界で活躍して来て頂点を極めた人の話は面白くてとてもためになる。
たま~に難しかったり興味の無い分野だったり、飽きたり・・・の月も無くは無いが。