５０円玉

　ジュースが飲みたいけど、小銭がない。

　それはたいした問題じゃないはず。

　目の前に自動販売機があって、飲みたいジュースがそこに売っていて、小銭はないが千円札はある。

　全てはそれで解決する。

　そう思ったし、実際解決もした。

　お釣りも順調に出てくる。

　順調すぎるほど

　ジャランジャラン。

　ジャランジャラン。

　ジャランジャラン。

　あれ？　千円のお釣りにしては音多すぎない。全て百円は想像していたけど、あれ、なにかおかしくない。

　屈んでよくよく見ようとした僕の目に飛び込んだ百円玉釣銭切れのランプ。

　え？。　じゃあ、いま出たのは……。

　まぁ、もう、云うまでもないよね。

　僕これだけ五十円玉が財布に入ったの初めてだよ。

　きっと今夜は五十円玉に押し潰される夢か、銭形平次になる夢かのどっちかだね。