『薔薇はプレネステ、カンパニア、鮮やかな燃えるような色のミトレスの薔薇』とい
うプリニウスの言葉から次のような意見が出てくるのは至極当然なことです。
“Herbs for use and for delight” アメリカハーブ協会 : Dover Publications, 1974ダニエル フォーリィ(Daniel Foley, 1913-1999 ; 造園家、園芸家)著の中に次のような記述があります。
『プリニウスが取り上げた、プラネステローズはダマスクローズ(?)かもしれない。そしてミトレスローズはプロヴァンローズ-つまりロサ ガリカ オフィシナリス、二重のガリカなのでは。 中略 “ピエール=ジョゼフ・ルドゥーテ(Redoute’s Les Roses)” によれば、ケンティフォリア(Centifolias) は、その存在は16世紀より以前にはなかったと述べている。』
ダマスクローズは横に置いておいて、先ずミトレスローズから述べようと思います。
絵は http://promessederoses.blogspot.com/2016/10/rosa-gallica-officinalis-le-rosier-de.html から引用させていただきました。
Rosa gallica(別名 R. rubra, French Rose)
上の絵はロサ ガリカ、Rosa galllica です。一見特徴のない薔薇ですが、この薔薇から生まれたは花は多く、しかも昔からの姿をそのまま現在に残している、ガリカ節:Gallicanae※1 を代表する薔薇です。この仲間の薔薇には次のような性質があります。
ガリカ節の特徴として、花びらには抗菌性、収斂性、強壮性があり、風邪、気管支感染症、胃炎、下痢、鬱病の治療に内服して使います。眼の感染症、喉の痛み、擦り傷、皮膚の治療に外用します。 又、多くの果実は、ビタミンとミネラル、特にビタミンA、C、E、フラボノイド、その他の生物活性化合物を多く含有しています。 果実としては珍しく必須脂肪酸の含有量が多く含まれています。 がんの発生率を低下させる食品として、またがんの成長を止める手段として有望視されています。 うつ病、不安、否定的な感情に対してエッセンシャルオイルが使われています。
ローザ属はその下に4つの亜属があります。
ローザ亜属
フルミテア亜属
プラティロードン亜属
ヘスペロードス亜属です。
ここで扱う主な薔薇はローザ亜属に属し、その下に10の節が入ります。
そのうちのひとつがガリカ節です。(属、亜属、節については後で述べます)
ガリカ節(Gallicanae)の中を覗いてみましょう。(分類方法についてはいろいろ異論もあると思いますが、ここでは Peter Beals 著の CLASSIC ROSES を参考にしながらお話を進めていこうと思っています)この中に次の12種の薔薇が入ります。
- ×centifolia
- ×centifolia alba
- ×centifolia muscosa
- ×damascena
- ×damascena bifera
- ×damascena trigintipetala
- ×damascena versicolor
- gallica
- gallica officinalis
- gallica versicolor
- macrantha
- richardii
R. gallica officinalis (別名 The Apothecary’s Rose, Red Rose of Lancaster, Rose of Provines, Double French Rose)
ダニエル フォーリィが ”二重ガリカ“と言っている意味が絵から判ります。 この薔薇をミトレスローズだというのです。(Rosa gallica の変種です。)
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