Annabel's Private Cooking Classあなべるお菓子教室 ~ ” こころ豊かな暮らし ”

あなべるお菓子教室はコロナで終了となりましたが、これからも体に良い食べ物を紹介していくつもりです。どうぞご期待ください。

英国湖水地方・魔法の庭ダルメイン

2017年06月02日 | 料理

アップルゼリー

 

魔法の庭 ダルメイン~イギリス湖水地方の田園ライフ~に登場するアップルゼリーを1700-1900年に刊行されたイギリスの料理書の中から探してみました。

イギリス人、メアリー・イートン著のThe Cook and Housekeeper's Dictionary, 1822. にある「アップルゼリー」のレシピが、ジェーンさんが作るリンゴのゼリーに時代的にも一番近いと思われます。メアリーのレシピには三通りのゼリーが書かれています。


アップルゼリー

ゴールデンピピンを用意して1.5パイント( 852 ml )の春の水で、軟らかくなるまで煮る。細かい水きりザルで漉す。1パイント( 568 ml )につき1ポンド( 454g )の砂糖を加える。卸したオレンジの皮、レモンピールを加えてゼリーになるまで加熱する。 

又は、リンゴを煮て荒いシーブを通す。用意しておいたアイシンググラス ( 魚の浮袋を干したもの ) 1オンス ( 28g) を1/2パイント( 284 ml )の湯に入れてどろどろのリンゴと混ぜる。砂糖、レモンジュース、レモンピールを加えて煮る。ピールを取り出してゼリーをディッシュに入れてテーブルに出す。 

アプリコット、そのほかの果実を保存するためのアップルゼリーを作る時は違った方法を取る。リンゴの皮を剥いて4つに切って芯を取る。それをソースパンに入れてひたひたになるまで( リンゴと同じ量の )水を入れる。潰れるまで煮る。水を適量加えて半時間以上煮る。ゼリーバッグに入れて漉す。

 夏にはコッドリン ( Codlin )、秋にはゴールデンレンネト ( Golden Rennet )、冬はピピン ( Pippin ) で作ると美味しいゼリーが出来る。

 

ジェーンさんのアップルゼリーは最後の方法です。ネルの袋で濾すゼリーは透明感があって味も澄み切っています。ラズベリーやミントを入れて鹿肉のソースに仕上げています。淡白な肉を華やかに引き立てる香り高いソースになっていることでしょう。

 

リンゴの品種確定は254品種のリンゴを取りあげている下記のサイトを参考にさせていただきました。

https://peterlachnewinsky.wordpress.com/2011/09/23/120-heritage-apple-varieties-at-gundungurra-bundanoon/ 

 

料理の変遷について; 

料理は、時代性を大きく映しだす鏡です。特にゼリーの材料は仔ウシのヒザ関節、魚の浮袋、
牛骨、牛皮、豚皮へと時代と共に変化してきました。英国同様のゼリーはありました。
しかし、英国で作られてきたフルーツのゼリーは「マルメロのゼリー」が書かれた
1602年のヒュー・プラット著 Delightes for Ladies by Hugh Plat)から
1669年のケネルン・ディグビィ著の ( The Closet of Sir Kenelm Digby Knight Opened ) 
1822年のビートン夫人の料理書 ( The Book of Household Management ), 
1914年のメイ・バイロン( Pot-Luck, British Home Cookery by May  Byron ) 
至るまでフルーツゼリーは果物に含まれるペクチンを使ってきました。
どうやら英国の料理には、動物由来のゼリーを使う料理と食部由来のペクチンを使って
作るゼリー料理が区別されているのかもしれません。
 
 
 
 
 
 


最新の画像もっと見る

コメントを投稿