Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

ダマスクローズ 135

2020年10月26日 | ダマスクローズをさがして ― Ⅲ

1820年に、ジョン リンドリーが、R. moschataと日本のヤマイバラ(R. sambucina)との関係を指摘したところから始まった、日本のバラのお話は如何だったでしょうか。大騒ぎをしたにもかかわらず“ダマスクローズに関することは”殆ど出てこなかったのは残念でしたが、種の存亡にかかわる現場、その現場に居合わせることが出来たことは、本当に良かったと思っています。こんな風に ”種” というものが消えてゆくのだと目の前に見ることができたからです。R. damascenaもこのように消滅したのだと肌で感じることが出来ました。

 

ここからは、ドイツの文献から今のダマスクローズを眺めます。学名を見ると、実にたくさんのドイツ人が名を連ねていることに気がつかれたことでしょう。違った方向からダマスクローズを見ることも刺激になるでしょうし、今まで読んできた内容を別の方向から眺めることになり、知識の再確認にもなります。記述内容はダマスクローズの呼称から始まり、品種の紹介に移っています。

ゆっくりと時間を掛けてみてゆくことにします。画像は当該文献外から引用しました。

 

今、世界中で栽培されているダマスクローズの学名は ”Rosa damascena Miller“ です。Herkunft http://gernot-katzers-spice-pages.com/germ/Rosa_dam.html から

Rosa damascena Miller
Rosa damascena Mill.

=Rosa belgica Mill.

Rosa calendarum Münchh.

=Rosa calendarum Münchh. ex Borkh.

=Rosa centifolia var. bifera Poir.

=Rosa gallica var. damascena Voss

=Rosa polyanthos R

=Rosa ×bifera (Poir.) Pers.

=Rosa ×damascena var. trigintipetala var. trigintipetala Dieck

=Rosa ×damascena var. variegata var. variegata Keller

Immediate children

Variety

Rosa damascena var. brachyacantha Focke

Rosa damascena var. damascena

Form

Rosa damascena f. damascena

Rosa ×damascena f. trigintipetala f. trigintipetala (Dieck) R.Keller

Rosa ×damascena f. versicolor f. versicolor (Weston) Rehder

 

” Rosa damascena Miller“ は、言語によって次のように呼ばれています。

 

Languages (No. of Names):

Vernacular Names

Arabic (4) :

Gulab, ورد, ورد الاحم , Warda, Ward alaham

English (1) :

damask rose

Hindi (5) :

bussorah, fasti gulab,, gulab-ke-phul, sudburg, गुलाब, गुलाबी रंग

Kannada (4) :

gulabihuvu, panniru, roja, tarana

Malayalam (3) :

paninirpushpam, panniruppu, penimirpushpam

Marathi (2) :

gulab, gulad

Sanskrit (11) :

atimanjula, lakshapushpa, mahakumari, satapatri, shatadala, shatapatri, shatapatrika, soumyagandha, sumana, suoritta, sushita

Tamil (17) :

arakkuroja, ativitakikacceti, ativitakikam, civappuccirramarai, civappuroca, civappuroja, golappu, irosa, kulapi, kulapu, pannir, pannirpu, rajappu, roja, roja mottu, rojappu, rosa

Telugu (7) :

gulaabi poovvu, gulabi, gulabipuvvu, paneer roja, panniru, roja, rojapuvu

Urdu (15) :

arq gulab, arq-i-gulab, gul surkh, gul-e-surkh, gul-e-surkh (ward,gulab), gul-i surkh, gul-i-gaozaban, gul-i-surkh, gul-surkh, gulab ke taze phool, gulqand gulab, gulqand-gulab, roghan gul, ruh gulab, surkh gulab ki pankhriyan

Bulgarisch(6)

Роза, Трендафил, Гюл, Roza, Trendafil, Gyul

Farsi(6)

گلسرخ, گل محمدی, گل ورد, Gol Mohammadi, Golesorkh, Gol Ward

Französisch(1)

Rose de Damas

 

Rose (Rosa damascena Miller)

セルシアーナ(Damask Rose Celsiana)

                

https://www.rosegathering.com/celsianaput.html

    

                    

https://hedgerowrose.com/rose-gardening/2014/03/13/celsiana-damask-rose/

 

上はセルシアーナ(Damask Rose Celsiana)です。画像からも判るように、花は時間が経つとピンクの花色が褪色し、白くなります。その後ティッシュペーパーをしわくちゃにしたようになります。 棘が見あたらないもの特徴です。

 

1732年以前にオランダ作出されたダマスク系の薔薇です。強い耐寒性があります。淡いピンクとロゼットの形の直径7~8 cmの9〜16枚の強い香りの花びら、目に付く黄色の雄しべで構成されています。活発に直立して高さ2~3m、幅120 cm程に成長し、灰色がかった緑の葉を茂らせます。這わせて育てることができ、一季咲きですが、シーズンの終わりにローズヒップを作ります。1970年にパリ時代の有名な庭師M.Fセルス(M.F Cels)にちなんで名付けられました。

 

アボンダンテ(Abondante)、ベルクーローネ(Belle Couronné)、ビフェラコロナタ(Bifera Coronata)、セルス(Cels)、セルスアフルールプレイン(Cels à fleurs pleins)、デセルス(De Cels)、グランデクーローネ(Grande Couronnè)、インカルナタマキシマ(Incarnata Maxima)、ラコケット(La Coquette)、ムタビリス(Mutabilis)、ローザダマセナムタビリス(Rosa damascena Mutabilis)、ヴァンホイサム(Van Huysum)など、多くの名前で知られています。

 

「やっとわかった!!」と思うのは私だけではないでしょう。「本当に、やっとわかったンですよ」。1230-1235年に書かれた「薔薇物語」の口絵(2/28、3/1)に、主人公の背後に描かれた「薔薇の絵」。その薔薇の花が、版によって変化し、白だったり、赤だったり。それもそのはず。薔薇の花は、同じ花が赤から白へと変化するのです。

ダマスクローズの顔は誰も見たことがありません。子供達を見て、親を想像しようというのですから、非常に難しい望みです。一度でも親の顔を見たことがあれば、性質や体格を肉付けすることは出来るのですが・・・・・・・・。

兎も角、花びらが赤から白へと色を変えるということが判りました。ほぼ間違いない事実だろうと思われます。

5/8 のブログに、『次にご紹介する銅版画は、最初見たときは、衝撃でした。』で始まる、絵と文章をご紹介したのを覚えておられるでしょうか。

       

バシリウス・ベスラー( Basilius Besler , 1561-1629、ドイツの薬剤師、植物学者、植物画家)画、 Rosa damascena flore  pleno ( from Hortus Eystettensis ) ca. 1640

 

同じ銅版画を使って、白と赤の花びらを描き、“ダマスクローズ(Rosa Damascena flore)”としているのです。その謎が今、解けたのです。 

 

 


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